円城塔  (作家)の書評

写真:円城塔  さん

円城塔  (作家)
えんじょう・とう。作家。2016年春より書評委員。

アーダ(上・下) [著]ウラジーミル・ナボコフ

アーダ(上・下) [著]ウラジーミル・ナボコフ

■技法と知識ありったけの混沌  あまり知られていないことだが、自分でもよくわからないことがらは、うまく翻訳することができない。  それはまあ、どう訳すのか正解が決まっているような文章ならば機械にだって訳せそうであるのだ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]文芸

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

 気がつくと朝になっていたということがよくおこる、巻を措(お)くあたわざる機龍警察もシリーズ6作目。  4作目までで主要な登場人物たちの過去を掘り下げてきた本シリーズも、5作目の短編集をはさみ、新展開を迎えている。  大………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

一句頂一万句 [著]劉震雲 / パリに終わりはこない [著]エンリーケ・ビラ=マタス

一句頂一万句 [著]劉震雲 / パリに終わりはこない [著]エンリーケ・ビラ=マタス

■朴訥と技巧、対照的な笑い  笑いのない人生はつらいが、自分の人生が面白いものかどうかは、当人には意外にわからない。ひどくまじめでいることがこっけいにみえ、ただぼんやりとしていることがかしこい選択であったりする。笑いに………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]文芸

島に住む人類―オセアニアの楽園創世記 [著]印東道子

島に住む人類―オセアニアの楽園創世記 [著]印東道子

 アフリカに生まれた人類が、何万年かをついやした移動の末に太平洋岸へ進出をはじめたのはおよそ六万年前あたりのことらしい。  ひとくちにオセアニアといっても、ひろい。最近の研究によれば、最後の大きな無人島であったニュージー………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年10月08日
[ジャンル]歴史

私にはいなかった祖父母の歴史 [著]イヴァン・ジャブロンカ

私にはいなかった祖父母の歴史 [著]イヴァン・ジャブロンカ

 著者は歴史家である。  ホロコーストで父方の祖父母を亡くしている。それは著者が生まれる前のできごとだから、亡くしたというより、もともといなかったという感覚がある。  祖父母といっても、高齢者ではない。二人は三十歳前後で………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]歴史 文芸

影裏 [著]沼田真佑

影裏 [著]沼田真佑

■たくらみつつ、すべて語らない  たくらみがある。  岩手県の美しい自然を瑞々(みずみず)しく描いた小説だという人があり、震災を描いた小説であるという人があり、マイノリティを描いた小説だという人がある。  話はこれから………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

ボコ・ハラム―イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織 [著]白戸圭一

ボコ・ハラム―イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織 [著]白戸圭一

 交通機関が発達し、情報が一瞬で地球をめぐる時代となっても、遠い場所のできごとには、どこか他人ごとという雰囲気が漂う。  大きな事件を耳にしても、自分の常識の範囲内でおおよそこんなところだろうと見当をつけて満足してしまい………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月10日
[ジャンル]社会 国際

ウォークス―歩くことの精神史 [著]レベッカ・ソルニット

ウォークス―歩くことの精神史 [著]レベッカ・ソルニット

■一歩進めば、わかることがある  この本を読んでいる間、ふだん乗るバスをやめて徒歩にしてみた。ほんの二十分ほどの道にすぎない。  歩くことで気分はかわると、なんとなく経験的にしってはいる。こうして書く文章の調子などもか………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月03日
[ジャンル]人文

書架の探偵 [著]ジーン・ウルフ

書架の探偵 [著]ジーン・ウルフ

 図書館の棚に、男が一人横になっている。彼はかつて存在した作家の記憶を植えつけられたクローンである。オリジナルはミステリ作家だった。要望があれば貸し出される。  生物学的には人間だが、完全に物として扱われる。制度上、そう………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]文芸

すごい物理学講義 [著]カルロ・ロヴェッリ/ジョルジュ・ペレック―制約と実存 [著]塩塚秀一郎

すごい物理学講義 [著]カルロ・ロヴェッリ/ジョルジュ・ペレック―制約と実存 [著]塩塚秀一郎

■規則の果てに生まれる独創性  世の中には法則がある。  自然法則であれば、自分でつくることはできないから、発見するということになる。理由はわからないなりに、とにかくそうなっている現象を説明しようと試みる。  二十世紀………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年07月30日
[ジャンル]文芸 科学・生物

ソヴィエト・ファンタスチカの歴史 [著]ルスタム・カーツ

ソヴィエト・ファンタスチカの歴史 [著]ルスタム・カーツ

 ソビエト社会主義共和国連邦は、「正しい科学」や「正しい文学」のありかたを国が定めようとした。  結果、「政治的に正しい科学にのっとった空想科学小説」という珍妙な分野が、国の支援の下に花開くことになった。  といったあた………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年07月23日
[ジャンル]歴史

ホサナ [著]町田康

ホサナ [著]町田康

■わかるとはどういうことなのか  いまさらながら、日本語とは不思議なものである。  ちょっとながめるだけでも、漢字と平仮名、片仮名がいりまじっている。なんならアルファベットをまぜることも可能だ。  日本語の文章は明治期………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年07月09日
[ジャンル]人文

なぜ世界中が、ハローキティを愛するのか?―“カワイイ”を世界共通語にしたキャラクター [著]クリスティン・ヤノ

なぜ世界中が、ハローキティを愛するのか?―“カワイイ”を世界共通語にしたキャラクター [著]クリスティン・ヤノ

■謎多いクールジャパンの象徴  百年後にも残っている日本文化はなにかという話をすると、ハローキティかマリオブラザーズではないかとなることが多い。いや日本にはまだまだ素晴らしい文化があると言ってみても、実際に海外の街中で………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年07月02日
[ジャンル]社会

物語論 基礎と応用 [著]橋本陽介

物語論 基礎と応用 [著]橋本陽介

■面白さを技術として解き明かす  好きな小説を一冊、手元に用意して欲しい。  登場人物の名前や、あらすじを言える人は多いだろう。ではそのお話は、三人称で書かれていただろうか、一人称で書かれていただろうか。文章は、過去形………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年06月18日
[ジャンル]文芸

植民地の腹話術師たち―朝鮮の近代小説を読む [著]金哲

植民地の腹話術師たち―朝鮮の近代小説を読む [著]金哲

■言葉の強制、拒否と受容の間  趣味や仕事で外国語を話したり書いたりすることと、強制的に言葉を押しつけられることは根本的に違うできごとである。  なにごとかを強制された場合の反応は一般に、拒否か受容の二つにわかれる。 ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]文芸

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