大竹昭子(作家)の書評

写真:大竹昭子さん

大竹昭子 (作家)
1950年東京都生まれ。ノンフィクション、エッセー、小説、写真評論など幅広い分野で執筆。主な著書に『図鑑少年』『日和下駄とスニーカー』『ニューヨーク1980』『彼らが写真を手にした切実さを』『読むとだれかに語りたくなる―わたしの乱読手帖』など。朗読イベント<カタリココ>を主宰。http://katarikoko.blog40.fc2.com

岩場の上から [著]黒川創

岩場の上から [著]黒川創

■ヒトの愚かさ見つめ「未来」描く  二〇四五年の日本が描かれるが、「近未来小説」というのとは、ちょっとちがう。使用済み核燃料の処理問題、「積極的平和維持活動」の名の下での参戦、浜岡原発に籠城(ろうじょう)する兵士、と物………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年03月26日
[ジャンル]文芸

ヤズディの祈り [著]林典子

ヤズディの祈り [著]林典子

■未知の対象、想像する力鍛える  「ヤズディ」が何かを大方の人は知らないと思う。イラク北西部にいる少数民族で、独自の信仰と伝統を継承している。私も本書を読むまで知らなかったが、二〇一四年夏、彼らの村々はダーシュ(過激派………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年03月05日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 社会

おばちゃんたちのいるところ―Where The Wild Ladies Are [著]松田青子

おばちゃんたちのいるところ―Where The Wild Ladies Are [著]松田青子

■化けられるほどしつこく生きよ  “死んだら化けてやる”という捨てぜりふをとんと聞かなくなったが、「化けて出ることができるような情熱の持ち主が、年々減少傾向にある」からか。  本書は英米文学の翻訳家であり、風変わりな小………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年02月26日
[ジャンル]文芸

ウインドアイ [著]ブライアン・エヴンソン

ウインドアイ [著]ブライアン・エヴンソン

■謎めいた人間の真実を凝視  体を一つの容(い)れ物とみなすなら、そこに収まっている器官や心は私の持ち物であり、それを扱う主人は自分であると思って私たちは日々を生きている。  だが生体としての人間はそうした認識を超えた………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年02月05日
[ジャンル]文芸 人文

絶対平面都市 [著]森山大道・鈴木一誌

絶対平面都市 [著]森山大道・鈴木一誌

 森山大道ほど東京中を撮っている写真家はいないだろう。小型のデジカメを片手に「狩人というよりもスリに近い」感覚でストリートをスナップして歩く。  できた写真は遠近が消え平たくペラっとしている。彼の求めるこのペラペラ感に何………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年01月22日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

ひかり埃のきみ―美術と回文 [著]福田尚代

ひかり埃のきみ―美術と回文 [著]福田尚代

■くり返し闇となり光となる言葉  子どもは誰も本好きだ。物体としての本を、そこで繰り広げられるお話を愛して止(や)まないが、成長するにつれて内容を読解するという客観的な態度に変わる。  だがここに、幼少期の本への偏愛を………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年01月15日
[ジャンル]文芸

浮遊霊ブラジル [著]津村記久子

浮遊霊ブラジル [著]津村記久子

■不器用な主人公に思わず笑みが  津村記久子の小説には構えがない。短編七編のうち二編にうどんが出てくるが、つるつると喉越(のどご)しよく体に入ってくる。  表題作はこうはじまる。  「私はどうしてもアラン諸島に行きたか………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]文芸

地鳴き、小鳥みたいな 試行錯誤に漂う [著]保坂和志

地鳴き、小鳥みたいな 試行錯誤に漂う [著]保坂和志

■「私」を表出、息のむ生々しさ  『地鳴き、小鳥みたいな』は小説で、『試行錯誤に漂う』は随筆。括(くく)りとしてはそうだが、ふたつはともに響き合う。  『地鳴き』に物語はなく、エピソードと随想の合体に近い。「。」で区切………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]文芸 人文

写真をアートにした男―石原悦郎とツァイト・フォト・サロン [著]粟生田弓

写真をアートにした男―石原悦郎とツァイト・フォト・サロン [著]粟生田弓

 日本初の写真専門ギャラリー、ツァイト・フォト・サロンを創設した石原悦郎の活動録。評伝に留(とど)まらず、写真を巡る環境がどう変化したかがよく取材され、石原のことを知らずとも引き込まれるはずだ。  絵画専門の画商だったが………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年11月27日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

洗礼ダイアリー [著]文月悠光

洗礼ダイアリー [著]文月悠光

■自意識を振り払う、詩人の挑戦  初対面の人が「音楽やってます」と自己紹介したら親しみを持つけれど、「詩を書いてます」だったら一瞬、言葉に詰まるかもしれない。繊細で独りの世界にこもりがち、というのが詩人のイメージだから………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年11月06日
[ジャンル]文芸

どうぶつのことば―根源的暴力をこえて [著]鴻池朋子

どうぶつのことば―根源的暴力をこえて [著]鴻池朋子

■現代社会揺さぶるアートの力  特異な本である。一言では括(くく)れない。でも、その説明不可能さこそが本書の本質だ。  著者は動物をモチーフにした作品で知られる美術家。東日本大震災を境に自分の作るものにまったく興味が持………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年10月30日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

第三帝国 [著]ロベルト・ボラーニョ

第三帝国 [著]ロベルト・ボラーニョ

■弛みと緊張が呼び覚ます感情  チリの作家、ロベルト・ボラーニョのことは、『通話』の初邦訳が出た際に知ったが、そのときに覚えた不思議な親密感は、その後どんな作品を読んでも変わることがない。  『第三帝国』という書名にナ………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年10月16日
[ジャンル]歴史 政治

70歳の日記 [著]メイ・サートン

70歳の日記 [著]メイ・サートン

■「自分らしく」と願う切実な声  夜中に目が覚め、虫たちの声が聞こえる中、本書を開いた。こんなふうに真夜中に読書するのは久しぶり。追うべき筋があるわけではないから、ゆっくりと味わえる。「なぜかはわからないけれど、花の名………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年09月25日
[ジャンル]文芸

自画像の思想史 [著]木下長宏

自画像の思想史 [著]木下長宏

■〈自分〉笑い飛ばす俳画、見直す  「自画像」というと、絵の具べったりの額入り画が思い浮かぶだろう。展覧会の冒頭に掛けられていたりする。でも、自分自身を描くという本来の意味に従えば、その範囲はもっと広がるはずだ。本書は………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年09月04日
[ジャンル]文芸

三の隣は五号室 [著]長嶋有

三の隣は五号室 [著]長嶋有

■半世紀の暮らし刻む部屋が主役  間取り好きには堪(こた)えられない小説である。舞台は東京近郊のさして特徴のない町に立つ木造アパート。部屋は二間あって広めだが、その一つは三方が障子に囲まれている。大方(おおかた)の人が………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]文芸

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