楊逸(作家)の書評

写真:楊逸さん

楊逸 (作家)
1964年中国ハルピン生まれ。87年に来日。2007年『ワンちゃん』(文學界新人賞)で作家デビュー。08年『時が滲む朝』で芥川賞受賞。他に『金魚生活』『すき・やき』『陽だまり幻想曲』、エッセー集に『おいしい中国』など。

孤独な天使たち [著]ニッコロ・アンマニーティ

孤独な天使たち [著]ニッコロ・アンマニーティ

■ぶつかりあう姉弟はやがて  他人に共感できず、「自己愛性人格障害」と診断された14歳の少年、ロレンツォは、学校で仲間に恵まれず、孤独な日々を過ごしていた。しかし両親は、息子がたくさんの友だちに囲まれるようになってほし………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2013年03月31日
[ジャンル]文芸

地図をつくった男たち―明治の地図の物語 [著]山岡光治

地図をつくった男たち―明治の地図の物語 [著]山岡光治

■当たり前の裏側に先人の努力  日本の近代地図の始まりは伊能忠敬の「大日本沿海輿地(よち)全図」いわゆる「伊能図」なのだが、これは大変精度の高い日本地図だと評価された一方、海岸線や主要な街道以外は、点検に用いた遠方の島………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2013年02月17日
[ジャンル]歴史

ハピネス [著]桐野夏生

ハピネス [著]桐野夏生

■微妙で複雑なママ友の世界  有紗は、3歳になる娘と江東区の巨大な埋め立て地に建つタワーマンションの29階に住んでいる若いママ。離婚を迫るメールが届いたきり、連絡を断った夫の俊平は、アメリカに単身赴任中である。  「上………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2013年02月10日
[ジャンル]文芸

元素をめぐる美と驚き―周期表に秘められた物語 [著]ヒュー・オールダシー=ウィリアムズ

元素をめぐる美と驚き―周期表に秘められた物語 [著]ヒュー・オールダシー=ウィリアムズ

■無表情に見える記号の裏に  学生時代の私にとって、化学は苦手な教科だった。授業ではいつも、元素記号をぼうっと眺め、何のイメージも湧かないまま、先生の言葉を聞き流していた。今となって唯一記憶に残っている分子式は、水を表………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2013年02月03日
[ジャンル]科学・生物

職業、コピーライター―広告とコピーをめぐる追憶 SINCE1966~1995 [著]小野田隆雄

職業、コピーライター―広告とコピーをめぐる追憶 SINCE1966~1995 [著]小野田隆雄

■時代を読み、心つかむ言葉  私たちは毎日、数えられないほどの言葉を見聞きしているが、印象に残るものはそう多くない。とりわけ何日も耳にこだまし、心まで響いて、つい突き動かされて消費行動に出てしまうフレーズとなると、なお………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2013年01月13日
[ジャンル]人文

世界しあわせ紀行 [著]エリック・ワイナー

世界しあわせ紀行 [著]エリック・ワイナー

■不幸なおばあちゃんの言葉には  人間なら誰しも幸せになりたいと願う。ゆえに生涯たゆまぬ努力をし続けるだろう。しかしそんな努力は、国の制度や社会環境などによって、無駄になってしまうこともあるではないか。世界一幸せな国を………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年12月16日
[ジャンル]人文

バビロンの魔女 [著]D・J・マッキントッシュ

バビロンの魔女 [著]D・J・マッキントッシュ

■人間の欲望が破壊する古美術  黄金と富こそは戦争の一番の動機である——という名言が、何度も脳裏に蘇(よみがえ)ってきた。  イラク戦争の真っただ中の2003年、「バグダッドの財宝の館、世界に名高いイラク国立博物館」で………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年12月02日
[ジャンル]文芸

のろのろ歩け [著]中島京子

のろのろ歩け [著]中島京子

■街の急速な発展と日常の矛盾  三つの中編からなる本著。北京、上海、台湾の三都市をそれぞれ背景として、仕事や生活、親子関係に事情を抱える日本人の女性が、一人で異国の町へ出かけるという、いわゆる「三都物語」だ。  第一編………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年11月25日
[ジャンル]文芸

マルコーニ大通りにおけるイスラム式離婚狂想曲 [著]アマーラ・ラクース

マルコーニ大通りにおけるイスラム式離婚狂想曲 [著]アマーラ・ラクース

■文化の壁打ち抜く軽妙な語り口  イーサーとソフィアという男女二人の語り手を交互に登場させて、物語は進められていく。しかし、前者は偽名であり、後者はある種の通称名とでも言えよう。  「テロとの戦い」が欧米社会での合言葉………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年10月28日
[ジャンル]国際

上海、かたつむりの家 [著]六六

上海、かたつむりの家 [著]六六

■人物も物語も狂気に暴走して  家が欲しい——そんな夢を抱き、夫婦がむしゃらで頑張る日本のバブル時代の「家を買う物語」のドラマは、来日初期に幾つも見た。私有地を認めない中国でも、今まさに同じ題材が、特殊な国情を加味して………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年10月21日
[ジャンル]文芸 社会

湿地 [著]アーナルデュル・インドリダソン

湿地 [著]アーナルデュル・インドリダソン

■事件で浮かび上がる悲しい過去  アイスランドの首都・レイキャヴィクの一角、ノルデュルミリ(北の湿地)にある集合住宅で老人が殺された。現場に残されたメッセージや、引き出しの奥から発見された古ぼけたモノクロ写真を手掛かり………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年08月05日
[ジャンル]文芸

台湾海峡一九四九  [著]龍應台

台湾海峡一九四九  [著]龍應台

■生死と離散の人生、語り始めた兵たち  ドイツで暮らす、十九歳の息子が兵役により間もなく入営しなければならない。そんな息子に、母親である著者が、一九四九年の「兵隊さん」を語り出す。戦争の渦に巻き込まれた両親をはじめ、至………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年07月29日
[ジャンル]歴史

トガニ 幼き瞳の告発 [著]孔枝泳

トガニ 幼き瞳の告発 [著]孔枝泳

■実在の事件描き社会揺さぶる  濃霧の立ちこめる霧津(ムジン)市で障害児の事故死が相次いでいる。そんな時期に、ソウルから一人の新しい教師、カン・インホがこの地の聴覚障害者学校・慈愛学院に赴任してきた。初めての授業で、弟………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年07月22日
[ジャンル]文芸

私は東ドイツに生まれた―壁の向こうの日常生活 [著]フランク・リースナー

私は東ドイツに生まれた―壁の向こうの日常生活 [著]フランク・リースナー

■自由を手に入れ、過去を懐かしむ    ベルリンの壁が崩壊した翌年、一つの国が40年という短い「生涯」を終え、世界から消えた。それはドイツ民主共和国――いわゆる東ドイツである。現在は日本に住む、東生まれで、東西統一時に………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年05月20日
[ジャンル]歴史 国際

ピダハン―「言語本能」を超える文化と世界観 [著]ダニエル・L・エヴェレット

ピダハン―「言語本能」を超える文化と世界観 [著]ダニエル・L・エヴェレット

■神を持たない民族との日々  読書人生の中でこれほど衝撃を受けたことはあっただろうか。本を閉じて、私は暫(しばら)くそう自問せずにいられなかった。ピダハン——ブラジル・アマゾンの奥地に暮らす民族である。外部との交流が極………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年05月13日
[ジャンル]人文

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