蜂飼耳(詩人・作家)の書評

写真:蜂飼耳さん

蜂飼耳 (詩人・作家)
1974年生まれ。詩集『いまにもうるおっていく陣地』(中原中也賞)、『食うものは食われる夜』(芸術選奨新人賞)、絵本『うきわねこ』(産経児童出版文化賞ニッポン放送賞)。主な小説集に『紅水晶』、エッセー集に『空席日誌』『おいしそうな草』など。

松居直と絵本づくり [著]藤本朝巳

松居直と絵本づくり [著]藤本朝巳

 昨年創刊60周年を迎えた月刊絵本「こどものとも」(福音館書店)は名作を送り出してきた。茂田井武(もたいたけし)画の『セロひきのゴーシュ』や瀬田貞二訳『三びきのやぎのがらがらどん』、赤羽末吉画の『かさじぞう』、なかがわり………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年03月26日
[ジャンル]文芸

マティスとルオー 友情の手紙 [編]ジャクリーヌ・マンク

マティスとルオー 友情の手紙 [編]ジャクリーヌ・マンク

■間柄示す、彩り豊かな言葉の橋  マティスもルオーも画家なのだから、後世の受け手はまずは作品だけ観(み)ていればよい、とも言える。けれど、この書簡集に触れた結果、少なくとも私にとっては、それぞれの絵を思い浮かべるときの………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年02月26日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

メシュガー [著]アイザック・B・シンガー [訳]大崎ふみ子

メシュガー [著]アイザック・B・シンガー [訳]大崎ふみ子

■人間の不可解さを直視する文学  この小説は、第2次世界大戦から7年後のニューヨークを舞台に始まる。戦前にヒトラーとナチズムの迫害を逃れて故郷ポーランドからアメリカへ渡った作家アーロン・グレイディンガーと、ユダヤ難民と………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年02月12日
[ジャンル]文芸

在りし、在らまほしかりし三島由紀夫 [著]高橋睦郎

在りし、在らまほしかりし三島由紀夫 [著]高橋睦郎

■魂の交わりと作品への冷徹な目  現代の最もすぐれた詩人の一人である高橋睦郎がついに、三島由紀夫との交流を一冊にまとめた。文章の他に、講演や対談も収録され、読み応えがある。  第2詩集『薔薇(ばら)の木 にせの恋人たち………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

ジュリエット [著]アリス・マンロー

ジュリエット [著]アリス・マンロー

■人生の分岐点、自然な手つきで  だれの人生にも、いくつもの岐路がある。意識できる分岐点もあれば、気づかないうちにそれが訪れる場合もある。アリス・マンローは、そんな事柄の扱い方と描写に長(た)けている。  読み進めるう………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

少年が来る―新しい韓国の文学15 [著]ハン・ガン

少年が来る―新しい韓国の文学15 [著]ハン・ガン

■弾圧された人々の傷ひとつずつ  民主化宣言から30年が経過しようとしている韓国は、大統領退任を求める動きに揺れている。1963年から93年まで軍人出身の大統領が続く中、反独裁・民主化要求の運動は繰り返され、学生を含む………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年12月11日
[ジャンル]政治 社会

オはオオタカのオ [著]ヘレン・マクドナルド

オはオオタカのオ [著]ヘレン・マクドナルド

 すばらしいノンフィクション作品だ。著者のヘレン・マクドナルドはケンブリッジ大学で科学史・科学哲学を学んだ女性。父の死によって精神的な危機に直面し、ある日思い立ってオオタカを飼う。少しずつ慣れていくオオタカと著者の距離感………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年11月27日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

蜜蜂と遠雷 [著]恩田陸

蜜蜂と遠雷 [著]恩田陸

■音楽への愛情伝える、展開の妙  舞台は芳ケ江(よしがえ)国際ピアノコンクール。3年ごとに開催され、6回目を迎えるこのコンクールは、優勝者が世界屈指のSコンクールでも優勝した実績があり、近年評価が高い。コンテスタント(………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年11月13日
[ジャンル]文芸

幕末の女医、松岡小鶴―1806−73 柳田国男の祖母の生涯とその作品 [編著]門玲子

幕末の女医、松岡小鶴―1806−73 柳田国男の祖母の生涯とその作品 [編著]門玲子

■風変わりな漢文ににじむ人生  松岡小鶴(こつる)は、柳田国男の祖母にあたる人物だ。その漢詩や書簡を現代語訳し、生涯とともに紹介する内容としては初の試みとなる本書。編著者の門玲子は、女性史研究家として長年、とくに江戸期………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年10月23日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

日本語のために―日本文学全集30 [編]池澤夏樹

日本語のために―日本文学全集30 [編]池澤夏樹

■祝詞から憲法までの言葉の姿  思考と文体は相互に影響し合う。リテラシー(読み書き能力)は時代とともに変化する。日本語はどのように変遷してきたのか。本書は、古代から現代までのさまざまな「文体のサンプル」と考察から成るア………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年10月02日
[ジャンル]文芸 人文 社会

あの夏、兵士だった私―96歳、戦争体験者からの警鐘 [著]金子兜太

あの夏、兵士だった私―96歳、戦争体験者からの警鐘 [著]金子兜太

 九七歳になる俳人の金子兜太が、戦争体験を軸に据え、これまでの人生と俳句を語る。海軍に属して南方第一線を希望し、旧南洋諸島のトラック島に配属された若い日。その戦場は「郷土の期待」「祖国のために」などのスローガンや「美学」………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年09月18日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

怪物君 [著]吉増剛造 心に刺青をするように [著]吉増剛造

怪物君 [著]吉増剛造 心に刺青をするように [著]吉増剛造

■虚実の間、捉える言葉を探る  言葉で表された詩が「わかる・わからない」という判断と対面させられる場合、それは主に、意味や文脈においてのことだ。「わからない」と感じるとき、判断の足場は、たとえば制度として習う日本語が持………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年09月04日
[ジャンル]文芸

鮎川信夫、橋上の詩学 [著]樋口良澄

鮎川信夫、橋上の詩学 [著]樋口良澄

 戦後、詩の雑誌「荒地(あれち)」の中心メンバーとなり、詩と批評の執筆に力を注ぎ、現代詩の歩みに大きな影響を与えた詩人・鮎川信夫。今年は没後三十年だ。  本書は、その詩と背景に踏みこむ労作。著者は編集者として晩年の鮎川に………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年08月28日
[ジャンル]文芸

川原慶賀の「日本」画帳―シーボルトの絵師が描く歳時記 [編]下妻みどり

川原慶賀の「日本」画帳―シーボルトの絵師が描く歳時記 [編]下妻みどり

 江戸時代、幕府の鎖国政策のもとで唯一開かれていた長崎の出島。今年没後一五〇年のオランダ商館医・シーボルトは、さまざまな情報や文物を持ち帰り、ヨーロッパにおける日本研究の基礎を作った。  長崎の絵師・川原慶賀は、シーボル………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]歴史

私の消滅 [著]中村文則

私の消滅 [著]中村文則

■悪意に操られる記憶と人格  記憶は、個人の同一性と結びつく。それなら、記憶が操作され、実際とは異なる記憶がはめこまれたら、人は別人格を生きることになるのか。本書は、悪意と暴力、記憶と人格が描出する見えない線への挑戦だ………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]人文 社会

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