椹木野衣 (美術評論家)の書評

写真:椹木野衣 さん

椹木野衣  (美術評論家)
さわらぎ・のい。1962年生まれ。美術評論家。2017年4月より書評委員。

文化資本―クリエイティブ・ブリテンの盛衰 [著]ロバート・ヒューイソン

文化資本―クリエイティブ・ブリテンの盛衰 [著]ロバート・ヒューイソン

■五輪へ向かう政策、混乱の果て  初めて読むのに、なぜだか既視感を禁じえなかった。クール・ブリタニア、オリンピック招致、オリンピアード、アーツ・カウンシル、そしてレガシー。そう、本書は、1997年にイギリスでブレア政権………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2018年01月14日
[ジャンル]経済

私がアルビノについて調べ考えて書いた本―当事者から始める社会学 [著]矢吹康夫

私がアルビノについて調べ考えて書いた本―当事者から始める社会学 [著]矢吹康夫

■マイナーな語り、多様な受け皿  昨年、大阪の高校で、生まれつき茶色い髪の黒染めを教諭らから何度も強要されたとして、在校の女子生徒が健康被害と精神的な苦痛から訴訟を起こしたのは記憶に新しい。なぜ、そこまでして黒い髪を優………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2018年01月07日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

最後のソ連世代―ブレジネフからペレストロイカまで [著]アレクセイ・ユルチャク

最後のソ連世代―ブレジネフからペレストロイカまで [著]アレクセイ・ユルチャク

■ロックに熱狂した「彼ら」の青春  本書で「最後のソ連世代」とは「ペレストロイカ時に大学入学年齢から三十代だった人」を指す。停滞を代名詞とするブレジネフ時代の落とし子と言ってもいい。だが、ソ連全体でかれらが占める割合は………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年12月17日
[ジャンル]政治 アート・ファッション・芸能

ハーフ・ブリード [著]今福龍太

ハーフ・ブリード [著]今福龍太

■得体の知れぬ混淆の創造力  「ハーフ・ブリード」? 慌てて訳語を充てる前に本そのものに向き合ってみよう。試しにカバーを外してみるのもいい。すると目が吸い込まれるほど深い「赤の本」が姿をあらわす。正しくは赤い本体を持つ………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年12月03日
[ジャンル]人文

他人の始まり 因果の終わり [著]ECD

他人の始まり 因果の終わり [著]ECD

 作者はラッパー。書き下ろしは10年ぶり。「アル中」体験を題材にした前作同様、過酷な状況を他人事(ひとごと)のように突き放す。  だが「なんとなくボンヤリと家族のありさまを書いてみよう」と書き始めたエッセイは、警察からの………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年11月19日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

都市は人なり―Sukurappu ando Birudoプロジェクト 全記録 [著]Chim↑Pom

都市は人なり―Sukurappu ando Birudoプロジェクト 全記録 [著]Chim↑Pom

■野生で切り拓く冒険的なアート  昨今、美術館での展示を巡る表現規制が目立つ。冒険的な企画の実現は次第に難しくなりつつある。アートが自然や都市の渦中に飛び出し、芸術祭と同化していく傾向には、そんな苦しい背景もあるように………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年11月05日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 社会

浮世絵細見 [著]浅野秀剛

浮世絵細見 [著]浅野秀剛

 浮世絵は誰もが身近に感じる日本美術の代表。欧米での人気もうなぎのぼり。が、こんなにわかっていないことが多かったとは。  そもそも洋画や日本画さえ西洋の美術をモデルに明治時代に作り出された。浮世絵の全盛期に「美術」という………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

彼の娘 [著]飴屋法水/ほしのこ [著]山下澄人

彼の娘 [著]飴屋法水/ほしのこ [著]山下澄人

■本来は誰のものでもない「命」  作家の山下と演出家の飴屋は、これまで舞台を共にしてきた。しかも2冊の小説は同日に刊行された。だからだろうか、二つでひとつの物語のように読める。「お父さんは」「そんなに長く生きられないと………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]文芸

アリ対猪木―アメリカから見た世界格闘史の特異点 [著]ジョシュ・グロス

アリ対猪木―アメリカから見た世界格闘史の特異点 [著]ジョシュ・グロス

■未知の世界性はらんだ「凡戦」  1976年6月26日、中学生の私は土曜の半日授業が終わると家へ走った。ボクシング世界ヘビー級覇者モハメド・アリと日本最高峰のプロレスラー、アントニオ猪木の世紀の一戦を、テレビで目撃する………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年10月01日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

性食考 [著]赤坂憲雄

性食考 [著]赤坂憲雄

■容赦なく開陳される生の循環  レストランやカフェで、ネットに投稿するため注文した品を写真に収めるのをよく見かける。うまく撮れれば、きっとたくさんの「いいね!」がもらえるだろう。でも、食べかけを進んでネットにあげる人は………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

日本の夜の公共圏―スナック研究序説 [編著]谷口功一・スナック研究会

日本の夜の公共圏―スナック研究序説 [編著]谷口功一・スナック研究会

 スナックでは不思議と話がはずむ。酒を出す店ならほかにもある。やはり他に代えがたい魅力があるのだ。その数や全国で10万軒に及ぶという。  ところが、スナックについての学術的な研究はこれまで皆無であった。それも無理はない。………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年09月10日
[ジャンル]社会

ゲイリー・バートン自伝 [著]ゲイリー・バートン

ゲイリー・バートン自伝 [著]ゲイリー・バートン

■涙ぐましきヴィブラフォン愛  ヴィブラフォンをご存知(ぞんじ)だろうか。鍵盤のように並んだ金属製の音板を叩(たた)いて音を出す打楽器の一種で、下部に設置された共鳴管の中の円盤がモーターで回転し、音に振動を与える特別な………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年09月03日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

血のいろの降る雪―木原孝一アンソロジー [著]木原孝一 [編]山下洪文

血のいろの降る雪―木原孝一アンソロジー [著]木原孝一 [編]山下洪文

 22歳の時、初の詩集を北園克衛に託し建築技師として戦時下の硫黄島に渡った木原は1945年2月、病のため内地に帰還した。翌3月、硫黄島守備隊は玉砕、数少ない生き残りとなった。戦後は雑誌「詩学」編集の傍ら鮎川信夫、田村隆一………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年08月13日
[ジャンル]文芸

Mr.トルネード-藤田哲也 世界の空を救った男 [著]佐々木健一

Mr.トルネード-藤田哲也 世界の空を救った男 [著]佐々木健一

■原爆調査から航空機事故防止へ  旅客機の離着陸は、いつも緊張する。過去に多くの墜落事故が起きたのを知っているからだ。元凶となったのがダウンバーストだ。今では対策が進み、空の旅は格段に安全になった。しかし、かつては名前………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年08月06日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

樹木たちの知られざる生活―森林管理官が聴いた森の声 [著]ペーター・ヴォールレーベン/森林業―ドイツの森と日本林業 [著]村尾行一

樹木たちの知られざる生活―森林管理官が聴いた森の声 [著]ペーター・ヴォールレーベン/森林業―ドイツの森と日本林業 [著]村尾行一

■適材適所へ生態学的健康維持を  木や森は、人間にとってどこか理解しがたい存在だ。ところが『樹木たちの知られざる生活』を読むと、木にも私たちとよく似た「生活」があることに気づく。その特性が最大限に発揮される環境が「森」………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年07月30日
[ジャンル]政治 科学・生物 社会

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