諸富徹(京都大学教授・経済学)の書評

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諸富徹 (京都大学教授・経済学)
1968年大阪府生まれ。環境税や政策課税の問題などを研究。著書に『環境税の理論と実際』(国際公共経済学会賞、日本地方財政学会佐藤賞など)『地域再生の新戦略』(日本公共政策学会著作賞)『私たちはなぜ税金を納めるのか 租税の経済思想史』など。

世界の田園回帰-11カ国の動向と日本の展望 [編著]大森彌、小田切徳美、藤山浩

世界の田園回帰-11カ国の動向と日本の展望 [編著]大森彌、小田切徳美、藤山浩

■「過疎→消滅」にしない取り組み  近年、「限界集落」や「消滅都市」といった言葉が一世を風靡(ふうび)した。だが、事態は本当に「消滅」へと突き進んでいるのか。本書は真っ向からこれに反証を突きつける。むしろ、起きているの………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年06月11日
[ジャンル]社会

グリーンスパンの隠し絵―中央銀行制の成熟と限界 上・下 [著]村井明彦

グリーンスパンの隠し絵―中央銀行制の成熟と限界 上・下 [著]村井明彦

 本書は、第13代米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたアラン・グリーンスパンの金融政策が彼の哲学・経済学と整合的に理解可能なことを示す労作だ。  著者は、グリーンスパンが私有財産保護、徹底した経済的・政治的自由、そ………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年06月04日
[ジャンル]政治 経済

モラル・エコノミー―インセンティブか善き市民か [著]サミュエル・ボウルズ

モラル・エコノミー―インセンティブか善き市民か [著]サミュエル・ボウルズ

■損得より互恵的価値育む規範を  本書は、リベラルな市民社会の根本原理の解明を目指すという、凄(すさ)まじく野心的な作品だ。利己心の全面開花が許された近代社会で、「それでも社会秩序が成り立つのは、なぜか」と、ヒューム、………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年05月21日
[ジャンル]経済

アメリカ帝国の終焉-勃興するアジアと多極化世界 [著]進藤榮一

アメリカ帝国の終焉-勃興するアジアと多極化世界 [著]進藤榮一

■中心軸の移動、不可避的に進行  トランプ政権の誕生や、英国のEU離脱など、常識を覆す投票結果に我々は驚き、世界で何か大きな地殻変動が起きつつあると気づかされた。だが、まだ新しい国際秩序は見えていない。本書は、歴史の中………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年04月30日
[ジャンル]政治 社会

新潟県知事選では、どうして大逆転がおこったのか。 [著]横田一

新潟県知事選では、どうして大逆転がおこったのか。 [著]横田一

 いまなお、原発再稼働には6割近くの人々が反対している。本書は、柏崎刈羽原発の再稼働が争点となった昨年10月の新潟知事選で、なぜ当初は圧勝が予想された与党候補を破り米山隆一氏が当選できたのか、その背景を浮かび上がらせた大………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年04月16日
[ジャンル]政治

田中正造と足尾鉱毒問題―土から生まれたリベラル・デモクラシー [著]三浦顕一郎

田中正造と足尾鉱毒問題―土から生まれたリベラル・デモクラシー [著]三浦顕一郎

■闘争支えた国家構想、明晰に  本書は、足尾銅山で起きた鉱毒問題をめぐり、その解決に一生を捧げた田中正造の思想と行動を、非常に明晰(めいせき)な文体で解き明かした作品。今では想像しがたいが、銅は明治期日本の主要輸出品の………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年03月19日
[ジャンル]歴史 人文

自由貿易は私たちを幸せにするのか? [著]上村雄彦、首藤信彦、内田聖子ほか

自由貿易は私たちを幸せにするのか? [著]上村雄彦、首藤信彦、内田聖子ほか

■多国籍企業だけ利するTPP  政府は、TPPが貿易自由化により国民に成長と雇用増加をもたらすと喧伝(けんでん)してきた。負の影響は農業に限定されるとし、どう保護/開放すべきかにもっぱら焦点が当てられてきた。  しかし………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年03月12日
[ジャンル]経済

地方自治と図書館―「知の地域づくり」を地域再生の切り札に [著]片山善博・糸賀雅児

地方自治と図書館―「知の地域づくり」を地域再生の切り札に [著]片山善博・糸賀雅児

 「知識社会」時代における図書館の意義を、改めて考えさせる良書。片山は鳥取県知事時代に県庁内に図書室を創設し、優秀な司書の助けで内外の政策情報を効果的に集め、政策判断に生かせたという。だが多くの自治体では、議員も自治体職………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年02月26日
[ジャンル]社会

デービッド・アトキンソン―新・所得倍増論―潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋 [著]デービッド・アトキンソン

デービッド・アトキンソン―新・所得倍増論―潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋 [著]デービッド・アトキンソン

■実は低い生産性、鍵握る経営者  本書によれば、世界第3位の経済大国日本の生産性(=GDP/人口)は、なんと世界で第27位だという。日本は、絶対量で3位でも、「1人当たりの付加価値生産」では、多くの国々に劣後しているの………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年02月12日
[ジャンル]経済

最後の資本主義 [著]ロバート・B・ライシュ

最後の資本主義 [著]ロバート・B・ライシュ

■拮抗力なき時代の新たなルール  近年の格差拡大と、再分配政策の重要性は、広く認識されている。だが著者は、政府が再分配しても問題を解決できないと訴える。そもそも「市場ルール」が圧倒的に大企業に有利だからだ。その傾向は1………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2017年01月22日
[ジャンル]経済 社会

林業がつくる日本の森林 [著]藤森隆郎

林業がつくる日本の森林 [著]藤森隆郎

■高い潜在力、育てたい経営力・人  国土面積の約7割を占める日本の森林。先進国でトップクラスだ。他方、日本の林業は安い外材に太刀打ちできず、補助金で細々と生き延びている。だが、他の先進国では林業が健闘し、ドイツは林業・………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]社会

経済学のすすめ―人文知と批判精神の復権 [著]佐和隆光

経済学のすすめ―人文知と批判精神の復権 [著]佐和隆光

■「文系軽視」が招く社会の危機  本書は、「国立大学改革プラン」の一環として「文系廃止」を求めた2015年6月の文科省通知を契機に書かれた。背景にある文系軽視が社会にとっていかに危険か、著者は全編を通じて強い警告を発す………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年12月11日
[ジャンル]経済 社会

地域分散型エネルギーシステム [監修]植田和弘 [編著]大島堅一・高橋洋

地域分散型エネルギーシステム [監修]植田和弘 [編著]大島堅一・高橋洋

■新たな電力網、支える形を提示  表題の「分散型エネルギーシステム」とは、再生可能エネルギーのように、無数の小規模分散型の電源をネットワーク化した、双方向型の電力システムだ。これに対して「集中型電力システム」は、原子力………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年11月27日
[ジャンル]経済 科学・生物

ユーロから始まる世界経済の大崩壊―格差と混乱を生み出す通貨システムの破綻とその衝撃 [著]ジョセフ・E・スティグリッツ

ユーロから始まる世界経済の大崩壊―格差と混乱を生み出す通貨システムの破綻とその衝撃 [著]ジョセフ・E・スティグリッツ

■危機の国々を縛るトロイカ  英国のEU離脱や大量の難民到来に揺れる欧州。だがその背後にある最大の問題は、低迷する欧州経済だ。いまや各国で反EU感情が広がり、極右政党が伸長する。そこでは、長く続く経済的苦境が影を落とし………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年11月13日
[ジャンル]政治 経済 国際

大学入試改革―海外と日本の現場から [著]読売新聞教育部

大学入試改革―海外と日本の現場から [著]読売新聞教育部

■投資を惜しまず多様な人材獲得  2020年度から小中高校で順次始まる次期学習指導要領の目玉は、「アクティブ・ラーニング(能動的学習)」だ。明治以来の詰め込み教育から脱却し、対話型の21世紀型学習に大転換する、画期的な………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年10月23日
[ジャンル]教育 社会

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