保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

写真:保阪正康さん

保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

父・西條八十の横顔 [著]西條八束 [編]西條八峯

父・西條八十の横顔 [著]西條八束 [編]西條八峯

■子と孫が立体的に描く実像  子が父を語る、それを孫が編む。三代を結ぶ糸は畏敬(いけい)と信頼である。加えて直截(ちょくせつ)に評伝風に編んだのではなく、西條八十を見つめる子の目、その八十の家族関係、思い出の人々との交………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年08月28日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

戦争と和解の日英関係史 [編著]小菅信子、ヒューゴ・ドブソン

戦争と和解の日英関係史 [編著]小菅信子、ヒューゴ・ドブソン

■共有できる価値観の深化を  英国メディアは、ヨーロッパ戦勝記念日(5月8日)と対日戦勝記念日(8月15日)の報道姿勢が異なっている。前者には回顧、和解、郷愁、祝賀の四つがあり、後者にはそれが薄い。戦勝記念日50年の1………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年08月07日
[ジャンル]歴史 国際

透析生活17年―新聞記者の移植体験記 [著]山本晃

透析生活17年―新聞記者の移植体験記 [著]山本晃

 腎疾患克服の医療現代史、良き医師、良き医療環境に出会ってのルポ、家族愛を軸にしたヒューマンドキュメント。頁(ページ)を閉じた後に、感性も知性も刺激される書である。  著者は記者生活12年目に腎不全で透析生活に入る。19………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年07月31日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

子どもの頃の思い出は本物か-記憶に裏切られるとき [著]カール・サバー

子どもの頃の思い出は本物か-記憶に裏切られるとき [著]カール・サバー

■いつから覚え、なぜ変容するか  本書には二つの柱がある。一つは、幼年期の記憶はいつから始まり、それが正確か否か、科学的に解明しようとの論点。もう一つは幼年期の記憶を甦(よみがえ)らせ、それをもとに訴訟(主に性的虐待)………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年07月17日
[ジャンル]人文 医学・福祉

刑務所図書館の人びと―ハーバードを出て司書になった男の日記 [著]アヴィ・スタインバーグ

刑務所図書館の人びと―ハーバードを出て司書になった男の日記 [著]アヴィ・スタインバーグ

■体験談がやがて文学的世界へ  1分間の話を10分間に延ばして話すには天賦の才が必要だ。10分間を1分に縮めるのも才覚が必要だが、10分間の話を10分間で話すのは単なる凡俗の徒である。これが本書を読んだ率直な感想だ。 ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年07月10日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

思想は裁けるか―弁護士・海野普吉伝 [著]入江曜子

思想は裁けるか―弁護士・海野普吉伝 [著]入江曜子

■国家の法を個人の側から照射  ファシズム体制下の弁護士には、重い踏み絵がある。国家と個人が対峙(たいじ)したとき、個人の側に立ち、その人権を守れるか。海野普吉は1914年に弁護士としてスタート、68年に病没するまでの………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年06月26日
[ジャンル]人文

令嬢たちのロシア革命 [著]斎藤治子

令嬢たちのロシア革命 [著]斎藤治子

■次代の女性の社会的役割牽引  本書を読み進むうちにある感情が熟成されてくる。ロシア革命に至る道筋に顔を出す五人の女性が生き生きと描写され、まるで評伝のような手法が用いられている。著者自身、「歴史学の枠すれすれ、あるい………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年06月19日
[ジャンル]歴史 文芸

ユダヤ人大虐殺の証人ヤン・カルスキ [著]ヤニック・エネル、ホロコーストを知らなかったという嘘 [著]フランク・バヨール、ディータァ・ポール

ユダヤ人大虐殺の証人ヤン・カルスキ [著]ヤニック・エネル、ホロコーストを知らなかったという嘘 [著]フランク・バヨール、ディータァ・ポール

20世紀最大の病、深化した視点で    第二次大戦前後の史実解釈は着実に「同時代史」から「歴史」へと移行している。記憶や記録の時代から教訓(本質)をいかに汲(く)みとるかに重点が移っているということだ。  ナチスによる………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年06月05日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

災害がほんとうに襲った時―阪神淡路大震災50日間の記録 [著]中井久夫

災害がほんとうに襲った時―阪神淡路大震災50日間の記録 [著]中井久夫

■人々の連帯感を歴史的に吟味  「緊張はじわーっとぬいてゆくのがよい」「私のいえるのは、まず、被災者の傍(そば)にいること」「評価と感謝の発信は、マスコミに任せられた外交」といった考えさせられる金言がこの緊急出版の書か………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年05月15日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

志賀直哉の〈家庭〉 女中・不良・主婦 [著]古川裕佳

志賀直哉の〈家庭〉 女中・不良・主婦 [著]古川裕佳

■「女中」がもたらすサスペンス  志賀直哉の中期の作品を通して、「私小説」作家の家族観や家庭観を検証するというのが本書の狙いだ。中期とは34歳(大正6年)から54歳(昭和12年)までの、もっとも執筆活動の旺盛な時期であ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年05月08日
[ジャンル]文芸

ドイツを焼いた戦略爆撃 1940——1945 [著]イェルク・フリードリヒ

ドイツを焼いた戦略爆撃 1940——1945 [著]イェルク・フリードリヒ

■憎悪の連鎖、皆殺し戦争の実態  本書を読み抜くには、相応の想像力と洞察力が必要である。表層では、第2次大戦下(とくに戦争末期)にアメリカ、イギリスによるドイツ各都市への無差別爆撃がいかに苛酷(かこく)であったかが多面………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年05月01日
[ジャンル]歴史

レーニンの墓 上・下―ソ連帝国最期の日々 [著]デイヴィッド・レムニック

レーニンの墓 上・下―ソ連帝国最期の日々 [著]デイヴィッド・レムニック

■共産主義思想の形骸化、克明に  ソ連の社会主義体制が崩壊する時(1990年代初頭)、なんどかモスクワに赴いてロシア人の感慨を確かめたことがある。その折、共産党の中堅幹部が「我々は70年もレーニンに騙(だま)されていた………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年04月17日
[ジャンル]人文

あの戦争と日本人 [著]半藤一利

あの戦争と日本人 [著]半藤一利

■思い込みで現実への適応力失う  各様の読み方が可能な書である。あえて半藤史観にみるナショナリズムのあり方という目で読み進むと、幾つかの発見がある。偏狭な「大」国家主義と怜悧(れいり)な国民主義の違いがわかってくる。 ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年04月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

破壊する創造者―ウイルスがヒトを進化させた [著]フランク・ライアン

破壊する創造者―ウイルスがヒトを進化させた [著]フランク・ライアン

■生物に進化を促す“魔神”のよう  文科系の思考回路を持つ者には、本書の内容はときとして難解すぎる。しかし読み進むうちにある感動に包まれる。進化生物学の難解さは、日々進歩しているがゆえのことであり、著者によれば一世代前………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年03月06日
[ジャンル]科学・生物

日露戦争と日本在外公館の“外国新聞操縦” [著]松村正義

日露戦争と日本在外公館の“外国新聞操縦” [著]松村正義

■対外宣伝活動、鋭敏な時代感覚  外国新聞操縦という耳慣れない語は、明治時代の外務省で用いられた「対外宣伝活動に関する用語」なのだという。この用語を軸にして、日露戦争下で日本の外務省は世界各国にある在外公館にどのような………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年02月27日
[ジャンル]歴史 国際

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