福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)の書評

写真:福岡伸一さん

福岡伸一 (青山学院大学教授・生物学)
1959年東京都生まれ。専門は分子細胞生物学。著書に『プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー』(講談社出版文化賞)『ロハスの思考』『生物と無生物のあいだ』(サントリー学芸賞)『動的平衡』『ルリボシカミキリの青』など。

国際メディア情報戦 [著]高木徹

国際メディア情報戦 [著]高木徹

■世界の舞台裏での熾烈な戦い  1992年の大統領選。現職のブッシュ(父)に挑むクリントン。テレビ討論会。会場から女子学生が国家財政の赤字について質問をした。カメラはスタジオ全体を広く捉えていた。その画面の隅で、質問の………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2014年03月23日
[ジャンル]政治 社会

殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件 [著]清水潔

殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件 [著]清水潔

■執念に満ちた取材で闇に迫る  たいへんな問題作である。著者は桶川ストーカー事件で犯人を突き止め、警察の怠慢を暴いた記者。彼の嗅覚(きゅうかく)は栃木県足利市で1990年に起きた幼女誘拐殺人事件を巡る経緯の不自然さを捉………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2014年02月09日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

安部公房とわたし [著]山口果林

安部公房とわたし [著]山口果林

■覚悟感じる切実な自己回復の書  まず驚かされるのは、カバーの4枚の写真の著者の表情だ。やさしく柔らかでさりげない。そこにどれほど親密な時間が共有されていたかが手にとるようにわかる。同時にこのときかろうじてバランスを保………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2013年09月15日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

記憶をコントロールする―分子脳科学の挑戦 [著]井ノ口馨

記憶をコントロールする―分子脳科学の挑戦 [著]井ノ口馨

■どう作られ、保持されるのか  「記憶は死に対する部分的な勝利である」とはカズオ・イシグロの名言である。記憶だけが、流転し消滅しつづける世界に私をつなぎ止め、私が私であることを示してくれる唯一の証(あかし)。では記憶と………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2013年06月30日
[ジャンル]科学・生物

脳のなかの天使 [著]V・S・ラマチャンドラン

脳のなかの天使 [著]V・S・ラマチャンドラン

■なぜ美を感じる? ヒトの特性に迫る  ルリボシカミキリの青を、私は限りなく美しいと感じるが、ルリボシカミキリ自身は、仲間の背中の模様を、私が感じるように感じてはいない。おそらく彼らにはそれは青色ですらない(虫は色彩を………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2013年06月02日
[ジャンル]科学・生物

迷い迷って渋谷駅 日本一の「迷宮ターミナル」の謎を解く [著]田村圭介

迷い迷って渋谷駅 日本一の「迷宮ターミナル」の謎を解く [著]田村圭介

■動的にふるまう生物のよう  表参道駅で銀座線から半蔵門線に乗り換えるつもりがうとうとした隙に乗り過ごし、渋谷駅に着いた。さあ大変。表参道駅で隣り合わせだった路線は、渋谷駅ではかたや地上3階(著者によれば4階)、かたや………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2013年05月26日
[ジャンル]人文

昨日までの世界(上・下)―文明の源流と人類の未来 [著]ジャレド・ダイアモンド [訳]倉骨彰

昨日までの世界(上・下)―文明の源流と人類の未来 [著]ジャレド・ダイアモンド [訳]倉骨彰

■風土と環境因重視、叡智をたどり直す  朝日新聞が、識者アンケートによるゼロ年代の書物50冊を選んだ際、1位に輝いたのが著者の『銃・病原菌・鉄』だった。その彼が満を持して書いた新刊が本書である。テーマは「昨日までの世界………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2013年04月28日
[ジャンル]人文

こころ朗らなれ、誰もみな [著]アーネスト・ヘミングウェイ [訳]柴田元幸

こころ朗らなれ、誰もみな [著]アーネスト・ヘミングウェイ [訳]柴田元幸

■優しく暖か 新たな作家像  まず、なんといってもこのタイトルが実にすがすがしく、かっこいいではないか。原題は、God Rest You Merry, Gentlemen。新潮文庫の高見浩訳では「神よ、男たちを楽しく憩………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2013年01月27日
[ジャンル]文芸

新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす [著]水野玲子

新農薬ネオニコチノイドが日本を脅かす [著]水野玲子

■「もうひとつの安全神話」指摘  ミツバチの大量失踪。謎の異常現象が2000年代後半から世界的に顕在化してきた。ウイルス、ダニ、環境変動など様々な要因が取り沙汰された。  そんな中、いまひとつの物質名が浮上しつつある。………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年11月25日
[ジャンル]科学・生物

私とは何か―「個人」から「分人」へ [著]平野啓一郎

私とは何か―「個人」から「分人」へ [著]平野啓一郎

■自分の中に自分はいない  学生時代、京都に住んだ時、興味深いことに気づかされた。東京では道路に囲まれた領域が町名・番地だったのに、京都では道を挟んで両側に町がある。社会が人と人の相互作用の上に成り立っているならば、こ………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年11月18日
[ジャンル]新書

青い鳥文庫ができるまで [著]岩貞るみこ

青い鳥文庫ができるまで [著]岩貞るみこ

■文字への愛が育む信頼感  「おくれています。このままじゃ、本は出ませんよ。早く書いてください」。咽(のど)から出そうになるこのセリフ。ぐっとのみ込む。作家が必死に書いているのは製品ではなく作品。できないものはできない………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年10月07日
[ジャンル]文芸

ネアンデルタール人 奇跡の再発見 [著]小野昭/化石の分子生物学 [著]更科功

ネアンデルタール人 奇跡の再発見 [著]小野昭/化石の分子生物学 [著]更科功

■あり得たもう一つの「人類」  人権、人命、平等の尊重。我々人類にとってあまりにも普遍的な規範は、実は意外なことに2万数千年ほど前に起きたある偶然の上に成り立っている。ネアンデルタール人の消滅。化石が発見された当時、学………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年09月30日
[ジャンル]科学・生物

毒婦。 [著]北原みのり/別海から来た女 [著]佐野眞一

毒婦。 [著]北原みのり/別海から来た女 [著]佐野眞一

■「透明な鏡」の彼女、男と女の目線映す  事件が明るみにでたときメディアは色めきたった。魔性の女。婚カツ詐欺師連続殺人。練炭女。  それなのに、と北原は思った。ここには凄惨(せいさん)な暴力のにおいがしない。女の犯罪に………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年05月27日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

魚は痛みを感じるか [著]ヴィクトリア・ブレイスウェイト

魚は痛みを感じるか [著]ヴィクトリア・ブレイスウェイト

■情動や快不快を丹念に検証  精神と肉体を峻別(しゅんべつ)し、人間以外の生物には精神がないと考えたデカルト主義者たちは言った。動物は痛みを感じない。痛みはその意味を理解してはじめて存在するものであり、動物にはその理解………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年04月22日
[ジャンル]科学・生物

バナナの世界史 歴史を変えた果物の数奇な運命 [著]ダン・コッペル

バナナの世界史 歴史を変えた果物の数奇な運命 [著]ダン・コッペル

■ヒトがつくりかえてきた生命  バナナは、あのあまりにもあからさまなカタチにもかかわらず、かわいそうに、一度もセックスをしたことがありません。なぜなら、バナナはタネなしだからです。  バナナの原種は、硬くごろごろしたタ………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年04月08日
[ジャンル]科学・生物 社会

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