齋藤純一(早大教授)の書評

写真:齋藤純一さん

齋藤純一 (早大教授)
さいとう・じゅんいち。1958年生まれ。早大教授=政治理論・政治思想史。2017年4月より書評委員。

憲法と世論―戦後日本人は憲法とどう向き合ってきたのか [著]境家史郎

憲法と世論―戦後日本人は憲法とどう向き合ってきたのか [著]境家史郎

■改憲望む有権者、データで分析  先月行われた総選挙の結果、与党をはじめ改憲勢力が議席の圧倒的多数を占めるようになり、改憲の発議も現実味を増してきた。  本書は、戦後に行われた憲法に関する世論調査の集計結果を網羅的に収………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]政治

国家がなぜ家族に干渉するのか―法案・政策の背後にあるもの [編著]本田由紀・伊藤公雄

国家がなぜ家族に干渉するのか―法案・政策の背後にあるもの [編著]本田由紀・伊藤公雄

■生き方断念せずにすむ保障こそ  近代の国家は家族に深く関与してきた。そのことにいまも変わりなく、大多数の国家は異性愛カップルにのみ婚姻資格を与えているし、少子化対策は最重要の政策課題とされている。  本書は、本年1月………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]政治

ナチスの「手口」と緊急事態条項 [著]長谷部恭男・石田勇治

ナチスの「手口」と緊急事態条項 [著]長谷部恭男・石田勇治

■為政者の濫用、いかに危険か  衆議院が解散され、22日には投票が行われる。自民党はかねてより「緊急事態条項」を憲法に設けようとしてきた(2012年発表「自民党憲法改正草案」)。総選挙では表立った争点とはならないとして………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年10月01日
[ジャンル]歴史

帝国と立憲―日中戦争はなぜ防げなかったのか [著]坂野潤治

帝国と立憲―日中戦争はなぜ防げなかったのか [著]坂野潤治

■デモクラシーの役割と課題問う  本書は、1874年の台湾出兵から1937年の日中全面戦争に至る歴史を、「帝国」対「立憲」という構図のもとに簡明に描き直す。著者によれば、「内に立憲、外に帝国」という二重基準でこの時代を………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年09月10日
[ジャンル]歴史

「維新革命」への道―「文明」を求めた十九世紀日本 [著]苅部直

「維新革命」への道―「文明」を求めた十九世紀日本 [著]苅部直

■商業の自由の擁護が原動力に  明治維新をもって日本の近代がはじまる。本書はこの「断絶」のイメージを払拭(ふっしょく)する。  本書によれば、維新には「社会と思想の構造変化」の前史があった。この「長い革命」があったから………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年08月13日
[ジャンル]歴史

「大衆」と「市民」の戦後思想-藤田省三と松下圭一 [著]趙星銀

「大衆」と「市民」の戦後思想-藤田省三と松下圭一 [著]趙星銀

■社会の民主的成熟に向けて議論  藤田省三と松下圭一は、戦後間もなく丸山眞男のもとで学び、1950年代後半から80年代にかけて民主主義をめぐる議論をリードした。「天皇制社会」や「安楽への全体主義」、「市民自治」や「シビ………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年08月06日
[ジャンル]政治 社会

一枚の切符―あるハンセン病者のいのちの綴り方 [著]崔南龍

一枚の切符―あるハンセン病者のいのちの綴り方 [著]崔南龍

■浄化の対象として隔離した歴史  いまハンセン病療養施設にいる人の平均年齢は85歳になった。同年代の著者は、10歳のときから岡山県長島の邑久(おく)光明園で暮らす。本書は、著者自身のエッセーと孫和代氏が著者から聴きとっ………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年07月16日
[ジャンル]社会

熟議民主主義の困難―その乗り越え方の政治理論的考察 [著]田村哲樹

熟議民主主義の困難―その乗り越え方の政治理論的考察 [著]田村哲樹

 先の国会では熟議が公然と蔑(ないがし)ろにされたが、市民社会ではどうだろうか。本書は、熟議の場が、議会や市民参加のフォーラムだけではなく多層的に存在することを強調する。熟議は家族や職場でも行われるし、自由民主主義の内部………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年07月09日
[ジャンル]政治

自民党―「一強」の実像 [著]中北浩爾

自民党―「一強」の実像 [著]中北浩爾

 いま自民党は、「安倍一強」の党内権威主義の傾向が著しく、党内からの異論は聞こえてこない。なぜそうなったかを理解する上でも本書の周到な分析は有益である。  1994年の政治改革、とりわけ小選挙区制の導入と政治資金規制の強………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年06月18日
[ジャンル]政治

子どもたちの階級闘争-ブロークン・ブリテンの無料託児所から [著]ブレイディみかこ

子どもたちの階級闘争-ブロークン・ブリテンの無料託児所から [著]ブレイディみかこ

■「一番低い場所」から社会問う  本書が描くイギリスの底辺社会の実相は、この春に日本でも上映された、ケン・ローチ監督『わたしは、ダニエル・ブレイク』のいくつかのシーンと重なった。そのひとつは、ロンドンから北部の安い住宅………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年06月11日
[ジャンル]教育 社会

ポピュリズムとは何か [著]ヤン=ヴェルナー・ミュラー

ポピュリズムとは何か [著]ヤン=ヴェルナー・ミュラー

■異論を認めない「反多元主義」  近年、ポピュリズムという言葉をよく耳にするようになった。5月に行われたフランス大統領選の際も、マリーヌ・ルペン候補が代表的なポピュリストとして注目された。しかし、この言葉が何を指すかは………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年06月04日
[ジャンル]政治 社会

フェミニストたちの政治史―参政権、リブ、平等法 [著]大嶽秀夫

フェミニストたちの政治史―参政権、リブ、平等法 [著]大嶽秀夫

■不利強いる慣行の問い直しを  本書は、19世紀から現代にいたるフェミニズム運動の軌跡を辿(たど)る。  興味をひかれるのは、フェミニズムが、20世紀半ばまでは、社会民主主義と親和的だったのに対して、70年代半ば以降、………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年05月07日
[ジャンル]政治

あま世へ-沖縄戦後史の自立にむけて [編]森宣雄、冨山一郎、戸邉秀明

あま世へ-沖縄戦後史の自立にむけて [編]森宣雄、冨山一郎、戸邉秀明

 執筆者のひとり鹿野政直氏によれば、近代の沖縄は「最後尾の県」(戦前・戦中)、「捨て石」(沖縄戦)、「太平洋の要石」(米軍占領下から復帰を経て現在に至る)と特徴づけられる立場にたたされてきた。  沖縄が強いられてきたのは………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年04月30日
[ジャンル]政治 社会

われらの子ども―米国における機会格差の拡大 [著]ロバート・D・パットナム

われらの子ども―米国における機会格差の拡大 [著]ロバート・D・パットナム

■公正に才能生かすため探求迫る  「二つのアメリカ」への分断。本書が克明に描き出すのは、アメリカン・ドリームが過去のものとなりつつある現状である。  「二つの」社会階級は、親が大卒か高卒かで分けられる。本書の魅力は、そ………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年04月23日
[ジャンル]歴史 社会

福祉政治史 格差に抗するデモクラシー [著]田中拓道

福祉政治史 格差に抗するデモクラシー [著]田中拓道

■誰の意思反映か、分かれる政策  グローバル化、巨額の財政赤字、そして少子化という状況を考えると、福祉の後退は避けがたいようにも見える。一方で、中低所得者がいだく先行きへの不安は、各地でポピュリズムの動きを加速させてい………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2017年04月02日
[ジャンル]政治

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