原武史(放送大学教授・政治思想史)の書評

写真:原武史さん

原武史 (放送大学教授・政治思想史)
はら・たけし。1962年東京都生まれ。近現代の天皇・皇室研究のほか、鉄道や団地などの「空間政治学」を提唱。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞)『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞)『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)など。

雪の階 [著]奥泉光

雪の階 [著]奥泉光

■二・二六前夜、重大な事実知る  天之御中主と書いてアメノミナカヌシと読む。『古事記』で一番はじめに出てくる神のことだ。二・二六事件が起こったのと同じ1936年に、元女官長の島津ハルを中心とする女性たちが、昭和天皇の死………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2018年03月18日
[ジャンル]文芸

老いぼれ記者魂―青山学院春木教授事件四十五年目の結末 [著]早瀬圭一

老いぼれ記者魂―青山学院春木教授事件四十五年目の結末 [著]早瀬圭一

■電話番号突きとめついに直接…  人生の終わりが近づきつつある。最後に何をなすべきか——。こう自問した早瀬圭一の前に、改めて毎日新聞の記者だった時代に取材した一つの事件が浮かび上がる。いまやすっかり忘却されたその事件は………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2018年03月11日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

「ウルトラセブン」の帰還 [著]白石雅彦

「ウルトラセブン」の帰還 [著]白石雅彦

■試行錯誤繰り返し、時代刻む  学生運動やベトナム反戦運動が高揚しつつあった1967年10月から68年9月にかけて、毎週日曜日に49回放送された子供向けのテレビ番組があった。「ウルトラセブン」である。  いまなお熱狂的………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2018年02月25日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

宿命の戦記―笹川陽平、ハンセン病制圧の記録 [著]高山文彦

宿命の戦記―笹川陽平、ハンセン病制圧の記録 [著]高山文彦

 皇室が国内のハンセン病患者に多大な関心を寄せてきたことはよく知られている。だが世界ではいまなおハンセン病が完全に制圧されていないばかりか、差別の構造が依然として残っている。病の根絶と差別撤廃のため精力的な活動を続けてい………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2018年02月04日
[ジャンル]社会

バテレンの世紀 [著]渡辺京二

バテレンの世紀 [著]渡辺京二

■現代史の謎にも貴重な示唆  『昭和天皇実録』第十によれば、昭和天皇は1946年7月から8月にかけて、宮内省御用掛の木下道雄を出張させ、「九州におけるカトリック教派の状況」を視察させた。この記述は謎に満ちている。なぜ敗………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2018年01月21日
[ジャンル]歴史

のこった―もう、相撲ファンを引退しない [著]星野智幸

のこった―もう、相撲ファンを引退しない [著]星野智幸

■力士の見事な技にこそ拍手を  かつて、琉王という沖縄出身の力士がいた。1972年の沖縄返還後もしこ名を改めず、琉球の王を自称し続けた。幕内の下位にいながら、ハワイ出身の高見山とともに、「日本人」で占められた角界に敢然………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2018年01月14日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

名婦列伝 [著]ジョヴァンニ・ボッカッチョ

名婦列伝 [著]ジョヴァンニ・ボッカッチョ

■神話・伝説も含め大がかりに  室町時代の学者、一条兼良は日野富子のために書いた「樵談治要(しょうだんちよう)」で、日本を「女のおさむべき国」とし、天照大神、神功皇后といった女神や伝説上の皇后から飛鳥、奈良時代の女帝を………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]歴史

高架線 [著]滝口悠生

高架線 [著]滝口悠生

 都心と郊外を結ぶ鉄道には、JR中央線のように高架が延々と続く線もあれば、西武新宿線のように高架のほぼない線もある。一方、池袋を起点とする西武池袋線は、四つ目の桜台から高架になるものの、九つ目の石神井公園を過ぎるとまた地………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年11月05日
[ジャンル]文芸

写真集―沖縄1935 [編]週刊朝日編集部

写真集―沖縄1935 [編]週刊朝日編集部

 琉球王国の時代から、沖縄では女性の地位が高かった。国王とは別に聞得大君(きこえおおぎみ)と呼ばれる最高位の巫女(みこ)もいた。明治以降も、久高(くだか)島には女性しか参加できない祭りがあり、糸満(いとまん)には女性が男………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年10月08日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

親鸞と日本主義 [著]中島岳志

親鸞と日本主義 [著]中島岳志

■なぜ「国体」に取り込まれたのか  親鸞といえば、阿弥陀仏のみを信仰し、その信仰を世俗のいかなる価値よりも上位においたため、師の法然とともに流罪となった人物として知られている。その信仰を徹底させれば、国家主義が強まった………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年10月01日
[ジャンル]人文

古都の占領―生活史からみる京都 1945−1952 [著]西川祐子

古都の占領―生活史からみる京都 1945−1952 [著]西川祐子

■時には「おしゃべり」風文体で  もう15年も前のことになる。占領期の皇居前広場について調べたことがあった。そのとき初めて、米軍をはじめとする連合国軍が、戦前に天皇制の儀礼空間として使われたこの広場をほぼ毎月のように利………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]歴史

平成の天皇制とは何か―制度と個人のはざまで [編]吉田裕・瀬畑源・河西秀哉/生前退位―天皇制廃止―共和制日本へ [編]堀内哲

平成の天皇制とは何か―制度と個人のはざまで [編]吉田裕・瀬畑源・河西秀哉/生前退位―天皇制廃止―共和制日本へ [編]堀内哲

■「おことば」契機、違う角度から  退位をにじませた現天皇の「おことば」発表から1年がたった。一般人だけでなく少なからぬ学者も退位を支持し、「おことば」を評価するなか、いささか異なる角度から天皇制を考察した2冊の本が出………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年09月03日
[ジャンル]政治 社会

囚われの島 [著]谷崎由依

囚われの島 [著]谷崎由依

 謎めいた小説だ。第一部と第三部は現在の東京が、第二部は昭和初期の京都府丹後地方にあるとおぼしき村が主な舞台となっている。第一部、第三部と第二部をつなぐのは蚕である。  主人公の由良という女性の名前は丹後の由良川に通じる………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年08月06日
[ジャンル]文芸

間取りと妄想 [著]大竹昭子

間取りと妄想 [著]大竹昭子

■見取り図に浮かぶ心のさざ波  同じ間取りの家が一カ所に集まる団地で人生の大半を過ごした私は、間取りがそこに住む人々の意識を規定することに敏感にならざるを得なかった。「誰もが同じ」という強い平等意識は、団地という同質的………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年07月30日
[ジャンル]文芸

色仏 [著]花房観音

色仏 [著]花房観音

■幕末の京、女の観音像に妖気  時は幕末。北近江のある村の寺に十一面観音があった。本書の主人公、烏(からす)は、その寺に住み、観音を眺めながら育った。烏にとって十一面観音は、完璧な女の姿を装いながら、時間を超越した不動………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年07月09日
[ジャンル]文芸

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