保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

写真:保阪正康さん

保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

特高と國體の下で―離散、特高警察、そして内戦 [著]孫栄健

特高と國體の下で―離散、特高警察、そして内戦 [著]孫栄健

■拷問受けた「在日」の心象を描く  1918年2月に朝鮮の慶尚南道に生まれた朴庸徳の歩みを在日3世の著者が追跡調査する。朴は7歳で家族と共に来日、飯場を転々として小学校も12回転校しながら日本社会に身を置く。最下層の仕………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年07月16日
[ジャンル]歴史

中国文化大革命「受難者伝」と「文革大年表」―崇高なる政治スローガンと残酷非道な実態 [共編共著]王友琴・小林一美・安藤正士・安藤久美子

中国文化大革命「受難者伝」と「文革大年表」―崇高なる政治スローガンと残酷非道な実態 [共編共著]王友琴・小林一美・安藤正士・安藤久美子

■道徳心を腐敗させた「人民専政」  文化大革命(文革)は、現代中国の最大の傷である。ある年代以上の中国人の心底には、今なおその悲劇が沈殿していて、私自身、「あの時代は悪夢というより地獄でした」との言を何度も聞いた。  ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年06月25日
[ジャンル]歴史

宮柊二『山西省』論 [著]佐藤通雅

宮柊二『山西省』論 [著]佐藤通雅

 日中戦争下で、山西省は象徴的な意味をもつ。激しい戦闘と軍事上は「戦争」の残酷さを、政治上も戦後は軍閥閻錫山(えんしゃくざん)に組みこまれ日本兵が国共内戦に巻きこまれた。歌人の宮柊二は、この山西省で「一兵」として4年間戦………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年06月11日
[ジャンル]歴史 文芸

昭和解体―国鉄分割・民営化30年目の真実 [著]牧久

昭和解体―国鉄分割・民営化30年目の真実 [著]牧久

■対立となれあい、戦後の縮図  本書のタイトルはなぜ「国鉄解体」ではなく、「昭和解体」なのだろう。その思いで読み進むうちに単に日本国有鉄道や国鉄労働組合(国労)の歴史が昭和を代表しているだけでなく、革命の前哨戦のような………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

父と私 [著]田中眞紀子

父と私 [著]田中眞紀子

 田中角栄の娘として生まれること、その人生は「歴史的証言者」たらざるを得ない。老境の今、著者はその役を果たした。  幼少期から現在までを五章に分け、自立するまでと自立後とを語っていく。父親には、著者をアメリカ留学にだし、………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年05月21日
[ジャンル]政治 ノンフィクション・評伝

海をわたる手紙-ノンフィクションの「身の内」 [著]澤地久枝、ドウス昌代

海をわたる手紙-ノンフィクションの「身の内」 [著]澤地久枝、ドウス昌代

 この40年余、ノンフィクションを発表してきた2人の作家、その往復書簡14通からなる書。2014年11月から16年6月までだが、この間の時代史が浮かびあがるとともに、2人の自分史、さらにはノンフィクションとはといった本質………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年05月07日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

昭和天皇の戦争―「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと [著]山田朗

昭和天皇の戦争―「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと [著]山田朗

 「昭和天皇実録」(実録)は、「官」の編んだ「公式の記録」である。従って、「天皇=平和主義者」との特定の意図で記述されているとして、著者はとくに戦争に関する部分を取りあげて、どのような部分が割愛されているかを実証的に裏づ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年04月16日
[ジャンル]歴史

皇族と天皇 [著]浅見雅男

皇族と天皇 [著]浅見雅男

 室町から江戸期に成立した四親王家(ししんのうけ)(伏見、桂、有栖川、閑院)に加え、王政復古と前後して、六宮家(中川、山階、東伏見、華頂、北白川、梨本)が誕生した。慶応4年の太政官布告では、四親王家以外の宮家は一代限りと………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年03月05日
[ジャンル]歴史 経済 社会

毛沢東の対日戦犯裁判―中国共産党の思惑と1526名の日本人 [著]大澤武司

毛沢東の対日戦犯裁判―中国共産党の思惑と1526名の日本人 [著]大澤武司

 第2次世界大戦終結後、中国での日本人戦犯には幾つかのタイプがある。そのうちソ連から中国に移された戦犯969人(撫順組)と中国国内の「罪行重大」逮捕者の136人(太原〈たいげん〉組)をとりあげ、戦犯裁判の実態を分析した書………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]歴史

見張塔からずっと―政権とメディアの8年/放送法と権力 [著]山田健太

見張塔からずっと―政権とメディアの8年/放送法と権力 [著]山田健太

■「市民力」が支える表現の自由  この8年余のメディア状況を俯瞰(ふかん)した論集である。改めて全体の流れを確かめると「市民的自由は後退につぐ後退を余儀なくされた」と著者は説く。  『見張塔からずっと』(前書)は、琉球………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年01月22日
[ジャンル]政治 社会

ごはんの時間―井上ひさしがいた風景 [著]井上都

ごはんの時間―井上ひさしがいた風景 [著]井上都

 食事を通して、自らとふれあった人たちの思い出を綴(つづ)る。父井上ひさし、母、そして夫や肉親、知己の表情や生の瞬間が巧みな筆調で描きだされる。  怒る井上ひさしがいる。たとえば「クラブハウスサンドイッチ」では、「父と暮………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]文芸

関東大震災朝鮮人虐殺の記録―東京地区別1100の証言 [編著]西崎雅夫

関東大震災朝鮮人虐殺の記録―東京地区別1100の証言 [編著]西崎雅夫

■丹念な調査で異常な実態を解明  著者は大学生時代に「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し慰霊(現在は追悼に改称)する会」発足に参加、以来一貫してこの実態解明に力を尽くしてきた。1923(大正12)年9月1日の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年11月20日
[ジャンル]政治 社会

丸刈りにされた女たち―「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 [著]藤森晶子

丸刈りにされた女たち―「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 [著]藤森晶子

 第2次世界大戦下、連合軍によりフランス各地が次々と解放される。その折、対独協力者のレッテルのもと、女性たちが頭髪を切られ、丸刈りにされて復讐(ふくしゅう)やリンチを受けた。約2万人に及んだという。  著者によるとこの丸………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年11月06日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

父母の記―私的昭和の面影 [著]渡辺京二

父母の記―私的昭和の面影 [著]渡辺京二

■愛惜込め、家族の実像赤裸々に  著者は、近代日本の土着空間を見続ける文筆家だが、その土台にある自らの家族共同体の実像を赤裸々に読者に示した。生を持続させる間、その実像を語らずにはいられないとの衝動が本書を貫く芯である………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年10月23日

戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗 [著]加藤陽子

戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗 [著]加藤陽子

■この国はなぜ3回誤ったのか  太平洋戦争への道筋で世界が日本に、「貴国はどちらを選択するのか」と問うたときが3回あったと、著者は説く。リットン報告書、三国軍事同盟、日米交渉。その選択時の状況を分析することは現代政治へ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年10月02日
[ジャンル]歴史

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