隈研吾(建築家・東京大学教授)の書評

写真:隈研吾さん

隈研吾 (建築家・東京大学教授)
1954年横浜市生まれ。建築では「森舞台」(日本建築学会賞)「根津美術館」(毎日芸術賞)、「梼原・木橋ミュージアム」(芸術選奨文部科学大臣賞)など。新しい歌舞伎座も手がける。著書に『反オブジェクト』『自然な建築』、共著に『日本人はどう住まうべきか?』など。

老北京の胡同―開発と喪失、ささやかな抵抗の記録 [著]多田麻美 [写真]張全

老北京の胡同―開発と喪失、ささやかな抵抗の記録 [著]多田麻美 [写真]張全

■路地は相互扶助・情報交換の装置  中国の路地のことを胡同(フートン)という。暗いグレーのレンガの壁が延々と続き、狭く、長く、全く迷宮である。レンガ壁の裏側に、大小様々な中庭型住宅が並び、これが北京の住宅地の基本形式で………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2015年03月22日
[ジャンル]歴史 社会

日本木造遺産—千年の建築を旅する [著]藤森照信、藤塚光政

日本木造遺産—千年の建築を旅する [著]藤森照信、藤塚光政

■「木というナマモノ」を宣言  木造建築が突如ナマモノに感じられて、ドキドキした。  木造建築は日本の宝である。世界を見渡しても、日本の木造技術は段違いであり、そのレベルが保たれていることに、たびたび驚かされる。  し………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2015年03月08日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

現代の建築家 [著]井上章一

現代の建築家 [著]井上章一

■従来の建築史覆す、勇気ある論  「現代の建築家」が、1867年生まれの長野宇平治、伊東忠太から始まるのに驚いた。現代建築家は、第2次大戦後という通常の建築史の書き方を井上はなぜ逸脱したのか。  建築デザインにおいても………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2015年02月15日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

HIROSHI HARA:WALLPAPERS—空間概念と様相をめぐる〈写経〉の壁紙 [著]原広司

HIROSHI HARA:WALLPAPERS—空間概念と様相をめぐる〈写経〉の壁紙 [著]原広司

■境界が融け、写す豊かさを堪能  本を開くと、文字も紙も色も、見たことがないほどに不思議で、しかも美しい。著者は、日本を代表する建築家で、京都駅などの未来的な作品と、地の果ての集落と現代建築を重ねたユニークな思想で知ら………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2015年02月08日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

批判的工学主義の建築—ソーシャル・アーキテクチャをめざして [著]藤村龍至

批判的工学主義の建築—ソーシャル・アーキテクチャをめざして [著]藤村龍至

■既成インフラとの接続を提案  建築設計もweb2・0型にならって、ユーザーや市民が参加できる直接民主主義型にしなければいけないという、ありがちな主張の本かと思って読み始めたら、いい意味で予想を裏切られた。建築に限らず………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年11月23日
[ジャンル]社会

磯崎新インタヴューズ [著]磯崎新、日埜直彦 挽歌集―建築があった時代へ [著]磯崎新

磯崎新インタヴューズ [著]磯崎新、日埜直彦 挽歌集―建築があった時代へ [著]磯崎新

■日本を世界化した謎解く戦後建築史  磯崎新は戦後日本を代表する建築家の一人である。戦後第一世代と呼ばれる丹下健三が、東京オリンピック、大阪万博を頂点とする戦後復興に形態を与え、磯崎、槇文彦、黒川紀章らの第二世代が、高………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年11月02日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

空き家問題 [著]牧野知弘/「空き家」が蝕む日本 [著]長嶋修

空き家問題 [著]牧野知弘/「空き家」が蝕む日本 [著]長嶋修

■人間が空間を私有するこわさ  2040年の日本では、10軒のうち4軒が空き家になるそうである。  ショックである。少子高齢化とか出生率の低下というと、何かヒトゴトで抽象的な社会現象に思えて、リアリティがない。しかし「………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年09月07日
[ジャンル]社会

白熱講義 これからの日本に都市計画は必要ですか [著]蓑原敬ほか

白熱講義 これからの日本に都市計画は必要ですか [著]蓑原敬ほか

■縦割り崩れた今を刺激的に  都市計画の世界が、またおもしろくなってきた。ということは、裏を返せば、いままではつまらなかったということで、その裏の理由も、本書は明かす。  一言でいえば、日本的縦割りが、本来諸分野を串刺………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年08月10日
[ジャンル]社会

構造デザインマップ 東京 [編著]構造デザインマップ編集委員会

構造デザインマップ 東京 [編著]構造デザインマップ編集委員会

■すごい仕掛けがいっぱい  建築って、どういう仕組みで、地震でも倒れないのか。なぜあんな高くて細いビルが地震で揺れても壊れないのか。市民にとっても、興味深いテーマである。とくに、地震、津波が他人事(ひとごと)ではない今………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年08月03日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

浅田孝―つくらない建築家、日本初の都市プランナー [著]笹原克

浅田孝―つくらない建築家、日本初の都市プランナー [著]笹原克

■環境をテーマに時代を先取り  去年、生誕100年の丹下健三がブームである。「国立屋内総合競技場」をオリンピックのために設計した丹下は、日本が最も輝いた時代を、見事に建築へと昇華させた。  丹下は弟子もすごかった。槙文………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年07月27日
[ジャンル]人文 社会

身体巡礼 ドイツ・オーストリア・チェコ編 [著]養老孟司

身体巡礼 ドイツ・オーストリア・チェコ編 [著]養老孟司

■連続していた生死、共同体消えて分節  こんなグロテスクな死体の処理があったのかと、驚かされ、背筋が寒くなった。ドライな火葬方法に慣れた現代日本人にはショックの連続である。ヨーロッパを代表する貴族ハプスブルク家では、心………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年07月20日
[ジャンル]医学・福祉 社会

フルサトをつくる——帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方 [著]伊藤洋志、pha

フルサトをつくる——帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方 [著]伊藤洋志、pha

■現代の参勤交代が日本を救う  参勤交代を復活すべきだというのが、養老孟司の説である。都市と地方の格差解消策、過疎化対策として有効なことはわかるが、現実的に無理だろうと思っていた。  しかしこの本を読んで、参勤交代は復………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年07月13日
[ジャンル]文芸 社会

庭師が語るヴェルサイユ [著]アラン・バラトン

庭師が語るヴェルサイユ [著]アラン・バラトン

■壮大だがやわらかくて人間的  正直いって、大きすぎ、まっすぐすぎて退屈な庭だなあと感じていた。そんな「フランス庭園の最高峰」ヴェルサイユ宮殿が、全く違った、やわらかくて人間的なものに見えてきたし、フランスという国自体………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年05月18日
[ジャンル]歴史

日記で読む文豪の部屋 [著]柏木博

日記で読む文豪の部屋 [著]柏木博

■「私」と自宅の関係を徹底分析  名だたる文豪のユニークな自宅が題材となっているが、日本人にとって自宅とは何なのか、人間にとってそもそも家とは何なのか、が本書の真のテーマである。文豪はサンプルであり、わが家をめぐって思………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年05月04日
[ジャンル]人文

驚くべき日本語 [著]ロジャー・パルバース

驚くべき日本語 [著]ロジャー・パルバース

■世界言語にもなりうる可能性  一種の日本礼賛本かと読みはじめたら、見事に裏切られた。筆者は、日本語を礼賛するが、現在の日本、日本人に対して批判的である。日本語と日本人は別物であり、日本語は「驚くべき」であるが、日本人………[もっと読む]

[評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)
[掲載]2014年04月13日
[ジャンル]人文 国際

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