市田隆(本社編集委員)の書評

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市田隆 (本社編集委員)
朝日新聞社編集委員。1964年生まれ。読売新聞社を経て2003年入社。11年から特別報道センターで調査報道を担当する編集委員。これまで主に政官業の癒着や金融業界の不祥事をテーマにした取材を担当。

江戸・明治―百姓たちの山争い裁判 [著]渡辺尚志

江戸・明治―百姓たちの山争い裁判 [著]渡辺尚志

■生活の糧を懸けた人間ドラマ  山野の境界をめぐって争った百姓たちの歴史を、江戸時代の裁判を中心に解説する本書は、人間ドラマの魅力に満ちている。知略を尽くして闘う姿は「百姓」のイメージを一変させた。  江戸時代の人口の………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]歴史

アルカイダから古文書を守った図書館員 [著]ジョシュア・ハマー

アルカイダから古文書を守った図書館員 [著]ジョシュア・ハマー

■荷車や川船で検問抜けた「国宝」  アルカイダ系イスラム武装勢力がアフリカのマリ北部を支配した2012〜13年、焼損の危機にあった貴重な古文書を救い出したイスラムの現地民の記録だ。  綱渡りの救出作戦から、恐怖にくじけ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年07月30日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

偽装死で別の人生を生きる [著]エリザベス・グリーンウッド

偽装死で別の人生を生きる [著]エリザベス・グリーンウッド

■現代社会の病理うつす取材記録  死亡偽装による保険金詐欺を記事にしたことがある。パキスタン人の夫が同国内で交通事故死したとして、日本人の元妻が大手生保から3千万円の保険金を受け取ったが、その後に死亡関係書類が偽造と判………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年07月16日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝 国際

BUTTER [著]柚木麻子

BUTTER [著]柚木麻子

■女性に課されたくびきを照らす  2009年に首都圏で起きた男性3人の連続不審死事件をモチーフにした長編小説だが、注目を集めた事件について独自の謎解きを試みた内容ではない。  著者は、事件そのものよりも「あの事件を生ん………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年06月25日
[ジャンル]文芸

あのころ、早稲田で [著]中野翠

あのころ、早稲田で [著]中野翠

 「あのころ」とは、学生運動真っ盛りの1960年代後半。早大生として過ごした日々を様々な友人の思い出とともにつづる。  著者は、ユーモアあふれる筆致で世情をチクリと刺すコラムが得意だが、この回想録では動乱の時代に悩み戸惑………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]文芸

ヒトラーの裁判官フライスラー [著]ヘルムート・オルトナー

ヒトラーの裁判官フライスラー [著]ヘルムート・オルトナー

■政権に忠実な官吏の無責任体質  ナチス・ドイツの独裁下で国家反逆行為などを裁く人民法廷の長官を務めたローラント・フライスラー。ナチスに抵抗した学生グループ「白バラ」やヒトラー暗殺未遂事件の被告らに死刑判決を下した裁判………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年05月21日
[ジャンル]歴史

毒々生物の奇妙な進化 [著]クリスティー・ウィルコックス

毒々生物の奇妙な進化 [著]クリスティー・ウィルコックス

■食物連鎖を逆転、特効薬にも  本書に登場するハワイ大大学院の女性は、海で遊泳中にハコクラゲの大群に刺され、激痛と呼吸困難で溺れかけた。九死に一生を得た彼女はその後、この毒素に強い興味を抱き、クラゲの毒液研究者になって………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年04月23日
[ジャンル]科学・生物

ローカルブックストアである [著]大井実 本屋、はじめました [著]辻山良雄

ローカルブックストアである [著]大井実 本屋、はじめました [著]辻山良雄

■本と町と人を結ぶきっかけに    この2冊は、町の本屋が消えていく受難の時代に、福岡と東京で小さな本屋を開いた2人の店主がその道のりを振り返った記録だ。  「ブックスキューブリック」の大井実は37歳の時、生まれ故郷の………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年04月09日
[ジャンル]人文

国家と石綿―ルポ・アスベスト被害者「息ほしき人々」の闘い [著]永尾俊彦

国家と石綿―ルポ・アスベスト被害者「息ほしき人々」の闘い [著]永尾俊彦

■危険から抜け出せなかった構造  断熱材などに用いられ、近代工業を支えた石綿製品。国は戦前から大阪・泉南地域の石綿工場で深刻な健康被害が発生していることを把握しながら有効な対策をとらなかったという。その被害者は「貧しく………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月26日
[ジャンル]歴史 社会

竜は動かず―奥羽越列藩同盟顛末(上・下) [著]上田秀人

竜は動かず―奥羽越列藩同盟顛末(上・下) [著]上田秀人

 人気時代小説家が、幕末の動乱の中で非業の死を遂げた仙台藩士玉虫左太夫に光を当てた。坂本龍馬ら幕末のスターたちに比べて知名度は低いが、この人物が後の世まで生きていたら日本はどうなっていたかと夢想させる歴史小説だ。  下級………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]歴史 文芸

いつかの夏―名古屋闇サイト殺人事件 [著]大崎善生

いつかの夏―名古屋闇サイト殺人事件 [著]大崎善生

■被害者の「生」の重みを問い直す  「名古屋闇サイト殺人事件」が発生したのは2007年8月のこと。闇サイトの犯行を誘う書き込みがきっかけで集まった男3人が、無関係な名古屋市の会社員磯谷利恵さん(当時31歳)を路上で拉致………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月05日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

犯罪小説集 [著]吉田修一

犯罪小説集 [著]吉田修一

■人生の不可解な「真実」に迫る  犯罪に絡む不幸な人々が織り成す五つの物語。本の帯文に「犯罪によって炙(あぶ)り出される人間の真実」とあるが、それはわかりやすいものではない。それぞれの物語に強く引き込まれて一気読みして………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年12月11日
[ジャンル]社会

住友銀行秘史 [著]國重惇史

住友銀行秘史 [著]國重惇史

■企業内部の病巣、徹底的に解剖  「戦後最大の経済事件と呼ばれたイトマン事件」と言われても、事件摘発から20年以上たった今ではピンと来ない人も多いだろう。しかし、それを知らずに本書を読んだとしても、大阪の中堅商社旧イト………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

熊と踊れ(上・下) [著]A・ルースルンド、S・トゥンベリ

熊と踊れ(上・下) [著]A・ルースルンド、S・トゥンベリ

■暴力の絆、強盗犯の実相を描く  スウェーデンで実際にあった連続強盗事件に基づくこの犯罪小説は、ミステリーのだいご味を堪能できるだけでなく、犯罪者たちの真の姿を際立たせることに成功した作品だ。  綿密な計画と統率のとれ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年11月06日
[ジャンル]文芸 人文 ノンフィクション・評伝

漂流 [著]角幡唯介

漂流 [著]角幡唯介

■海に消えた漁師の影をたどって  著者は、チベットの大峡谷に分け入り、北極圏を踏破した探検をノンフィクション作品にしてきた。本書は、海の「冒険者」たる遠洋漁業の漁師たちの生き様を追いかけた記録。自身の探検を主体とした過………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年10月30日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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