保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

写真:保阪正康さん

保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

戦後日本漢字史 [著]阿辻哲次

戦後日本漢字史 [著]阿辻哲次

■漢字の歴史を辛辣に俯瞰  本書は一研究者の漢字論である。戦後にアメリカから訪れた教育使節団は、日本人にとって漢字習得には時間がかかるし、封建制を強要するものだとしてローマ字化を促した。日本の国語学者はいかに日本人の識………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年01月30日
[ジャンル]歴史 教育

私の松本清張論―タブーに挑んだ国民作家 [著]辻井喬

私の松本清張論―タブーに挑んだ国民作家 [著]辻井喬

■近現代に対する不信、明確に指摘  私論だが、著述家の業績評価は三つのベクトルを持つように思う。同時代的褒貶(ほうへん)、蓋棺事定、歴史的評価。棺を履うての声望が整理され、やがて歴史的な存在にと落ち着く。松本清張死して………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年01月23日
[ジャンル]文芸

江戸社会史の研究 [著]竹内誠

江戸社会史の研究 [著]竹内誠

■江戸っ子の生態、熟達の筆で  熟達の江戸社会研究者、その筆によって描かれる江戸という大都市と江戸っ子の生態は、本来近世から近現代に至る日本社会と日本人の原景であるべきだった。二世紀半余にわたり「徳川という一政権が、平………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年01月16日
[ジャンル]歴史 社会

日本の解放区を旅する [著]鎌田慧

日本の解放区を旅する [著]鎌田慧

■矛盾に目をつぶらない姿勢  本書を読んでの率直な感想は日本社会が二重構造になっていることだ。光と影という構造ではなく、現実のシステムやそれを支える理念がすべて逆手にとられて、そこに非人間的空間が生まれているとの意味で………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年01月09日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

戦死とアメリカ―南北戦争62万人の死の意味 [著]ドルー・ギルピン・ファウスト

戦死とアメリカ―南北戦争62万人の死の意味 [著]ドルー・ギルピン・ファウスト

■死の正確な実相から歴史を見直す    著者は「序」の一節で、「本書はアメリカの南北戦争における死の務めに関する本である」と執筆の姿勢を明かす。死の務め? 読み進むうちにその意味がわかってくる。務めとは1861年から6………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年11月28日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 国際

私の憲法体験 [著]日高六郎 

私の憲法体験 [著]日高六郎 

■いかに民主主義国家をつくるか  戦後民主主義の戦後を、あるいはアメリカンデモクラシーのアメリカンをいかに取り除いて原則的な民主主義国家をつくりあげるか。それを訴えたのが本書だ。むろん著者はそのような言い方を直截(ちょ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年11月21日
[ジャンル]歴史 人文 ノンフィクション・評伝

蟻族―高学歴ワーキングプアたちの群れ [編]廉思 

蟻族―高学歴ワーキングプアたちの群れ [編]廉思 

■苦境下の中国の若者たちの実態    蟻族とは言い得て妙である。蟻は昆虫の中では並外れた知能をもち、そして群棲(ぐんせい)動物に属するというが、それをもじったこの語は正式には「大卒低所得群居集団」と言い、編者の廉思が名………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年11月14日
[ジャンル]経済 社会 ノンフィクション・評伝

満洲の情報基地 ハルビン学院 [著]芳地隆之著 

満洲の情報基地 ハルビン学院 [著]芳地隆之著 

■ロシア専門家育成機関の実像描く  20世紀の歴史に翻弄(ほんろう)された日露(にちろ)協会学校(のちのハルビン学院)。これが素朴な読後感だが、この幹のもとにさまざまな枝葉がある。たとえば日本と革命後のロシアとの複雑な………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年10月31日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 国際

ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み [著]本田良一著 

ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み [著]本田良一著 

■釧路の多様な支援策など報告  北海道釧路市は生活保護率が全国でも最上位に近い。この地に身を置く新聞記者が、自らの目に映る光景をもとに、日本の生活保護の実態と社会保障制度の現実をあぶりだしたのが本書だ。生活保護法は制定………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年10月24日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝 新書

捕食者なき世界 [著]ウィリアム・ソウルゼンバーグ 

捕食者なき世界 [著]ウィリアム・ソウルゼンバーグ 

■生物多様性崩壊の理由  示唆に富む書である。未来が悲しくなる書でもある。むろんその大半の理由は、人類がつくりだした価値観や文明観そのものが問われる内容を含んでいるからである。  本書によれば、どのような空間にも生物の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年10月17日
[ジャンル]科学・生物 ノンフィクション・評伝

ふたつの枷 [著]古処誠二 

ふたつの枷 [著]古処誠二 

■戦争の「日常」と「非日常」描く4編  本書には、戦争と人間の生の姿を描く小説4編が収められている。いずれも一兵士が戦場で体験する戦争の「日常」と「非日常」を取りあげているが、その兵士の目と彼に関(かか)わる下士官、将………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年10月10日
[ジャンル]文芸

特攻-空母バンカーヒルと二人のカミカゼ [著]マクスウェル・テイラー・ケネディ 

特攻-空母バンカーヒルと二人のカミカゼ [著]マクスウェル・テイラー・ケネディ 

■浮かびあがる日米の戦争観の違い  670頁(ページ)に及ぶ大著の最終頁を閉じたあとに、すぐに二つの感想を反芻(はんすう)することになる。ひとつは、日本軍の2人の特攻隊員の自爆によって、アメリカの最新空母バンカーヒルが………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年09月26日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

毛沢東 ある人生〈上・下〉 [著]フィリップ・ショート

毛沢東 ある人生〈上・下〉 [著]フィリップ・ショート

■客観的に実像描き、軌跡の全容を解剖  現在、中国の知識人に毛沢東の功罪を尋ねると、大体が口ごもりながらも「功が七割、罪が三割」と答える。この比率がなぜか共通している。ある研究者が「トウ小平がそう答えたから」と教えてく………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年09月19日
[ジャンル]政治 ノンフィクション・評伝 国際

「国民歌」を唱和した時代 昭和の大衆歌謡  [著]戸ノ下達也著 

「国民歌」を唱和した時代 昭和の大衆歌謡  [著]戸ノ下達也著 

■戦意高揚歌からみる戦時下の姿  国民歌とは何か。著者は「国家目的に即応し国民教化動員や国策宣伝のために制定された国もしくは国に準じた機関による『上から』の公的流行歌」と解く。国民歌謡、軍歌、戦時歌謡、必勝歌など多様な………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年09月12日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

大逆事件 死と生の群像 [著]田中伸尚 

大逆事件 死と生の群像 [著]田中伸尚 

■国家犯罪の残酷さ雄弁に裏付ける  大逆事件から100年である。幸徳秋水ほか25人が国家体制破壊のために元首暗殺を企図したとして、一斉に逮捕・起訴されたのが1910年である。秘密裁判で1カ月ほど審理、そして24人に死刑………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年08月29日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

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