宮沢章夫(劇作家・演出家)の書評

写真:宮沢章夫さん

宮沢章夫 (劇作家・演出家)
1956年静岡県生まれ。戯曲「ヒネミ」で岸田國士戯曲賞を受賞。主な著書に『牛への道』『サーチエンジン・システム クラッシュ』『茫然とする技術』『彼岸からの言葉」『東京大学【80年代地下文化論】講義』『時間のかかる読書』(伊藤整文学賞)、『「資本論」も読む』『考えない人』『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集』『NHKニッポン戦後サブカルチャー史』など。

土方巽―衰弱体の思想 [著]宇野邦一

土方巽―衰弱体の思想 [著]宇野邦一

■「踊り続ける人」を精緻に読む  いまもまだ、私を含めた多くの者が土方巽(ひじかたたつみ)に興味を持つ。それは不思議だ。なにより土方を考えることの出発はそこからはじめるべきだろう。著者も土方のダンスを観(み)たことがな………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2017年03月26日
[ジャンル]人文

縫わんばならん [著]古川真人

縫わんばならん [著]古川真人

■読みの積極性を試される快楽  企(たくら)みはひそかに仕掛けられている。だからこそ、騙(だま)されたように小説世界に身を委ねる心地よさだ。  三人の老女について語られる話が地味な印象を与えるのは否めない。端正な文体と………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2017年03月05日
[ジャンル]文芸

ロッキング・オンの時代 [著]橘川幸夫

ロッキング・オンの時代 [著]橘川幸夫

■才能が交錯した「音楽と私」誌  すぐれた個性が偶然、集結し、「ロッキング・オン」のような雑誌が生まれた。本書を読んで渋谷陽一の特別さをあらためて理解できたと感じたが、やはり岩谷宏だ。後年、原理主義的なコンピューター思………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]文芸

狂気の巡礼 [著]ステファン・グラビンスキ

狂気の巡礼 [著]ステファン・グラビンスキ

■陰鬱な気配が心地よい恐怖小説  小説がもたらす魅力、あるいは小説的な怖さの大きな要素の一つに、「描写」があるだろう。グラビンスキもまた、「客間と思(おぼ)しき部屋のステンドグラスが室内に濾(こ)し入れていた多彩な薔薇………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉―ダンスのような、介護のような [著]砂連尾理

老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉―ダンスのような、介護のような [著]砂連尾理

■からだが接し、生まれる関係  京都舞鶴にある特別養護老人ホーム「グレイスヴィルまいづる」で著者が取り組んだワークショップ〈とつとつダンス〉の記録だ。その作業を通じ著者があらためて、わたしのからだと、見知らぬ人のからだ………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年11月27日
[ジャンル]医学・福祉 社会

アルファの伝説―音楽家 村井邦彦の時代 [著]松木直也

アルファの伝説―音楽家 村井邦彦の時代 [著]松木直也

■新しい「環境」作った独自の感性  録音スタジオがミュージシャンにとってどれだけ意味があるか。一九六〇年代から七〇年代にかけ、この国のポピュラーミュージックが新しい意識でそれに取り組んだことで、音楽性も変わった。つまり………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年11月13日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

唐牛伝―敗者の戦後漂流 [著]佐野眞一

唐牛伝―敗者の戦後漂流 [著]佐野眞一

■安保闘争を支えた情念の魅力  いまでは「全学連」という言葉は死語に近い。いくつもの書物や、たとえば、大島渚の映画「日本の夜と霧」で、全学連と六〇年安保闘争の姿を想像することはできる。けれど、それを実感しようと努力した………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年10月16日
[ジャンル]政治 社会

民主主義は止まらない [著]SEALDs 日本×香港×台湾 若者はあきらめない [編]SEALDs

民主主義は止まらない [著]SEALDs 日本×香港×台湾 若者はあきらめない [編]SEALDs

■生身の言葉が動きを生み出す  社会や政治に対する冷ややかな視線はない。かといって、かつての政治的な「運動」のようなこわばりもない。  それを甘いと考える左派もいるが、「運動」を否定する右派の言葉もあてはまらない。そう………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]政治 社会

『痴人の愛』を歩く [著]樫原辰郎

『痴人の愛』を歩く [著]樫原辰郎

■発見、想像、思索、小説に導かれ  小説の記述をもとに、著者は、『痴人の愛』を歩く。文字通り地図に沿ってまず浅草から出発するが、なにより共感するのは歩き方だ。歩きつつ、ふと目に入ったものから、べつの想像をし、その思索か………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]文芸

スーザン・ソンタグの『ローリング・ストーン』インタヴュー [著]ジョナサン・コット

スーザン・ソンタグの『ローリング・ストーン』インタヴュー [著]ジョナサン・コット

■回転しながら引き出す「素の私」  一読すると、スーザン・ソンタグに向かって、ジョナサン・コットがインタビューしているかのようだが(というのも、七〇年代、「ローリング・ストーン」誌に短縮版が掲載された経緯があるからだ)………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年04月17日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

これで駄目なら―若い君たちへ 卒業式講演集 [著]カート・ヴォネガット

これで駄目なら―若い君たちへ 卒業式講演集 [著]カート・ヴォネガット

■皮肉とユーモアあふれる語り口  あらためて書くまでもないが、カート・ヴォネガットは、『猫のゆりかご』や『スローターハウス5』といった代表作のあるアメリカの作家だ。  初めて読んだのは『スローターハウス5』だ。学生のこ………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年03月27日
[ジャンル]教育 人文

つかこうへい正伝 1968—1982 [著]長谷川康夫

つかこうへい正伝 1968—1982 [著]長谷川康夫

■流れる劇的な動力、特別な情感を構築  つかこうへいの劇作の基本が、ほとんど「口立て」だったのは有名な話だ。  即興で次々と台詞(せりふ)を俳優に伝える姿は本書でも随所に描かれる。言葉だけではない。台詞のリズムや抑揚ま………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]文芸

童謡の近代―メディアの変容と子ども文化 [著]周東美材(よしき)

童謡の近代―メディアの変容と子ども文化 [著]周東美材(よしき)

■ポップスとアイドル誕生の起源  本書がまず語るのは、「童謡」を手掛かりにして、その誕生と拡大にメディアがどのように関わってきたかだ。同時に、「子どもの身体」がメディアになにをもたらしたか。こうして本書は、この国のポピ………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年01月17日
[ジャンル]社会

証言で綴る日本のジャズ [著]小川隆夫

証言で綴る日本のジャズ [著]小川隆夫

■質問が引き出す「時代の空気」  ジャズについてそれほど詳しくなくても、ミュージシャンや評論家らの証言を読むことで、浮き彫りになる時代の空気を感じる。ジャズだけではない。この国のポピュラーミュージックの歴史を理解するた………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年12月20日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

舞踏、まさにそれゆえに 土方巽 曝かれる裏身体 [著]河村悟

舞踏、まさにそれゆえに 土方巽 曝かれる裏身体 [著]河村悟

■語り得ないものを語る試み  土方巽は死の前年(一九八五年)、最後の言葉を、「肉体という巨大都市を肉体という埋没史が尾行する……」と書き遺(のこ)したという。  正直なことを書けば、うまく理解できない。けれど、この言葉………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年12月13日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

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