鷲田清一(大谷大学教授・哲学)の書評

写真:鷲田清一さん

鷲田清一 (大谷大学教授・哲学)
1949年京都市生まれ。大阪大総長をへて大谷大教授。現象学・身体論の視点から、医療や介護、教育の現場などに哲学の思考をつなぐ「臨床哲学」にも取り組む。著書に『モードの迷宮』(サントリー学芸賞)『「聴く」ことの力』(桑原武夫学芸賞)『「ぐずぐず」の理由』(読売文学賞)『メルロ=ポンティ可逆性』など。

意味としての心―「私」の精神分析用語辞典 [著]北山修

意味としての心―「私」の精神分析用語辞典 [著]北山修

■言葉による治療、別の物語に変換  過去に書いた論考や随筆や事典原稿を集めたら精神分析の用語辞典になった。それほど著者は言葉による治療にこだわってきた。  心のあがき、軋(きし)み、焦り、躓(つまず)き、へたれ……。ひ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2014年03月23日
[ジャンル]人文 医学・福祉

セラピスト [著]最相葉月

セラピスト [著]最相葉月

■心理療法への問い、自分巻き込み取材  競輪選手、絶対音感、青いバラ、生命倫理、東大応援団、そして星新一。最相葉月がこれまで集中的に取材してきた対象だ。ノンフィクション作家としての最相の、七変化のようなテーマの交替にい………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2014年02月23日
[ジャンル]科学・生物 ノンフィクション・評伝

座談の思想 [著]鶴見太郎

座談の思想 [著]鶴見太郎

■魅力引き出す優れた「しきり」  「だらだら書いてから字数調整するのは素人よ。私なんか書き終えたときには字数がぴったり合っている。プロだから」。そう平然とのたまう作家に会って、縮こまったことがある。同じ意味で、この本は………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2014年02月09日
[ジャンル]文芸

民主主義のつくり方 [著]宇野重規

民主主義のつくり方 [著]宇野重規

■<習慣>から未来への展望探る  こんな柔らかい言葉で現代政治について論じる人は、日本の政治学者のなかではめずらしいのではないか。  以前、この人が〈身体〉という概念を用いて政治史を論じている文章にふれて、とても新鮮に………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年12月08日
[ジャンル]政治

どっこい大田の工匠たち―町工場の最前線 [著]小関智弘

どっこい大田の工匠たち―町工場の最前線 [著]小関智弘

■技能が磨いた底知れぬ謙虚さ  五十年の職人生活を送った旋盤工であり、作家でもある小関智弘さんは、職工の世界を内と外から同時に見られる人だ。だから従業員数名といった小さな町工場が集積する町、東京・大田区での職工さんたち………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年12月01日
[ジャンル]経済

三面記事の歴史 [著]ロミ

三面記事の歴史 [著]ロミ

■時代を超えて、のぞき見誘う  「三面記事」は、いまの日本でいえば、スポーツ新聞や夕刊紙のゴシップ欄やセンセーショナルな記事にあたる。奇矯な事故や犯罪、スキャンダルや痴情の果ての惨事といった、人がついのぞき見したくなる………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年10月27日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ハモの旅、メンタイの夢 日韓さかな交流史 [著]竹国友康

ハモの旅、メンタイの夢 日韓さかな交流史 [著]竹国友康

■海を挟んだ豊かな交流をたぐる  日本からはスケトウダラやヌタウナギが、韓国からはヒラメやハモやアナゴが、毎日海峡をまたいで大量に行き来する。京都のハモ料理の上物は韓国産だし、釜山名物のコムジャンオクイは日本産のヌタウ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年09月22日
[ジャンル]社会

首里城への坂道―鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像 [著]与那原恵

首里城への坂道―鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像 [著]与那原恵

■調査・史料に残った戦前の文化  明治12(1879)年の「琉球処分」と首里城明け渡しによって王国が崩壊したあと、琉球文化が衰亡の一途をたどるなか、昭和初期、空前の「沖縄ブーム」が起こり、その後一転して戦時下「本土防衛………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年09月08日
[ジャンル]歴史

書淫日記 万葉と現代をつないで [著]上野誠

書淫日記 万葉と現代をつないで [著]上野誠

■研究の話で笑わせる語り芸  「書淫(しょいん)」は、著者によれば、本を読むこと、買うことに過度に傾くことで、オタクと似て内向きの幸福に浸るところがあり、つい鼻白んでしまいもする。ところが著者は、他人を歓(よろこ)ばせ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年09月01日
[ジャンル]人文

考えすぎた人―お笑い哲学者列伝 [著]清水義範

考えすぎた人―お笑い哲学者列伝 [著]清水義範

■「入り口」へ誘う快調な文章擬態  神託をもとめ「ソクラテスより頭のいい人間はいますか」と訊(たず)ねるところを、「頭の強い人間」と言い損ねたあとの顛末(てんまつ)から、サルトルを被告とする恋愛裁判まで、12名の哲学者………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年08月11日
[ジャンル]人文

「昭和」を送る [著]中井久夫

「昭和」を送る [著]中井久夫

■精神への「圧力」、減圧の工夫  時代の流れにふと、えもいわれぬ違和を感じるとき、あの人ならどう受けとめるだろうかとその発言にふれたくなる、そんな書き手がだれにも数人はあるのではないか。わたしにとってはずっと、中井久夫………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年08月04日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

幸福の文法―幸福論の系譜、わからないものの思想史 [著]合田正人

幸福の文法―幸福論の系譜、わからないものの思想史 [著]合田正人

■「問い」を問い直すラジカルな人間論  「幸福だった」というふうに、幸福は失ってはじめてわかる。あるとき幸福を感じても幸福感というものは長続きせずに凡庸な日常へとすぐに均(なら)されてしまう。幸福への問いは難儀なものだ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年07月28日
[ジャンル]人文

主婦と演芸 [著]清水ミチコ

主婦と演芸 [著]清水ミチコ

■鋭い観察眼、心地良いコトバ  文章を書くのが好きという清水さん。コトバの上下動が心地いい。まるで空中ブランコの下に張られた大きなネットをゆらゆらと歩いているみたい。主役を張らない“モノマネ芸人”、そして二十数年やって………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年06月23日
[ジャンル]人文

彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?―窃盗癖という病 [著]河村重実 [監修]竹村道夫

彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?―窃盗癖という病 [著]河村重実 [監修]竹村道夫

■「治療的司法」への取り組みも  一見遠い話のようだが、この本で引かれた手記を読んで、ハマってしまってどうにも抜けられない窃盗癖患者の苦しみが立ち上がるその足許(あしもと)が、自身のそれと地続きでないと言い切れる人がど………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年06月02日
[ジャンル]教育 医学・福祉 社会

民俗と民藝 [著]前田英樹

民俗と民藝 [著]前田英樹

■「暮らしの真実」透視した2人  学術用語の初期の翻訳例に、今は「真理」「真実」と訳されるtruthの訳語として「本真(ホンマ)」というのがあった。嘘(うそ)みたいな話だが、ホンマのこと。ものごとを貫く「まこと」の道理………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年05月26日
[ジャンル]歴史 社会

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