水野和夫(日本大学教授・経済学)の書評

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水野和夫 (日本大学教授・経済学)
1953年愛知県生まれ。金融の現場に長く身を置き、文化的・歴史的な視点から経済の大きな流れを分析。著書に『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』『終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか』など。『超マクロ展望 世界経済の真実』は萱野稔人氏との共著。

古代末期のローマ帝国―多文化の織りなす世界 [著]ジリアン・クラーク

古代末期のローマ帝国―多文化の織りなす世界 [著]ジリアン・クラーク

■衰亡か変容かを超えゆく理念  古代末期に関する研究はここ50年で急速に進展した。ギボンが18世紀後半に『ローマ帝国衰亡史』で唱えたローマ帝国は蛮族(ゲルマン民族)の侵入で「衰亡」したという定説に挑戦する一派が現れたか………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2015年03月29日
[ジャンル]歴史

すべては1979年から始まった―21世紀を方向づけた反逆者たち [著]クリスチャン・カリル

すべては1979年から始まった―21世紀を方向づけた反逆者たち [著]クリスチャン・カリル

■「革命」「進歩」の近代に幕引き  本書によれば、21世紀は1979年から始まった。この年、五つの出来事(物語)が17〜20世紀を規定してきた近代に挑戦したのだった。  それは、中国文化大革命を終わらせた前年の「第十一………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2015年03月22日
[ジャンル]政治 社会

書物の夢、印刷の旅―ルネサンス期出版文化の富と虚栄 [著]ラウラ・レプリ

書物の夢、印刷の旅―ルネサンス期出版文化の富と虚栄 [著]ラウラ・レプリ

■「速く遠く」が開いた近代の扉  原題は『富か栄誉か』。中世から近代への移行期を、印刷産業を通して記述した「歴史ノンフィクション」である。舞台は16世紀の伊・ヴェネツィア、主人公は校正者。編集者である著者と重なる。  ………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2015年02月22日
[ジャンル]社会

経済と人間の旅 [著]宇沢弘文

経済と人間の旅 [著]宇沢弘文

■効率より人を重んじた思想家  宇沢弘文は経済学者の枠には収まらない。思想家と呼んだほうがふさわしい。ある時宇沢は「本来は人間の幸せに貢献するはずの経済学が、実はマイナスの役割しか果たしてこなかったのではないかと思うに………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2015年02月15日
[ジャンル]経済

図説・大西洋の歴史-世界史を動かした海の物語 [著]マーティン・W・サンドラー

図説・大西洋の歴史-世界史を動かした海の物語 [著]マーティン・W・サンドラー

■奴隷と妄想を積み、大海を渡る  「必要は発明の母」はイノベーションのみならず制度にも当てはまる。ハンムラビ法典の時代から存在した奴隷制度だが、「人種に根ざした奴隷制度などほぼどこにも存在しなかった」。大西洋が海路とな………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2015年02月01日
[ジャンル]歴史

日本銀行と政治―金融政策決定の軌跡 [著]上川龍之進

日本銀行と政治―金融政策決定の軌跡 [著]上川龍之進

■秩序のゆらぎ、生き生きと描く  政治であれ、経済であれ、どんなシステムも秩序が維持されて初めてうまく機能する。秩序維持には、生命の安全、信義、そして財産権の保護が不可欠である。日銀の目的である「金融システムの安定」(………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年12月21日
[ジャンル]政治

キリスト教とローマ帝国―小さなメシア運動が帝国に広がった理由 [著]ロドニー・スターク

キリスト教とローマ帝国―小さなメシア運動が帝国に広がった理由 [著]ロドニー・スターク

■初期信徒は中・上流の都市住民  ここ数年、不思議に思っていたことが二つある。一つは1215年にローマ・キリスト教会が利子率を容認してわずか50年後に生まれた詩人ダンテは、なぜお金を「神の僕(しもべ)をして道を誤らせる………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年12月07日
[ジャンル]人文

大格差―機械の知能は仕事と所得をどう変えるか [著]タイラー・コーエン

大格差―機械の知能は仕事と所得をどう変えるか [著]タイラー・コーエン

■科学が魔と化す、天才マシン時代  前著『大停滞』(2011年)で、著者は「イノベーション(技術革新)が停滞しているせいで」アメリカは「大停滞」していると主張した。その証拠に「人口当たりのイノベーション件数は1873年………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年11月09日
[ジャンル]政治 経済

海賊たちの黄金時代 [著]マーカス・レディカー、海賊と資本主義 [著]ロドルフ・デュランほか

海賊たちの黄金時代 [著]マーカス・レディカー、海賊と資本主義 [著]ロドルフ・デュランほか

■時代の先を進んだ荒くれたち  『海賊たちの黄金時代』は生きるために海賊にならざるを得なかった最下層の人々が、資本主義社会への移行期において自らの思うままに生きた姿を「階級闘争」という視点から描いている。一方、『海賊と………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年10月19日
[ジャンル]社会

アベノミクス批判―四本の矢を折る [著]伊東光晴

アベノミクス批判―四本の矢を折る [著]伊東光晴

■狙うは「戦後体制からの脱却」  本書は19世紀のドイツ国民ならぬ21世紀の「日本国民に告ぐ」憂国の書である。リベラル派の立場を鮮明にする筆者の「アベノミクス批判」に対して政権は反論するすべもない。これ以上明晰(めいせ………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年10月12日
[ジャンル]政治

文明と文化の思想 [著]松宮秀治

文明と文化の思想 [著]松宮秀治

■新しい神話を生んだ西欧近代  評者が漠然と感じていたグローバリゼーションなどの不気味さの正体を知らしめてくれたのが、前著『ミュージアムの思想』(2003年)と『芸術崇拝の思想』(08年)だった。第3弾の本書は、西欧近………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年09月21日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

アダム・スミスとその時代 [著]ニコラス・フィリップソン

アダム・スミスとその時代 [著]ニコラス・フィリップソン

■「真の人間学」追究した哲学者  本書は哲学者アダム・スミスの「思想の伝記」である。スミスは経済学の父と一般的にいわれるが、それはほんの一面を表しているにすぎない。彼が生涯をかけて成し遂げようとしたのは「人間の本性と歴………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年09月14日
[ジャンル]経済

ローマ帝国の崩壊——文明が終わるということ [著]ブライアン・ウォード=パーキンズ

ローマ帝国の崩壊——文明が終わるということ [著]ブライアン・ウォード=パーキンズ

■豊かな古代の「終焉」を実証  近年の欧米の主流歴史学の表現では、ローマ帝国は「崩壊」したのではなく「変容」したということになる。この立場は「古代の教養は死に絶え、『暗黒時代』の軛(くびき)のなかに取り残された」という………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年08月17日
[ジャンル]歴史

神と黄金―イギリス、アメリカはなぜ近現代世界を支配できたのか(上・下) [著]ウォルター・ラッセル・ミード [訳]寺下滝郎

神と黄金―イギリス、アメリカはなぜ近現代世界を支配できたのか(上・下) [著]ウォルター・ラッセル・ミード [訳]寺下滝郎

■「変化=進歩」の驚くべき楽観性  書名のとおり、本書の中心テーマは宗教(神)と資本主義(黄金)の関係にある。著者はかつて外交問題評議会(CFR)の上級研究員だった。CFRにはキッシンジャーら米外交政策の大物が名を連ね………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年08月03日
[ジャンル]歴史

エラスムス 人文主義の王者 [著]沓掛良彦

エラスムス 人文主義の王者 [著]沓掛良彦

■現代を予見した「もの書く男」  エラスムスはルターとの対比で語られることが多い。行動派で勇猛果敢な後者に対して、前者は思索的で優柔不断な人と、どちらかといえばエラスムスに分が悪い。しかし、本書を読むと、こうしたイメー………[もっと読む]

[評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)
[掲載]2014年07月20日
[ジャンル]社会

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