市田隆(本社編集委員)の書評

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市田隆 (本社編集委員)
いちだ・たかし。朝日新聞社編集委員。1964年生まれ。読売新聞社を経て2003年入社。11年から特別報道センターで調査報道を担当する編集委員。これまで主に政官業の癒着や金融業界の不祥事をテーマにした取材を担当。

この世の春(上・下) [著]宮部みゆき

この世の春(上・下) [著]宮部みゆき

■呪いをはき出す心の闇に対抗  社会派ミステリーからファンタジーまで、時空を自在に行き来し、想像力を広げる著者の多彩な小説世界に魅了された読者は多い。作家生活30周年の節目に刊行された本書は、著者が得意とする江戸期が舞………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]文芸

ホワイトラビット/AX [著]伊坂幸太郎

ホワイトラビット/AX [著]伊坂幸太郎

■また会いたくなる殺し屋たち  犯罪者を主人公にした著者のエンタメ小説には、繰り返し読ませる魅力がある。ストーリーの面白さだけでなく、個性豊かな殺し屋や泥棒にもう一度会いたくなってしまうのだ。社会的に悪者ではあるのだが………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]文芸

R帝国 [著]中村文則

R帝国 [著]中村文則

■現実と不気味につながる暗黒郷  暗黒の未来を描き出すディストピア小説には、時代を映す鏡のような意味がある。著者はあとがきで「今僕達が住むこの世界」と小説世界との因果関係に触れている。現実との不気味なつながりがじわりと………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

海賊の世界史 [著]桃井治郎

海賊の世界史 [著]桃井治郎

 船や町を襲撃して略奪する海賊は、現代では許されない犯罪者集団だろう。だが、本書は、富を奪い合う国家間の戦争が絶えなかった歴史の中で海賊が多様な顔を見せてきた史実を伝える。古代ギリシャの昔から登場してきた海賊は、国家権力………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年08月27日
[ジャンル]歴史

江戸・明治―百姓たちの山争い裁判 [著]渡辺尚志

江戸・明治―百姓たちの山争い裁判 [著]渡辺尚志

■生活の糧を懸けた人間ドラマ  山野の境界をめぐって争った百姓たちの歴史を、江戸時代の裁判を中心に解説する本書は、人間ドラマの魅力に満ちている。知略を尽くして闘う姿は「百姓」のイメージを一変させた。  江戸時代の人口の………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]歴史

アルカイダから古文書を守った図書館員 [著]ジョシュア・ハマー

アルカイダから古文書を守った図書館員 [著]ジョシュア・ハマー

■荷車や川船で検問抜けた「国宝」  アルカイダ系イスラム武装勢力がアフリカのマリ北部を支配した2012〜13年、焼損の危機にあった貴重な古文書を救い出したイスラムの現地民の記録だ。  綱渡りの救出作戦から、恐怖にくじけ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年07月30日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

偽装死で別の人生を生きる [著]エリザベス・グリーンウッド

偽装死で別の人生を生きる [著]エリザベス・グリーンウッド

■現代社会の病理うつす取材記録  死亡偽装による保険金詐欺を記事にしたことがある。パキスタン人の夫が同国内で交通事故死したとして、日本人の元妻が大手生保から3千万円の保険金を受け取ったが、その後に死亡関係書類が偽造と判………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年07月16日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝 国際

BUTTER [著]柚木麻子

BUTTER [著]柚木麻子

■女性に課されたくびきを照らす  2009年に首都圏で起きた男性3人の連続不審死事件をモチーフにした長編小説だが、注目を集めた事件について独自の謎解きを試みた内容ではない。  著者は、事件そのものよりも「あの事件を生ん………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年06月25日
[ジャンル]文芸

あのころ、早稲田で [著]中野翠

あのころ、早稲田で [著]中野翠

 「あのころ」とは、学生運動真っ盛りの1960年代後半。早大生として過ごした日々を様々な友人の思い出とともにつづる。  著者は、ユーモアあふれる筆致で世情をチクリと刺すコラムが得意だが、この回想録では動乱の時代に悩み戸惑………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]文芸

ヒトラーの裁判官フライスラー [著]ヘルムート・オルトナー

ヒトラーの裁判官フライスラー [著]ヘルムート・オルトナー

■政権に忠実な官吏の無責任体質  ナチス・ドイツの独裁下で国家反逆行為などを裁く人民法廷の長官を務めたローラント・フライスラー。ナチスに抵抗した学生グループ「白バラ」やヒトラー暗殺未遂事件の被告らに死刑判決を下した裁判………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年05月21日
[ジャンル]歴史

毒々生物の奇妙な進化 [著]クリスティー・ウィルコックス

毒々生物の奇妙な進化 [著]クリスティー・ウィルコックス

■食物連鎖を逆転、特効薬にも  本書に登場するハワイ大大学院の女性は、海で遊泳中にハコクラゲの大群に刺され、激痛と呼吸困難で溺れかけた。九死に一生を得た彼女はその後、この毒素に強い興味を抱き、クラゲの毒液研究者になって………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年04月23日
[ジャンル]科学・生物

ローカルブックストアである [著]大井実 本屋、はじめました [著]辻山良雄

ローカルブックストアである [著]大井実 本屋、はじめました [著]辻山良雄

■本と町と人を結ぶきっかけに    この2冊は、町の本屋が消えていく受難の時代に、福岡と東京で小さな本屋を開いた2人の店主がその道のりを振り返った記録だ。  「ブックスキューブリック」の大井実は37歳の時、生まれ故郷の………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年04月09日
[ジャンル]人文

国家と石綿―ルポ・アスベスト被害者「息ほしき人々」の闘い [著]永尾俊彦

国家と石綿―ルポ・アスベスト被害者「息ほしき人々」の闘い [著]永尾俊彦

■危険から抜け出せなかった構造  断熱材などに用いられ、近代工業を支えた石綿製品。国は戦前から大阪・泉南地域の石綿工場で深刻な健康被害が発生していることを把握しながら有効な対策をとらなかったという。その被害者は「貧しく………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月26日
[ジャンル]歴史 社会

竜は動かず―奥羽越列藩同盟顛末(上・下) [著]上田秀人

竜は動かず―奥羽越列藩同盟顛末(上・下) [著]上田秀人

 人気時代小説家が、幕末の動乱の中で非業の死を遂げた仙台藩士玉虫左太夫に光を当てた。坂本龍馬ら幕末のスターたちに比べて知名度は低いが、この人物が後の世まで生きていたら日本はどうなっていたかと夢想させる歴史小説だ。  下級………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]歴史 文芸

いつかの夏―名古屋闇サイト殺人事件 [著]大崎善生

いつかの夏―名古屋闇サイト殺人事件 [著]大崎善生

■被害者の「生」の重みを問い直す  「名古屋闇サイト殺人事件」が発生したのは2007年8月のこと。闇サイトの犯行を誘う書き込みがきっかけで集まった男3人が、無関係な名古屋市の会社員磯谷利恵さん(当時31歳)を路上で拉致………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月05日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

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