円城塔  (作家)の書評

写真:円城塔  さん

円城塔  (作家)
えんじょう・とう。作家。2016年春より書評委員。

ゲームの規則―全4巻 [著]ミシェル・レリス

ゲームの規則―全4巻 [著]ミシェル・レリス

■人生を小説にする野望の行方  人生を作品として織り上げ、書くことで、そこにひそむ秘密を解明すること。  そんな野望を抱いた民族学者のミシェル・レリスは「ゲームの規則」と名づけたシリーズを、36年間にわたり書き続けた。………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2018年03月25日
[ジャンル]文芸

半分世界 [著]石川宗生

半分世界 [著]石川宗生

 筆力に驚かされる。  デビュー作とは思えない整った文章や、思い込みを突いてくる比喩。それも印象的なのだが、なによりもバランス感覚である。  たとえば、町がたくさんの同一人物たちに埋め尽くされる「吉田同名」。あるいは縦割………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2018年03月18日
[ジャンル]文芸

J・G・バラード短編全集(全5巻) [著]J・G・バラード

J・G・バラード短編全集(全5巻) [著]J・G・バラード

■探査し続けた内と外の宇宙  今わたしの頭の中にはひとつの妄想が渦巻いていて、それはこういうものである。  人がバラードの作品を読むときは、自分が生まれた時代に書かれたものを最も好むのではないか。  第5巻をもって完結………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2018年03月04日
[ジャンル]文芸 科学・生物

硬きこと水のごとし [著]閻連科

硬きこと水のごとし [著]閻連科

■文革をありのまま伝える覚悟  発禁処分や過激とされる表現がとりあげられることの多い閻連科だが、作家というものは基本的にどんな文章でも書ける。『年月日』のような神話的雰囲気を帯びた話や、『父を想(おも)う』のようなしみ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2018年02月18日
[ジャンル]文芸

文学問題(F+f)+ [著]山本貴光

文学問題(F+f)+ [著]山本貴光

■漱石が考えたその先を探る  文学とはなにかという問いはひどくむずかしい。  読めばわかるという立場もあるが、皆の意見が一致するはずもない。  あらゆる文字の並びは文学的なものであるという考え方があり、どんな文字の並び………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2018年02月04日
[ジャンル]文芸

地下鉄道 [著]コルソン・ホワイトヘッド/ネバーホーム [著]レアード・ハント

地下鉄道 [著]コルソン・ホワイトヘッド/ネバーホーム [著]レアード・ハント

■差別を体感させる言葉と語り  アメリカ合衆国は1776年の建国時から自由州と奴隷州に分かれていた。リンカーンが奴隷解放を宣言するのが1863年のことであり、日本でいえば江戸中期から幕末あたりの時代ということになる。 ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2018年01月28日
[ジャンル]文芸

アーダ(上・下) [著]ウラジーミル・ナボコフ

アーダ(上・下) [著]ウラジーミル・ナボコフ

■技法と知識ありったけの混沌  あまり知られていないことだが、自分でもよくわからないことがらは、うまく翻訳することができない。  それはまあ、どう訳すのか正解が決まっているような文章ならば機械にだって訳せそうであるのだ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]文芸

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

 気がつくと朝になっていたということがよくおこる、巻を措(お)くあたわざる機龍警察もシリーズ6作目。  4作目までで主要な登場人物たちの過去を掘り下げてきた本シリーズも、5作目の短編集をはさみ、新展開を迎えている。  大………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

一句頂一万句 [著]劉震雲 / パリに終わりはこない [著]エンリーケ・ビラ=マタス

一句頂一万句 [著]劉震雲 / パリに終わりはこない [著]エンリーケ・ビラ=マタス

■朴訥と技巧、対照的な笑い  笑いのない人生はつらいが、自分の人生が面白いものかどうかは、当人には意外にわからない。ひどくまじめでいることがこっけいにみえ、ただぼんやりとしていることがかしこい選択であったりする。笑いに………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]文芸

島に住む人類―オセアニアの楽園創世記 [著]印東道子

島に住む人類―オセアニアの楽園創世記 [著]印東道子

 アフリカに生まれた人類が、何万年かをついやした移動の末に太平洋岸へ進出をはじめたのはおよそ六万年前あたりのことらしい。  ひとくちにオセアニアといっても、ひろい。最近の研究によれば、最後の大きな無人島であったニュージー………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年10月08日
[ジャンル]歴史

私にはいなかった祖父母の歴史 [著]イヴァン・ジャブロンカ

私にはいなかった祖父母の歴史 [著]イヴァン・ジャブロンカ

 著者は歴史家である。  ホロコーストで父方の祖父母を亡くしている。それは著者が生まれる前のできごとだから、亡くしたというより、もともといなかったという感覚がある。  祖父母といっても、高齢者ではない。二人は三十歳前後で………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]歴史 文芸

影裏 [著]沼田真佑

影裏 [著]沼田真佑

■たくらみつつ、すべて語らない  たくらみがある。  岩手県の美しい自然を瑞々(みずみず)しく描いた小説だという人があり、震災を描いた小説であるという人があり、マイノリティを描いた小説だという人がある。  話はこれから………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

ボコ・ハラム―イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織 [著]白戸圭一

ボコ・ハラム―イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織 [著]白戸圭一

 交通機関が発達し、情報が一瞬で地球をめぐる時代となっても、遠い場所のできごとには、どこか他人ごとという雰囲気が漂う。  大きな事件を耳にしても、自分の常識の範囲内でおおよそこんなところだろうと見当をつけて満足してしまい………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月10日
[ジャンル]社会 国際

ウォークス―歩くことの精神史 [著]レベッカ・ソルニット

ウォークス―歩くことの精神史 [著]レベッカ・ソルニット

■一歩進めば、わかることがある  この本を読んでいる間、ふだん乗るバスをやめて徒歩にしてみた。ほんの二十分ほどの道にすぎない。  歩くことで気分はかわると、なんとなく経験的にしってはいる。こうして書く文章の調子などもか………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月03日
[ジャンル]人文

書架の探偵 [著]ジーン・ウルフ

書架の探偵 [著]ジーン・ウルフ

 図書館の棚に、男が一人横になっている。彼はかつて存在した作家の記憶を植えつけられたクローンである。オリジナルはミステリ作家だった。要望があれば貸し出される。  生物学的には人間だが、完全に物として扱われる。制度上、そう………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]文芸

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