出久根達郎(作家)の書評

写真:出久根達郎さん

出久根達郎 (作家)
1944年茨城県生まれ。古書店を営みながら執筆活動に入り、古書の知識を生かした小説やエッセー、漱石に関する著作で知られる。小説に『佃島ふたり書房』(直木賞)『御書物同心日記』、エッセーに『本のお口よごしですが』(講談社エッセイ賞)『古本奇譚』『作家の値段』『日本人の美風』など。

辞書になった男 ケンボー先生と山田先生 [著]佐々木健一

辞書になった男 ケンボー先生と山田先生 [著]佐々木健一

■編纂者2人の訣別、語釈に現れる心理  小説よりも面白い。評言は、この一言に尽きる。  何が、面白いか。小説のような事実だからである。  辞書が小説とは思わなかった。神聖な学術書、だと信じていた。何しろ私たちが日常用い………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2014年03月30日
[ジャンル]文芸 社会

潮の騒ぐを聴け [著]小川雅魚

潮の騒ぐを聴け [著]小川雅魚

■地方色豊かな随筆の傑作  著者に会ってみたい。これは読後感で最大のほめ言葉だろう。読み終わって、著者が身近な人に思える。酒を酌みながら、お話をしたい。もっともっと、いろんなことを聞きたい。著者の顔を見てみたい。  こ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2014年03月23日
[ジャンル]文芸

パンダが来た道—人と歩んだ150年 [著]ヘンリー・ニコルズ

パンダが来た道—人と歩んだ150年 [著]ヘンリー・ニコルズ

■稀少動物と人間の関係を面白く  上野動物園のパンダが発情したらしい。果たして交配がうまくいくかどうか。ファンはかたずを呑(の)んで朗報を待っている。こんなことも、いまだ研究途上なのである。ようやく、幼い時の母との関わ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2014年03月16日
[ジャンル]科学・生物

暮らしのなかの植物 [著]斎藤たま

暮らしのなかの植物 [著]斎藤たま

■昔のガキ大将の代役を果たす書  昔は「ガキ大将」というものが子どもの世界で牛耳を執っていて、年下の者に遊びのルールだけでなく、生活の知恵まで伝授していた。たとえば、有毒植物の存在。シキミやヒマの実は猛毒であること。青………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2014年02月23日
[ジャンル]文芸

本を愛しすぎた男 本泥棒と古書店探偵と愛書狂 [著]アリソン・フーヴァー・バートレット

本を愛しすぎた男 本泥棒と古書店探偵と愛書狂 [著]アリソン・フーヴァー・バートレット

■紙の本の利点美点がいっぱい  一九八八年春、骨董(こっとう)品の大箱を十五ドルで買った郷土史家が、『タマレーン、その他の詩集』と題された小冊子を発見した。作者は「ボストン人」と記されていた。郷土史家はサザビーズのオー………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2014年01月26日
[ジャンル]文芸

わたしはマララ―教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女 [著]マララ・ユスフザイ、クリスティーナ・ラム

わたしはマララ―教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女 [著]マララ・ユスフザイ、クリスティーナ・ラム

■本とペンこそが私たちの武器  十六歳の少女の自伝である。侮ってはいけない。自伝は生きてきた年数でなく、体験の重さである。  少女は十五歳で、イスラム武装勢力タリバンの暗殺の標的となった。下校中のスクールバスにテロリス………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2014年01月12日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝 国際

少国民戦争文化史 [著]山中恒

少国民戦争文化史 [著]山中恒

■消された愚行の実体に迫る  「少国民」とは、第二次大戦中の呼称で、年少の国民のことである。もったいぶった言い方が戦時用語の特色だけど簡単に言えば、少年少女のこと。昭和十二年十一月、大毎小学生新聞・東日小学生新聞が、「………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2013年12月08日
[ジャンル]歴史

薬と文学 病める感受性のゆくえ [著]千葉正昭

薬と文学 病める感受性のゆくえ [著]千葉正昭

■麻酔剤はねむりぐすりなのか  たいていの小説に種々の薬が登場する。何気なく読みすごしているが、果たして薬の成分は何なのか。実際の薬効は文章の通りなのか。  明治二十八年に発表された泉鏡花の「外科室」に、手術を受ける伯………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2013年11月24日
[ジャンル]文芸

坪井正五郎―日本で最初の人類学者 [著]川村伸秀

坪井正五郎―日本で最初の人類学者 [著]川村伸秀

■多彩な交遊から浮かぶ人間像  坪井正五郎とは、何者であるか。彼が「コ字付け歌」と題して詠んだ狂歌で知れる。「古物(こぶつ)古跡コロボックルは好めどもコの字の病ひこれでコリゴリ」。コの字の病とは、コレラのことである。 ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2013年11月17日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

民家日用廣益秘事大全―江戸庶民の生活便利帳 [著]三松館主人 [訳]内藤久男

民家日用廣益秘事大全―江戸庶民の生活便利帳 [著]三松館主人 [訳]内藤久男

■江戸の「これは便利だ」事典  江戸時代の「やっ、これは便利だ」日用百科事典である。  こんな内容。シャックリを止める法。冷水に寺と三回書き、その水を三口で飲む。  大便をこらえる法。男は左、女は右の掌(てのひら)に指………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2013年11月03日
[ジャンル]歴史

木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」 [著]通崎睦美

木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」 [著]通崎睦美

■その音色で全米の子が目ざめた  評者には木琴は、昭和の音色である。戦後六、七年頃(ごろ)、小学校の音楽室で聞いた。田舎の子の耳にはハイカラな響きだった。平岡養一の名は、ラジオで知っていた。こんな字を書くとは本書で教え………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2013年10月27日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

摘便とお花見―看護の語りの現象学 [著]村上靖彦

摘便とお花見―看護の語りの現象学 [著]村上靖彦

■「ケアとは何か」を語る言葉  摘便(てきべん)、とは耳慣れない言葉だが、看護用語であろうか。摘芽、摘花はある。芽や花を摘むことである。便を摘むのが摘便。では「お花見」とは。  何だかむずかしそうな副題の本だが、ひと口………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2013年10月20日
[ジャンル]人文 社会

ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎 [著]堀井憲一郎

ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎 [著]堀井憲一郎

■金と銀のエンゼルは何枚なのか  まずは著者から紹介しよう。ピーナツ入り柿の種(俗に言う柿ピー)の、柿とピーの比率を、わが国で初めて調査した人である。チョコボール(これは菓子)を一千個買って、金と銀のエンゼルが何枚入っ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2013年10月06日
[ジャンル]社会

江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし [著]吉田智子

江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし [著]吉田智子

■戦時中は爆弾よけに飼われた  大抵の人が一度は飼った覚えがあるはずだが、その結末は記憶に無い。ふしぎな「ペット」である。はかない生き物だと思っていたら、寿命は平均15年くらいで、最長寿45年の記録があるという。  飼………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2013年09月15日
[ジャンル]文芸 科学・生物

世紀の名作はこうしてつくられた [著]エレン・F・ブラウン、ジョン・ワイリー2世 [訳]近江美佐

世紀の名作はこうしてつくられた [著]エレン・F・ブラウン、ジョン・ワイリー2世 [訳]近江美佐

■『風と共に来る』だったのかも  五百七十四頁(ページ)を、一気に読了した。読んでいる最中も興奮したが、読み終わった今も同じくらい興奮している。  本書は、『風と共に去りぬ』という名作の歴史を、根掘り葉掘り調べあげてつ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2013年08月18日
[ジャンル]文芸

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