島田雅彦(作家・法政大学教授)の書評

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島田雅彦 (作家・法政大学教授)
1961年東京都生まれ。著書に『夢遊王国のための音楽』(野間文芸新人賞)『彼岸先生』(泉鏡花文学賞)『退廃姉妹』(伊藤整文学賞)『カオスの娘』(芸術選奨文部科学大臣賞)『ニッチを探して』『悪貨』など多数。

シベリア最深紀行―知られざる大地への七つの旅 [著]中村逸郎

シベリア最深紀行―知られざる大地への七つの旅 [著]中村逸郎

■辺境に息づく多様な精神文化  ロシアはイワン雷帝の時代からシベリアという辺境を抱え込むようにして、領土拡大と資源開発を行ってきた。地球の二酸化炭素の吸収源ともいわれるタイガや地球温暖化のバロメーターでもあるツンドラは………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2016年03月27日
[ジャンル]社会 国際

食糧と人類―飢餓を克服した大増産の文明史 [著]ルース・ドフリース

食糧と人類―飢餓を克服した大増産の文明史 [著]ルース・ドフリース

■革命と繁栄の歩み、その表と裏  文明史とはすなわち食糧増産の歩みである。人口の増加曲線は現在に近づくほど急になるが、これも飢餓の克服の成果だ。本書は太古の地球に生じた捕食関係、炭素、窒素、リンの循環から始まり、狩猟採………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]歴史 科学・生物

森は考える 人間的なるものを超えた人類学 [著]エドゥアルド・コーン

森は考える 人間的なるものを超えた人類学 [著]エドゥアルド・コーン

■現代人が忘れてしまった知恵  森や山、川などを人と見做(みな)し、鳥や草木が人に語りかけてくるという感覚を古代の日本人は持っていた。それは単なる擬人化にとどまらない自然観の現れであり、「森は考える」という本書の思想と………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2016年03月06日
[ジャンル]人文 社会

道程 オリヴァー・サックス自伝 [著]オリヴァー・サックス

道程 オリヴァー・サックス自伝 [著]オリヴァー・サックス

■徹底した自己批評、これぞ偉人  『レナードの朝』や『妻を帽子とまちがえた男』などの著作で知られる著者は豊富な臨床経験と繊細な観察眼を持つ優れた生理、神経学者だったが、同時に自己顕示欲の強い野心的表現者でもあった。晩年………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2016年02月21日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

微生物が地球をつくった [著]P・G・フォーコウスキー 生物界をつくった微生物 [著]N・マネー

微生物が地球をつくった [著]P・G・フォーコウスキー 生物界をつくった微生物 [著]N・マネー

■石油よりも人類に必要なもの    これらの本を読むと、人類がいかに微生物に依存し、限りない恩恵を与えられたかがよくわかる。病気になるのも、健康でいられるのも微生物次第というわけで、全ての動植物は生殺与奪の権を微生物に………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2016年01月31日
[ジャンル]科学・生物

新カラマーゾフの兄弟(上・下) [著]亀山郁夫

新カラマーゾフの兄弟(上・下) [著]亀山郁夫

■混沌の時代、「父殺し」の今を問う  ドストエフスキーの愛読者であった黒澤明は『白痴』を映画化しただけでなく、『酔いどれ天使』や『悪い奴ほどよく眠る』にもドストエフスキーの作中人物を脚色したようなキャラクターを登場させ………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2016年01月17日
[ジャンル]社会

人体600万年史—科学が明かす進化・健康・疾病(上・下) [著]ダニエル・E・リーバーマン

人体600万年史—科学が明かす進化・健康・疾病(上・下) [著]ダニエル・E・リーバーマン

■発達し退化する私たちの神秘  本書は自然と文化の産物である人体の多様な移り変わりを説明するメカニズムを集大成した労作である。人体は進化、適応、文化、環境、食事、病気、習慣など様々な要因が複雑に絡まり合うことで、形成さ………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年11月15日
[ジャンル]医学・福祉 社会

けもの道の歩き方―猟師が見つめる日本の自然 [著]千松信也

けもの道の歩き方―猟師が見つめる日本の自然 [著]千松信也

■現代が忘れた技能、今こそ光を  猟師ほど多方面の技能を要する仕事はない。猟師は罠(わな)や銃を扱える技術者であり、登山に長(た)け、里山の管理をする林業の知識も備え、仕留めた獲物を絶命させ、解体するブッチャーでもあり………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年11月08日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

秘島図鑑 [著]清水浩史

秘島図鑑 [著]清水浩史

■冒険か現実逃避か、絶海の誘惑  もはや秘境は何処(どこ)にもないといわれるが、島国日本にはまだ行くのが困難極まる島々が少なからずある。植民開拓の機運高まる明治時代にはアホウドリの羽毛や肥料になる糞(ふん)の堆積(たい………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年10月18日
[ジャンル]社会

ヒトはこうして増えてきた―20万年の人口変遷史 [著]大塚柳太郎

ヒトはこうして増えてきた―20万年の人口変遷史 [著]大塚柳太郎

■生存力拡充の歩み、近付く飽和  狩猟採集時代、人口は野生動植物の量に規定されていた。だが、石器を使い、狩りの成功率を高め、土器を用い、食用可能範囲とカロリー摂取効率を高めたことで、ヒトはほかの動物よりも生き残りに有利………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年09月27日
[ジャンル]歴史 人文

私の恋人 [著]上田岳弘

私の恋人 [著]上田岳弘

■ミクロとマクロの二重螺旋  近年、科学的分析技術の向上により、なぜ現生人類が生き延び、ネアンデルタール人が滅びたのか、人類はどのように拡散し、交雑したのかが明らかになってきた。ここ数万年間には、気候の変動や破局的な火………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年09月06日
[ジャンル]文芸

エクソダス症候群 [著]宮内悠介

エクソダス症候群 [著]宮内悠介

■滅亡への欲動、火星舞台に描く  産業革命以後、自然を搾取し尽くし、地球環境を悪化させてきたのは人類であるが、一連の科学技術開発の営為そのものが緩慢な滅亡のプロセスでもあった。核兵器や人工知能によって人類が滅ぼされるの………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年08月23日
[ジャンル]文芸

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた [著]ルイス・ダートネル

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた [著]ルイス・ダートネル

■思考実験で問う、もの作りの原点  冷戦時代の世界終焉(しゅうえん)イメージは核戦争による破局とその後の世界を想像することで磨き上げられた。放射能汚染された廃墟(はいきょ)で、どのようにサバイバルするのか、通俗的に定着………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年08月09日
[ジャンル]科学・生物 社会

言葉と爆弾 [著]ハニフ・クレイシ

言葉と爆弾 [著]ハニフ・クレイシ

■異文化の拒絶、深まる世界の傷  伝統と世代交代を縦糸に、ドラッグや同性愛、排他主義、移民のイスラム信仰などが横糸に絡む多文化共生社会独特のカオスは二十世紀末に実に多彩なポップカルチャーを生み出した。本書の作者ハニフ・………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年07月19日
[ジャンル]社会

勝者なき戦争 世界戦争の二〇〇年 [著] イアン・J・ビッカートン

勝者なき戦争 世界戦争の二〇〇年 [著] イアン・J・ビッカートン

■後引く犠牲と損害、勝敗とは?  日露戦争で日本は勝利したことになっているが、賠償金も、領土割譲も期待を遥(はる)かに下回り、国民に大いなる失望をもたらした。そもそも、アメリカが調停に乗り出したのも、満州における日露双………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年07月05日
[ジャンル]歴史

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