内澤旬子(文筆家・イラストレーター)の書評

写真:内澤旬子さん

内澤旬子 (文筆家・イラストレーター)
1967年神奈川県生まれ。ノンフィクション、エッセー、イラストルポなど幅広い分野で著書がある。『センセイの書斎』『世界屠畜紀行』『おやじがき』『身体のいいなり』(講談社エッセイ賞)、『飼い喰い 三匹の豚とわたし』。松田哲夫氏との共著に『「本」に恋して』など。

猪変 [編]中国新聞取材班

猪変 [編]中国新聞取材班

■海を渡る厄介者、苦闘今なお  昨年秋ごろ。瀬戸内海を泳ぐ猪(いのしし)の映像が全国ニュースで流れた。コミカルな音楽付きで、女性アナウンサーの「微笑(ほほえ)ましい」といわんばかりの口調に、気が遠くなった。  海を泳ぐ………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2015年03月22日
[ジャンル]文芸

たまきはる [著]神藏美子

たまきはる [著]神藏美子

■愛という業 隠さず、手放さず  今から十年くらい前のことだろうか。写真家の神藏さんにお会いしたときに「次のテーマは神様」と打ち明けられ、しばらく言葉がでてこなかった。  写真は、目に見えるものしか映すことができないと………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2015年03月15日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

れるられる [著]最相葉月

れるられる [著]最相葉月

■人生の選択、暖かなまなざしで  「生む・生まれる」「支える・支えられる」「絶つ・絶たれる」など、六つの動詞の能動と受動を往還するエッセイ。  ひとは無意識に「こちらがわ」にいると思いがちだ。傷ついていない。被災してい………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2015年03月08日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

2040年の新世界—3Dプリンタの衝撃 [著]ホッド・リプソン、メルバ・カーマン

2040年の新世界—3Dプリンタの衝撃 [著]ホッド・リプソン、メルバ・カーマン

■「どんな形も」の期待と課題  3Dプリンタが個人レベルでも利用できる時代が到来した。どんな形状のものでも一個単位から作ることができると言われても、技術に想像力が追い付かない。これから製造業がどう変わるのかもわからず、………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2015年03月01日
[ジャンル]IT・コンピューター

工作舎物語-眠りたくなかった時代 [著]臼田捷治

工作舎物語-眠りたくなかった時代 [著]臼田捷治

■俊才に迷いなし、もの作りの気概  80年代後半、学生だった私は、アルバイト先のグラフィックデザイナーの松田行正(ゆきまさ)の事務所から、よく工作舎にお使いに出された。  およそ出版社のイメージにそぐわない瀟洒(しょう………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2015年02月01日
[ジャンル]政治 社会

妄想彼女—頭の中で作りあげた僕の恋人 [著]地主恵亮

妄想彼女—頭の中で作りあげた僕の恋人 [著]地主恵亮

■セルフシャッターの天国と地獄  恋人との幸せそうな写真をSNSに載せて自慢したい。現実には恋人どころか友達も少ないほぼ無職男性。かわいらしい女性と出会い、恋人となり、一緒に暮らし……という妄想を膨らませ、手にマニキュ………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2015年01月25日
[ジャンル]社会

夜また夜の深い夜 [著]桐野夏生

夜また夜の深い夜 [著]桐野夏生

■心の闇を癒やす不幸また不幸  生活への不安。満たされない焦燥。それらを他者にわかってもらえない絶望。  桐野夏生の作品を読むとき、自分の中に燻(くすぶ)る闇が、じんわりと解放される。なぜだろう。これまでの作中に、幸福………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2014年12月21日
[ジャンル]文芸

オウリィと呼ばれたころ—終戦をはさんだ自伝物語 [著]佐藤さとる

オウリィと呼ばれたころ—終戦をはさんだ自伝物語 [著]佐藤さとる

■戦時下、志したファンタジー  子ども時代、コロボックルという小指くらいの人が出てくる物語に夢中になった。自分の側(そば)にもいるのではないかとカーテンをめくってみたものだ。似たような経験を持つひとは、たくさんいるはず………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2014年12月14日
[ジャンル]文芸

馬の自然誌 [著]J・E・チェンバレン

馬の自然誌 [著]J・E・チェンバレン

■人との歩み、縦横無尽に考察  かつて私たちは馬の力に依拠して生きてきた。農耕だけでなく移動も戦争も、馬がいなければ成し遂げられなかったことは多い。アレクサンドロス率いるマケドニア軍で最重要の軍備は馬であった。彼は馬を………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2014年11月30日
[ジャンル]科学・生物

ナパ—奇跡のぶどう畑 [著]ダグ・シェーファー、アンディ・デムスキィ

ナパ—奇跡のぶどう畑 [著]ダグ・シェーファー、アンディ・デムスキィ

■父と息子、成功と煩悶の記録  カリフォルニアのナパヴァレー。有名なワイン生産地だ。本書はナパヴァレーがまるで無名だった1970年代初頭、50歳を前に脱サラして土地を買い、ブドウを植え、ワインを作り始めた父と、後を継ぎ………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2014年11月23日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

うつの医療人類学 [著]北中淳子

うつの医療人類学 [著]北中淳子

■揺れ動く定義や原因を俯瞰する  ここ十年ほどで誰でも罹(かか)りうる病気として知られるようになったうつ病。本書では主に国内におけるこの症状を巡る治療方法や原因、社会との関係などの歴史的変遷を簡潔にたどる。  前近代の………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2014年11月09日
[ジャンル]医学・福祉

徘徊タクシー [著]坂口恭平

徘徊タクシー [著]坂口恭平

■のぞいてみたい、別次元の世界  認知症の高齢者が一万人も行方不明になっていると知り、衝撃を受けている。彼らはどこに行ってしまったのだろう。いや、どこに向かって行こうとしていたのだろう。  介護する側、残される側の心痛………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2014年10月19日
[ジャンル]文芸

未闘病記——膠原病、「混合性結合組織病」の [著]笙野頼子

未闘病記——膠原病、「混合性結合組織病」の [著]笙野頼子

■心も体も揺さぶる圧巻な痛みの描写  膠原(こうげん)病という病名を知ったのはいつ頃だったろう。十五年くらいは前。「よくわからない病気」というのが当時から長らく持ち続けている感想。  そう、膠原病だという人に会うたびに………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2014年10月05日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

死者を弔うということ―世界の各地に葬送のかたちを訪ねる [著]サラ・マレー

死者を弔うということ―世界の各地に葬送のかたちを訪ねる [著]サラ・マレー

■葬儀埋葬不要でいられるか  人はいかに人を葬ってきたか。ニューヨーク在住のイギリス人ジャーナリストが、世界各地の葬送習慣を訪ねながら、父親の看取(みと)りと葬送を回顧し、来るべき自分自身の葬送方法を考えていく。  ど………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2014年09月28日
[ジャンル]文芸

紙つなげ!彼らが本の紙を造っている―再生・日本製紙石巻工場 [著]佐々涼子

紙つなげ!彼らが本の紙を造っている―再生・日本製紙石巻工場 [著]佐々涼子

■被災社員が救った出版の危機  本の造作の良し悪(あ)しは、本文紙で決まると思っている。本を構成する紙の中でも体積重量ともに大半を占めるのが本文紙なのだ。地味ではあるけれど、100枚の束になったときの表情は、実に多様。………[もっと読む]

[評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)
[掲載]2014年08月31日
[ジャンル]社会

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