原武史(放送大学教授・政治思想史)の書評

写真:原武史さん

原武史 (放送大学教授・政治思想史)
はら・たけし。1962年東京都生まれ。近現代の天皇・皇室研究のほか、鉄道や団地などの「空間政治学」を提唱。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞)『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞)『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)など。

名婦列伝 [著]ジョヴァンニ・ボッカッチョ

名婦列伝 [著]ジョヴァンニ・ボッカッチョ

■神話・伝説も含め大がかりに  室町時代の学者、一条兼良は日野富子のために書いた「樵談治要(しょうだんちよう)」で、日本を「女のおさむべき国」とし、天照大神、神功皇后といった女神や伝説上の皇后から飛鳥、奈良時代の女帝を………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]歴史

高架線 [著]滝口悠生

高架線 [著]滝口悠生

 都心と郊外を結ぶ鉄道には、JR中央線のように高架が延々と続く線もあれば、西武新宿線のように高架のほぼない線もある。一方、池袋を起点とする西武池袋線は、四つ目の桜台から高架になるものの、九つ目の石神井公園を過ぎるとまた地………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年11月05日
[ジャンル]文芸

写真集―沖縄1935 [編]週刊朝日編集部

写真集―沖縄1935 [編]週刊朝日編集部

 琉球王国の時代から、沖縄では女性の地位が高かった。国王とは別に聞得大君(きこえおおぎみ)と呼ばれる最高位の巫女(みこ)もいた。明治以降も、久高(くだか)島には女性しか参加できない祭りがあり、糸満(いとまん)には女性が男………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年10月08日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

親鸞と日本主義 [著]中島岳志

親鸞と日本主義 [著]中島岳志

■なぜ「国体」に取り込まれたのか  親鸞といえば、阿弥陀仏のみを信仰し、その信仰を世俗のいかなる価値よりも上位においたため、師の法然とともに流罪となった人物として知られている。その信仰を徹底させれば、国家主義が強まった………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年10月01日
[ジャンル]人文

古都の占領―生活史からみる京都 1945−1952 [著]西川祐子

古都の占領―生活史からみる京都 1945−1952 [著]西川祐子

■時には「おしゃべり」風文体で  もう15年も前のことになる。占領期の皇居前広場について調べたことがあった。そのとき初めて、米軍をはじめとする連合国軍が、戦前に天皇制の儀礼空間として使われたこの広場をほぼ毎月のように利………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]歴史

平成の天皇制とは何か―制度と個人のはざまで [編]吉田裕・瀬畑源・河西秀哉/生前退位―天皇制廃止―共和制日本へ [編]堀内哲

平成の天皇制とは何か―制度と個人のはざまで [編]吉田裕・瀬畑源・河西秀哉/生前退位―天皇制廃止―共和制日本へ [編]堀内哲

■「おことば」契機、違う角度から  退位をにじませた現天皇の「おことば」発表から1年がたった。一般人だけでなく少なからぬ学者も退位を支持し、「おことば」を評価するなか、いささか異なる角度から天皇制を考察した2冊の本が出………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年09月03日
[ジャンル]政治 社会

囚われの島 [著]谷崎由依

囚われの島 [著]谷崎由依

 謎めいた小説だ。第一部と第三部は現在の東京が、第二部は昭和初期の京都府丹後地方にあるとおぼしき村が主な舞台となっている。第一部、第三部と第二部をつなぐのは蚕である。  主人公の由良という女性の名前は丹後の由良川に通じる………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年08月06日
[ジャンル]文芸

間取りと妄想 [著]大竹昭子

間取りと妄想 [著]大竹昭子

■見取り図に浮かぶ心のさざ波  同じ間取りの家が一カ所に集まる団地で人生の大半を過ごした私は、間取りがそこに住む人々の意識を規定することに敏感にならざるを得なかった。「誰もが同じ」という強い平等意識は、団地という同質的………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年07月30日
[ジャンル]文芸

色仏 [著]花房観音

色仏 [著]花房観音

■幕末の京、女の観音像に妖気  時は幕末。北近江のある村の寺に十一面観音があった。本書の主人公、烏(からす)は、その寺に住み、観音を眺めながら育った。烏にとって十一面観音は、完璧な女の姿を装いながら、時間を超越した不動………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年07月09日
[ジャンル]文芸

感性文化論―〈終わり〉と〈はじまり〉の戦後昭和史 [著]渡辺裕

感性文化論―〈終わり〉と〈はじまり〉の戦後昭和史 [著]渡辺裕

■聴覚より視覚優位へと認識転換  戦後のある時期まで、鉄道の案内の多くは聴覚を通してなされていた。車内では車掌が、駅のホームでは駅員が次の駅や乗り換えなどを肉声で放送し、客はそうした声に耳を傾けた。車掌の語りそのものが………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年06月25日
[ジャンル]歴史

王妃たちの最期の日々 上・下 [編]ジャン=クリストフ・ビュイッソン、ジャン・セヴィリア

王妃たちの最期の日々 上・下 [編]ジャン=クリストフ・ビュイッソン、ジャン・セヴィリア

■国境も越えていく波乱の生涯  ヴィクトリア女王のような例外は別として、皇帝や国王のほとんどは男性だった。皇后や王妃は皇帝や国王ほど権力をもたず、目立たなかったように見えなくもない。しかし彼女らの生涯は、時として男性の………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年06月11日
[ジャンル]歴史

夜の谷を行く [著]桐野夏生

夜の谷を行く [著]桐野夏生

■連合赤軍、女性たちの理想は…  小学3年だった1971年7月、栃木県那須で食べた森永のバニラアイスの味を、私はいまも記憶している。その記憶は、本人にとっては絶対的であり、他者は反駁(はんばく)できない。「あなたの記憶………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年05月14日
[ジャンル]文芸

かわうそ堀怪談見習い [著]柴崎友香

かわうそ堀怪談見習い [著]柴崎友香

 土地には固有の「霊」がある。神武天皇が漂着した伝説がいまも息づく大阪の場合はなおさらそうだ。無数の人々がここで生涯を閉じたばかりか、大坂の陣や太平洋戦争の空襲でも死者があふれた。一見近代化した都市の風景の裏側には、この………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年05月07日
[ジャンル]文芸

日本精神史 自然宗教の逆襲 [著]阿満利麿

日本精神史 自然宗教の逆襲 [著]阿満利麿

■天皇崇拝支える基盤は変わらず  昨年8月8日に発表された現天皇の「おことば」は一部で「第2の人間宣言」と呼ばれた。1946年1月1日の詔書で現御神(あきつみかみ)(現人神〈あらひとがみ〉)であることを否定した昭和天皇………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年04月16日
[ジャンル]人文

青年の主張 まなざしのメディア史 [著]佐藤卓己

青年の主張 まなざしのメディア史 [著]佐藤卓己

 60年安保闘争や学園紛争など、若年層が注目を集めた事件は少なくない。それらをつなげた戦後史の「語り」も依然として流布している。しかし、表層的な事件を追っているだけでは、戦後史の実像に迫ったことにならない。  著者が注目………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年04月02日
[ジャンル]社会

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