市田隆(本社編集委員)の書評

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市田隆 (本社編集委員)
いちだ・たかし。朝日新聞社編集委員。1964年生まれ。読売新聞社を経て2003年入社。11年から特別報道センターで調査報道を担当する編集委員。これまで主に政官業の癒着や金融業界の不祥事をテーマにした取材を担当。

西南戦争―民衆の記―大義と破壊 [著]長野浩典

西南戦争―民衆の記―大義と破壊 [著]長野浩典

■人心の荒廃止まらぬ戦場の病理  西南戦争は、明治維新の英雄西郷隆盛とそれを取り巻く旧薩摩藩士族の滅びの物語を中心に伝えられてきた。しかし、様々な史料を駆使して、戦地に暮らす名も無き民衆の側から捉え直した歴史研究の本書………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2018年03月18日
[ジャンル]歴史

絶滅危惧種ビジネス―量産される高級観賞魚「アロワナ」の闇 [著]エミリー・ボイト

絶滅危惧種ビジネス―量産される高級観賞魚「アロワナ」の闇 [著]エミリー・ボイト

 約3千万円で取引されたこともある世界一高価な観賞魚アジアアロワナ。中国などの富裕層に人気は高まる一方で、なぜそれほど人を引きつけるのかと興味を抱いた米国人ジャーナリストが3年半かけて、アロワナが生息する奥地、養殖ビジネ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2018年02月25日
[ジャンル]経済

告白―あるPKO隊員の死・23年目の真実 [著]旗手啓介

告白―あるPKO隊員の死・23年目の真実 [著]旗手啓介

■矛盾に満ちた過酷な現場に迫る  カンボジアのPKO(国連平和維持活動)に日本文民警察隊として派遣された岡山県警の高田晴行警部補(当時)が1993年に武装勢力の銃撃で死亡した事件を中心に、NHKの番組スタッフがこのPK………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2018年02月18日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ルポ川崎 [著]磯部涼

ルポ川崎 [著]磯部涼

■街の陰を追って見えた希望の光  著者が月刊誌の連載で、川崎市南部の元不良少年たちを中心にしたルポルタージュを書くきっかけは、2015年2月に川崎市の多摩川河川敷で中学1年の少年が殺害された事件だった。「川崎の街を舞台………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2018年01月28日
[ジャンル]社会

「国境なき医師団」を見に行く [著]いとうせいこう

「国境なき医師団」を見に行く [著]いとうせいこう

 「国境なき医師団」の活動現場を訪ね歩いた記録から、強い衝撃を受けた。紛争で故郷を追われ、未来が見えない難民たち、どのような状況でもひたすら援助に奮闘する医師団スタッフ、無力感にさいなまれつつも人々と話し続け、表現しよう………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2018年01月07日
[ジャンル]社会

光の犬 [著]松家仁之

光の犬 [著]松家仁之

■生と死で紡ぐ、ある家族の記憶  北海道東部の架空の町・枝留(えだる)を主な舞台に、明治から平成の世に至る3代の添島家の人々と、飼われていた4代の北海道犬の軌跡をたどった物語。  百年以上にわたる三代記といえば、波瀾万………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年12月17日
[ジャンル]文芸

レッド・プラトーン―14時間の死闘 [著]クリントン・ロメシャ

レッド・プラトーン―14時間の死闘 [著]クリントン・ロメシャ

■極限状態の兵士の行動を克明に  アフガン戦争で窮地に追い込まれた米陸軍の小隊(プラトーン)元兵士がつづる戦記ノンフィクション。「戦闘をくぐり抜けたものはだれでも、戦いの恐ろしさを言葉では伝えることができないと知ってい………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年12月10日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

だから、居場所が欲しかった。―バンコク、コールセンターで働く日本人 [著]水谷竹秀

だから、居場所が欲しかった。―バンコク、コールセンターで働く日本人 [著]水谷竹秀

■彼らがタイにたどり着いた理由  タイ・バンコクにある日本企業のコールセンター。経費節減のために海外移転され、日本からかかってくる通信販売の注文への応対が主な業務である。そこでオペレーターとして働くのは、タイ人ではなく………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]社会

シンパサイザー [著]ヴィエト・タン・ウェン

シンパサイザー [著]ヴィエト・タン・ウェン

■スパイ視点で描くベトナム戦争  サイゴン陥落でベトナム戦争が終結した1975年に私は小学6年生。当時読んだ人気漫画「サイボーグ009」シリーズのベトナム編は今でも記憶に残り、子供にもこの戦争が意識された時代だった。そ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

ギガマネー 巨大資金の闇―富の支配者たちを狙え [著]太田康夫

ギガマネー 巨大資金の闇―富の支配者たちを狙え [著]太田康夫

 プライベートバンキングと呼ばれる富裕層向け金融業務の実態に迫った本書で、富の集中のすさまじさを知った。世界の全資産の半分近くを資産1億円以上の富裕層が占め、米国などで1千億円以上の大金持ちが増加。世界の金融機関が富裕層………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]経済

この世の春(上・下) [著]宮部みゆき

この世の春(上・下) [著]宮部みゆき

■呪いをはき出す心の闇に対抗  社会派ミステリーからファンタジーまで、時空を自在に行き来し、想像力を広げる著者の多彩な小説世界に魅了された読者は多い。作家生活30周年の節目に刊行された本書は、著者が得意とする江戸期が舞………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]文芸

ホワイトラビット/AX [著]伊坂幸太郎

ホワイトラビット/AX [著]伊坂幸太郎

■また会いたくなる殺し屋たち  犯罪者を主人公にした著者のエンタメ小説には、繰り返し読ませる魅力がある。ストーリーの面白さだけでなく、個性豊かな殺し屋や泥棒にもう一度会いたくなってしまうのだ。社会的に悪者ではあるのだが………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]文芸

R帝国 [著]中村文則

R帝国 [著]中村文則

■現実と不気味につながる暗黒郷  暗黒の未来を描き出すディストピア小説には、時代を映す鏡のような意味がある。著者はあとがきで「今僕達が住むこの世界」と小説世界との因果関係に触れている。現実との不気味なつながりがじわりと………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

海賊の世界史 [著]桃井治郎

海賊の世界史 [著]桃井治郎

 船や町を襲撃して略奪する海賊は、現代では許されない犯罪者集団だろう。だが、本書は、富を奪い合う国家間の戦争が絶えなかった歴史の中で海賊が多様な顔を見せてきた史実を伝える。古代ギリシャの昔から登場してきた海賊は、国家権力………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年08月27日
[ジャンル]歴史

江戸・明治―百姓たちの山争い裁判 [著]渡辺尚志

江戸・明治―百姓たちの山争い裁判 [著]渡辺尚志

■生活の糧を懸けた人間ドラマ  山野の境界をめぐって争った百姓たちの歴史を、江戸時代の裁判を中心に解説する本書は、人間ドラマの魅力に満ちている。知略を尽くして闘う姿は「百姓」のイメージを一変させた。  江戸時代の人口の………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]歴史

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