吉岡桂子(本社編集委員)の書評

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吉岡桂子 (本社編集委員)
1964年岡山県生まれ。山陽放送を経て89年朝日新聞入社。和歌山、大阪、東京で記者生活を送り、計7年間にわたり中国(北京・上海)特派員。著書に『問答有用 中国改革派19人に聞く』『愛国経済 中国の全球化』。

海をわたる機関車 [著]中村尚史 帝国日本の交通網 [著]若林宣

海をわたる機関車 [著]中村尚史 帝国日本の交通網 [著]若林宣

■後発の強み生かす、拡大の野心と失敗  日本と中国が世界のあちこちで高速鉄道の輸出競争を繰り広げている。その勝敗は、経済力のみならず国力の物差しのように語られる。ときに、線路の敷設は利用者の視点を離れ、地域を「支配」す………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]歴史

南シナ海―アジアの覇権をめぐる闘争史 [著]ビル・ヘイトン

南シナ海―アジアの覇権をめぐる闘争史 [著]ビル・ヘイトン

■長い時間軸で示す、不測の危険  岩礁を埋め立て滑走路を造り、地対空ミサイルなどを展開して「軍事拠点化」を進める中国。秩序への挑戦に「航行の自由」を掲げて軍艦を派遣する米国——。「小さな岩や暗礁」の連なる南シナ海が、中………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2016年02月28日
[ジャンル]政治 社会

共存の模索—アメリカと「二つの中国」の冷戦史 [著]佐橋亮

共存の模索—アメリカと「二つの中国」の冷戦史 [著]佐橋亮

■「敵国」と「同盟国」、均衡を追求  本書は、国共内戦が収束していく1940年代末から、米中和解が進んだ70年代末まで、政権で言えばトルーマンからカーターにいたる米国の対中政策の変遷を描く。同盟相手の蒋介石(チアンチエ………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2016年02月21日
[ジャンル]社会 国際

誰がネロとパトラッシュを殺すのか [編著]A・ヴァン・ディーンデレン、D・ヴォルカールト

誰がネロとパトラッシュを殺すのか [編著]A・ヴァン・ディーンデレン、D・ヴォルカールト

■社会の価値観映し出す物語  「パトラッシュ、疲れたろう……僕も疲れたんだ……なんだかとても眠いんだ」  ネロの最期の言葉は日本ではネットスラングと化し、ツイッターでも頻繁につぶやかれる。英国の作家が19世紀に書いた原………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]文芸

越境者の政治史 アジア太平洋における日本人の移民と植民 [著]塩出浩之

越境者の政治史 アジア太平洋における日本人の移民と植民 [著]塩出浩之

■「移動」に焦点、「日本人」とは  明治時代から第2次世界大戦の敗戦まで、「日本人」はどこへ移り住んだのか。そして、地域の秩序にどのような影響を与えたのか——。  北海道や樺太から、ハワイ、旧満州、朝鮮半島、台湾、南北………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年12月13日
[ジャンル]歴史 政治

ブラッドランド―ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実(上・下) [著]ティモシー・スナイダー

ブラッドランド―ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実(上・下) [著]ティモシー・スナイダー

■戦闘によらぬ犠牲者1400万人の声  史料に埋もれて数値や史実を探りあてた歴史家は、そこからはい出して世に何を問うのか。本書は、「犠牲者」として丸められた数値を「人に戻す」意志をもって、「大量殺人政策」を考察した戦史………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年12月06日
[ジャンル]歴史 社会

ペルシア王は「天ぷら」がお好き?―味と語源でたどる食の人類史 [著]ダン・ジュラフスキー

ペルシア王は「天ぷら」がお好き?―味と語源でたどる食の人類史 [著]ダン・ジュラフスキー

■頭と胃袋を抱擁する好奇心  著者は、米国のスタンフォード大学で言語学とコンピューターサイエンスを教えている。料理パーティーで知りあった中国系の妻と新婚旅行に出かけたベトナムの島で、漂う魚醤(ぎょしょう)の発酵臭を「ロ………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年11月08日
[ジャンル]歴史 国際

第三帝国の愛人―ヒトラーと対峙したアメリカ大使一家 [著]エリック・ラーソン

第三帝国の愛人―ヒトラーと対峙したアメリカ大使一家 [著]エリック・ラーソン

■なぜ流れを変えられなかったのか  この時代を読む本はたくさんある。狂気と魔性に胸がかき乱される。そして、凍り付くのは、日常に触れるときである。いまも、どこかに種が潜んでいるような気になるからだ。そこから目をそらさぬよ………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年10月25日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

民主主義ってなんだ? [著]高橋源一郎、SEALDs

民主主義ってなんだ? [著]高橋源一郎、SEALDs

■「私たち」ではなく「私」の言葉  「憲法守れ」  「国民なめんな」  「勝手に決めるな」  国会議事堂の前で今夏、ずんちゃか鳴ってる太鼓の音にあわせ、安保法案反対をラップする若者の姿が浮かぶ。問いかけの決めゼリフが「………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年10月04日
[ジャンル]政治

ピンポン外交の陰にいたスパイ [著]ニコラス・グリフィン

ピンポン外交の陰にいたスパイ [著]ニコラス・グリフィン

■米、英、中、ソの劇場 脇役に日本も  日本語に「ショック」という言葉が加わったのは、その瞬間だった——。  この一文には苦笑いした。1971年7月、米国のニクソン大統領が訪中計画を緊急発表した時のことだ。冷戦下で反共………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年09月27日
[ジャンル]文芸

聞き書―緒方貞子回顧録 [編]野林健、納家政嗣

聞き書―緒方貞子回顧録 [編]野林健、納家政嗣

■「人道」と「現実」、タフに融合  それにしても、タフな人である。好きなジントニックを一、二杯飲めば、眠れない夜はなかったそうだ。  イラン、トルコ、ボスニア、セルビア、ルワンダ……。国連難民高等弁務官(UNHCR)と………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年09月20日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

上海36人圧死事件はなぜ起きたのか [著]加藤隆則

上海36人圧死事件はなぜ起きたのか [著]加藤隆則

■惨事から見える累積する矛盾  上海の観光名所・外灘(バンド)で新しい年を迎えようと集まった群衆が押し合いとなって転倒し、36人が圧死、49人が負傷した。発生時間は2014年12月31日午後11時35分——。  今年元………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年08月23日
[ジャンル]歴史 政治 社会

武器ビジネス—マネーと戦争の「最前線」(上・下) [著]アンドルー・ファインスタイン

武器ビジネス—マネーと戦争の「最前線」(上・下) [著]アンドルー・ファインスタイン

■秘密主義の闇、かき分ける執念  執念に満ちた力作である。  原題は『THE SHADOW WORLD(影の世界)』。戦争や紛争に影のようにつきまとう武器の取引は、安全保障の名のもとで国家権力に覆い隠されるだけでなく、………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年08月09日
[ジャンル]社会

暴力と適応の政治学 インドネシア民主化と地方政治の安定 [著]岡本正明

暴力と適応の政治学 インドネシア民主化と地方政治の安定 [著]岡本正明

■「やくざ」社会を体張って考察  インドネシアの世論を二分した大統領選挙から1年になる。軍や政治家一族ではない庶民派として、地方政治家からのぼり詰めたジョコ・ウィドド氏の当選は、民主化の定着と安定を示す象徴とも持ち上げ………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年08月02日
[ジャンル]政治 社会

国際協調の先駆者たち―理想と現実の200年 [著] マーク・マゾワー

国際協調の先駆者たち―理想と現実の200年 [著] マーク・マゾワー

■教科書的通史離れ、歴史を再構築  ギリシャの近現代史や20世紀の欧州史を専門とする気鋭の歴史家として、数々の話題作を生み出してきたマーク・マゾワー氏の著書が、初めて邦訳された。ナポレオン後から現在まで、世界の平和を目………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2015年07月12日
[ジャンル]歴史 政治 社会

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