柄谷行人(哲学者)の書評

写真:柄谷行人さん

柄谷行人 (哲学者)
1941年兵庫県生まれ。著書に『漱石詩論』(群像新人文学賞)『マルクスその可能性の中心』(亀井勝一郎賞)『坂口安吾と中上健次』(伊藤整文学賞)『日本近代文学の起源』『隠喩としての建築』『トランスクリティーク』『ネーションと美学』『歴史と反復』『世界史の構造』など。

殺生と戦争の民俗学―柳田國男と千葉徳爾 [著]大塚英志

殺生と戦争の民俗学―柳田國男と千葉徳爾 [著]大塚英志

■「理科」と「経世済民」で照らす  著者大塚英志はアニメやサブカルチャー論で知られているが、大学では民俗学を千葉徳爾の下で学び、その後もその問題を考えてきた人である。千葉は柳田国男の弟子であった。著者にとって、柳田につ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2017年05月14日
[ジャンル]人文

虜囚―一六〇〇―一八五〇年のイギリス、帝国、そして世界 [著]リンダ・コリー

虜囚―一六〇〇―一八五〇年のイギリス、帝国、そして世界 [著]リンダ・コリー

■拡大する「島国」の試練と秘密    イギリスは小さな島国でありながら、19世紀にいたって、「七つの海」を支配する未曽有の世界帝国を築いた。このことは圧倒的な事実であったから、ふつう、そこにいたる過程がどんなものであっ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2017年04月09日
[ジャンル]歴史

宣教師ザビエルと被差別民 [著]沖浦和光

宣教師ザビエルと被差別民 [著]沖浦和光

■「ケガレ」からの救済を目指す  著者は日本およびアジアの被差別民について重要な仕事をいくつもしてきた。遺稿である本書もその一つと見てもよいのだが、同時にこれは、宣教師ザビエルについての斬新な研究である。著者は、ザビエ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]歴史

セカンドハンドの時代―「赤い国」を生きた人びと [著]スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

セカンドハンドの時代―「赤い国」を生きた人びと [著]スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

■苦悩の言葉が文学になる瞬間  東日本大震災が起きてまもなく、私は米ロサンゼルスに講演に行ったが、その帰途に乗ったタクシーの運転手から、「日本は大変だったね」と話しかけられた。ここでもあんな災害が起こりそうだし、もし起………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]社会 国際

世界マヌケ反乱の手引書―ふざけた場所の作り方 [著]松本哉

世界マヌケ反乱の手引書―ふざけた場所の作り方 [著]松本哉

■階級格差に抗する陽気な連帯  2015年夏に、安保法案に反対する大きなデモがあった。マスメディアでは、それはサウンド・デモなど、旧来と異なる新鮮なものであり、学生集団シールズがそれをもたらしたと報じられていたが、それ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年09月18日
[ジャンル]経済 社会

人類進化の謎を解き明かす [著]ロビン・ダンバー

人類進化の謎を解き明かす [著]ロビン・ダンバー

■運命を分けた集団形成の差  気のおけない、互恵的な集団は、150人が限度である。この数は狩猟採集段階の共同体(クラン)から、新石器時代以後の村落、軍隊、地域教会、政治組織にいたるまで共通している。それがヒトの社会の基………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]科学・生物

セネカ 哲学する政治家―ネロ帝宮廷の日々 [著]ジェイムズ・ロム

セネカ 哲学する政治家―ネロ帝宮廷の日々 [著]ジェイムズ・ロム

■暴君の暴走を許した賢者の悲劇  セネカはローマ時代のストア派哲学者の一人で、多くの著作を残した。とりわけ、怒りという情念を抑制することを説いた賢人として知られている。しかし、同時に、激情が解き放たれ、自他の破滅にいた………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]歴史 人文

教皇フランシスコ キリストとともに燃えて―偉大なる改革者の人と思想 [著]オースティン・アイヴァリー

教皇フランシスコ キリストとともに燃えて―偉大なる改革者の人と思想 [著]オースティン・アイヴァリー

■世界に「希望」を与える貧者の友  英BBCニュースを見ていたら、ローマカトリック教会教皇フランシスコは、他宗派はむろん、他宗教の信者、さらに無神論者にも人気があるという。彼が類例のない教皇であることは、つぎの事実から………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年05月01日
[ジャンル]人文

文化進化論―ダーウィン進化論は文化を説明できるか [著]アレックス・メスーディ

文化進化論―ダーウィン進化論は文化を説明できるか [著]アレックス・メスーディ

■宗教的な現象も定量的に証明  本書は、文化の「進化」をダーウィンの理論的枠組みにもとづいて考えるものだ。ダーウィンの進化論といえば、今でも進化=進歩という意味に受けとられているが、実はその逆である。彼は「進化」のかわ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年04月10日
[ジャンル]人文

シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 [著]エマニュエル・トッド

シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 [著]エマニュエル・トッド

■カトリックの衰退、異教の排撃を招く  トッドはこれまでの著作で、世界各地の社会の政治や思想のあり方を、4種類の家族形態の違いから、統計学にもとづいて説明してきた。すなわち、生産様式にもとづくマルクス主義的決定論を退け………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年03月06日
[ジャンル]人文 社会 国際

花の忠臣蔵 [著]野口武彦

花の忠臣蔵 [著]野口武彦

■インフレの都市で事件、華々しく    私は著者が赤穂浪士について書いた本を20年ほど前に読んだことがある。そのとき私が学んだのは、この事件が最初から「忠臣蔵」として、つまり演劇や文学を通して知られていたということであ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年01月31日
[ジャンル]歴史

ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた [著]パット・シップマン

ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた [著]パット・シップマン

■生態系への侵入、示唆に富む推理  ネアンデルタール人は現生人類より前にユーラシアに居住していた。人類と同程度の知能をもち、同じように狩猟生活をしていた。火や石器を使用し、死者埋葬、芸術活動などもした。5万年前にアフリ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年01月10日
[ジャンル]歴史 科学・生物 社会

福沢諭吉の朝鮮―日朝清関係のなかの「脱亜」 [著]月脚達彦

福沢諭吉の朝鮮―日朝清関係のなかの「脱亜」 [著]月脚達彦

■「義侠心」から揺れ動いた脱亜論  福沢諭吉は「脱亜論」(1885年)で、「我(わ)れは心に於(おい)て亜細亜(アジア)東方の悪友を謝絶するものなり」と書いた。それまで福沢は、朝鮮の改革を目指し、西洋列強に抗して日本を………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2015年11月29日
[ジャンル]歴史

日本の精神医学この五〇年 [著]松本雅彦

日本の精神医学この五〇年 [著]松本雅彦

■米の診断基準導入、病名も概念も変化  本書は日本の精神医学の50年を個人的な臨床経験をもとにふりかえるものである。著者が精神医学に向かったのは、文学にかぶれていたからだといっている。しかし、これは例外的なケースではな………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2015年11月01日
[ジャンル]医学・福祉

戦後日本の宗教史―天皇制・祖先崇拝・新宗教 [著]島田裕巳

戦後日本の宗教史―天皇制・祖先崇拝・新宗教 [著]島田裕巳

■高度成長で変化、オウム事件の意味  本書は「戦後日本の宗教史」という題であるが、むしろ、戦後日本の社会史を、宗教、特に新宗教の歴史から見るものだといってよい。時代でいえば、つぎの二つに区分される。戦後灰燼(かいじん)………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2015年08月23日
[ジャンル]人文

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