野矢茂樹(東大教授)の書評

写真:野矢茂樹さん

野矢茂樹 (東大教授)
のや・しげき。1954年生まれ。東大教授=哲学。2017年4月より書評委員。

セトウツミ 全8巻 [著]此元和津也

セトウツミ 全8巻 [著]此元和津也

■マンガ表現の枠を広げたラスト  男子高校生セトとウツミが河原に腰かけて喋(しゃべ)る。基本、それだけのマンガである。「こないだめっちゃ頭痛かってんやんか」「どれぐらい痛かったん」「これぐらいの 大ハンドモンスターに頭………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2018年02月04日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

情動の哲学入門―価値・道徳・生きる意味 [著]信原幸弘

情動の哲学入門―価値・道徳・生きる意味 [著]信原幸弘

■理性こそ判断の主役に、待った  冒頭、こう書き出される。「とかく情動は悪者にされやすい。しかし、本当にそうなのだろうか。」  「情動」という語よりも「感情」と言った方がピンとくるだろう。「感情に流されると理性的な判断………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2018年01月21日
[ジャンル]人文

学校では教えてくれない差別と排除の話 [著]安田浩一

学校では教えてくれない差別と排除の話 [著]安田浩一

 私は差別を身をもって実感したことがない。だが、そのことは私が差別と無縁であることを意味してはいない。差別の存在する社会に生きている以上、否も応もなく差別に巻き込まれている。そんな私に必要なのは、説教じみた道徳ではなく、………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2018年01月07日
[ジャンル]社会

新哲学対話―ソクラテスならどう考える? [著]飯田隆

新哲学対話―ソクラテスならどう考える? [著]飯田隆

■プラトンの文体、生き生き再現  知る者は知らない者の優位に立つ。知は容易に上下関係を生む。ところが、ソクラテスは無知の人であった。そこは知らない者こそが活躍する場なのだ。  本書は、プラトンの対話篇(へん)を模した四………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年12月17日
[ジャンル]人文

森へ行きましょう [著]川上弘美

森へ行きましょう [著]川上弘美

■歪み増殖していく物語に迷う  最近はなかなか迷子になることもない。だけど、私はけっこう迷子になるのが好きだ。いまどこにいるのだろうという、心細さがいい。ただし、その心細さを受け入れる気持ちの余裕も必要だけど。  この………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年11月19日
[ジャンル]文芸

新しい分かり方 [著]佐藤雅彦

新しい分かり方 [著]佐藤雅彦

■心地よく見え方をずらされる  とりたてて何も考えずに何かを見ているときでも、見ることのうちに「思考」は入り込んでいる。テーブルの上をぼーっと見ているとき、テーブル、コーヒーカップ、スプーン、そういう意味をもったものと………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年11月05日
[ジャンル]人文 科学・生物

大人のための社会科―未来を語るために [著]井手英策・宇野重規・坂井豊貴・松沢裕作

大人のための社会科―未来を語るために [著]井手英策・宇野重規・坂井豊貴・松沢裕作

■「どこかおかしい」を解き明かす  「現代社会の基礎知識を教えてくれる本かな」  「そう思っちゃうよね。表紙しか見てないだろ」  「いや、目次もちょっとは見たさ。第1章は『GDP』。ちゃんとは分かってないから、教えても………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]政治 社会

昆虫の交尾は、味わい深い…。 [著]上村佳孝

昆虫の交尾は、味わい深い…。 [著]上村佳孝

 昆虫や交尾に興味がなくとも、人間(昆虫の交尾なんて研究に情熱を傾ける人間という面白き存在!)に興味があれば、本書は楽しめる。著者は昆虫を観察し、読者はそんな著者を観察するのである。  ハサミムシのオスの挿入器は二本ある………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]科学・生物

新・風景論―哲学的考察 [著]清水真木

新・風景論―哲学的考察 [著]清水真木

■絵のような景色、好きですか  太宰治はいかにもな富士の景色を見て、「風呂屋のペンキ画だ」と軽蔑した。著者はそれに共感し、さらに最近あちこちで見かけるわざとらしい日本風の街並み作り(和風テーマパーク)も批判する。ところ………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年10月08日
[ジャンル]人文

湯殿山の哲学―修験と花と存在と [著]山内志朗

湯殿山の哲学―修験と花と存在と [著]山内志朗

■故郷の呼び声で現れる「私」  湯殿山は存在の襞(ひだ)だ、と著者は言う。  私は一応哲学をやっているが、曖昧(あいまい)で晦渋(かいじゅう)な言葉に出会うとたいてい不愉快になる。しかし、この本の言葉は、ときに難解では………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年09月03日
[ジャンル]人文

土偶界へようこそ-縄文の美の宇宙 [著]譽田亜紀子

土偶界へようこそ-縄文の美の宇宙 [著]譽田亜紀子

■造形美、かきたてる想像力  縄文のビーナスって知ってますか? 国宝土偶の第一号である。知らないという人、こっちにいらっしゃい。いや、実は私も有名な遮光器土偶ぐらいしか知らなかった。この本の受け売りでお教えすると、土偶………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年08月06日
[ジャンル]歴史 人文

ぐるぐる♡博物館 [著]三浦しをん

ぐるぐる♡博物館 [著]三浦しをん

 三浦さんが博物館に足を踏み入れる。「ほえー」と感嘆し、「うーむ」と唸(うな)り、「あのねあのね」と興奮してにじり寄ってくる。一言でいえば、たがが外れる。つられて読者も、たがが外れる。ほえー。  それで私も気がついた。博………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年07月30日
[ジャンル]文芸 アート・ファッション・芸能

インタビュー [著]木村俊介

インタビュー [著]木村俊介

■はりぼて化を拒否するために  著者はそれを「はりぼて」と言う。外見だけをとりつくろった情報が、短い言葉で言い切られ、コピーされ、増殖していく。いまに始まったことではない。私たちはそういう言葉が好きだ。そしてそんな「は………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年07月23日
[ジャンル]人文 社会

無くならない―アートとデザインの間 [著]佐藤直樹

無くならない―アートとデザインの間 [著]佐藤直樹

■肩書が無いところに「力」の源  著者は「アートディレクター」として20年以上仕事をしてきた。しかし、もうそんな肩書はやめようと言う。とはいえ、仕事をやめるわけではない。  仕事は続けつつも、新たに絵を描き始める。「な………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年07月02日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

通信制高校のすべて―「いつでも、どこでも、だれでも」の学校 [編著]手島純

通信制高校のすべて―「いつでも、どこでも、だれでも」の学校 [編著]手島純

 読もうかどうしようかとパラパラ見ていたら、ある一言に目が留まった。「学校というものは、決められた場所で、決められた時間に、決められた教材を使って、決まった年齢の人が集まるところになっていて、それを私たちは当たり前だと思………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年06月25日
[ジャンル]教育 人文 社会

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