保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

写真:保阪正康さん

保阪正康 (ノンフィクション作家)
ほさか・まさやす。1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

志賀直哉の〈家庭〉 女中・不良・主婦 [著]古川裕佳

志賀直哉の〈家庭〉 女中・不良・主婦 [著]古川裕佳

■「女中」がもたらすサスペンス  志賀直哉の中期の作品を通して、「私小説」作家の家族観や家庭観を検証するというのが本書の狙いだ。中期とは34歳(大正6年)から54歳(昭和12年)までの、もっとも執筆活動の旺盛な時期であ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年05月08日
[ジャンル]文芸

ドイツを焼いた戦略爆撃 1940——1945 [著]イェルク・フリードリヒ

ドイツを焼いた戦略爆撃 1940——1945 [著]イェルク・フリードリヒ

■憎悪の連鎖、皆殺し戦争の実態  本書を読み抜くには、相応の想像力と洞察力が必要である。表層では、第2次大戦下(とくに戦争末期)にアメリカ、イギリスによるドイツ各都市への無差別爆撃がいかに苛酷(かこく)であったかが多面………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年05月01日
[ジャンル]歴史

レーニンの墓 上・下―ソ連帝国最期の日々 [著]デイヴィッド・レムニック

レーニンの墓 上・下―ソ連帝国最期の日々 [著]デイヴィッド・レムニック

■共産主義思想の形骸化、克明に  ソ連の社会主義体制が崩壊する時(1990年代初頭)、なんどかモスクワに赴いてロシア人の感慨を確かめたことがある。その折、共産党の中堅幹部が「我々は70年もレーニンに騙(だま)されていた………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年04月17日
[ジャンル]人文

あの戦争と日本人 [著]半藤一利

あの戦争と日本人 [著]半藤一利

■思い込みで現実への適応力失う  各様の読み方が可能な書である。あえて半藤史観にみるナショナリズムのあり方という目で読み進むと、幾つかの発見がある。偏狭な「大」国家主義と怜悧(れいり)な国民主義の違いがわかってくる。 ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年04月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

破壊する創造者―ウイルスがヒトを進化させた [著]フランク・ライアン

破壊する創造者―ウイルスがヒトを進化させた [著]フランク・ライアン

■生物に進化を促す“魔神”のよう  文科系の思考回路を持つ者には、本書の内容はときとして難解すぎる。しかし読み進むうちにある感動に包まれる。進化生物学の難解さは、日々進歩しているがゆえのことであり、著者によれば一世代前………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年03月06日
[ジャンル]科学・生物

日露戦争と日本在外公館の“外国新聞操縦” [著]松村正義

日露戦争と日本在外公館の“外国新聞操縦” [著]松村正義

■対外宣伝活動、鋭敏な時代感覚  外国新聞操縦という耳慣れない語は、明治時代の外務省で用いられた「対外宣伝活動に関する用語」なのだという。この用語を軸にして、日露戦争下で日本の外務省は世界各国にある在外公館にどのような………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年02月27日
[ジャンル]歴史 国際

沖縄 空白の一年 一九四五—一九四六 [著]川平成雄/沖縄戦と民間人収容所 [著]七尾和晃

沖縄 空白の一年 一九四五—一九四六 [著]川平成雄/沖縄戦と民間人収容所 [著]七尾和晃

■集権型解釈を超え、心情を的確に描く  近現代史の史実の見方は、二つのタイプが先導している。東京発信の中央集権型解釈とアカデミズムを軸とした史料主義的解釈である。そのために見落とされている視点と証言があり、それが史実の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年02月13日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

戦時児童文学論―小川未明、浜田広介、坪田譲治に沿って [著]山中恒

戦時児童文学論―小川未明、浜田広介、坪田譲治に沿って [著]山中恒

■軍国主義の中での変質を検証  日本の児童文学史百十余年、その中の「十五年戦争」間のさらに「総力戦体制が強化された五年程度の期間」に、児童文学者はどのような意識で、何を書いたかを確かめたい、と著者は言う。とくにこの世界………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年02月06日
[ジャンル]歴史 文芸 新書

戦後日本漢字史 [著]阿辻哲次

戦後日本漢字史 [著]阿辻哲次

■漢字の歴史を辛辣に俯瞰  本書は一研究者の漢字論である。戦後にアメリカから訪れた教育使節団は、日本人にとって漢字習得には時間がかかるし、封建制を強要するものだとしてローマ字化を促した。日本の国語学者はいかに日本人の識………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年01月30日
[ジャンル]歴史 教育

私の松本清張論―タブーに挑んだ国民作家 [著]辻井喬

私の松本清張論―タブーに挑んだ国民作家 [著]辻井喬

■近現代に対する不信、明確に指摘  私論だが、著述家の業績評価は三つのベクトルを持つように思う。同時代的褒貶(ほうへん)、蓋棺事定、歴史的評価。棺を履うての声望が整理され、やがて歴史的な存在にと落ち着く。松本清張死して………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年01月23日
[ジャンル]文芸

江戸社会史の研究 [著]竹内誠

江戸社会史の研究 [著]竹内誠

■江戸っ子の生態、熟達の筆で  熟達の江戸社会研究者、その筆によって描かれる江戸という大都市と江戸っ子の生態は、本来近世から近現代に至る日本社会と日本人の原景であるべきだった。二世紀半余にわたり「徳川という一政権が、平………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年01月16日
[ジャンル]歴史 社会

日本の解放区を旅する [著]鎌田慧

日本の解放区を旅する [著]鎌田慧

■矛盾に目をつぶらない姿勢  本書を読んでの率直な感想は日本社会が二重構造になっていることだ。光と影という構造ではなく、現実のシステムやそれを支える理念がすべて逆手にとられて、そこに非人間的空間が生まれているとの意味で………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年01月09日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

戦死とアメリカ―南北戦争62万人の死の意味 [著]ドルー・ギルピン・ファウスト

戦死とアメリカ―南北戦争62万人の死の意味 [著]ドルー・ギルピン・ファウスト

■死の正確な実相から歴史を見直す    著者は「序」の一節で、「本書はアメリカの南北戦争における死の務めに関する本である」と執筆の姿勢を明かす。死の務め? 読み進むうちにその意味がわかってくる。務めとは1861年から6………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年11月28日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 国際

私の憲法体験 [著]日高六郎 

私の憲法体験 [著]日高六郎 

■いかに民主主義国家をつくるか  戦後民主主義の戦後を、あるいはアメリカンデモクラシーのアメリカンをいかに取り除いて原則的な民主主義国家をつくりあげるか。それを訴えたのが本書だ。むろん著者はそのような言い方を直截(ちょ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年11月21日
[ジャンル]歴史 人文 ノンフィクション・評伝

蟻族―高学歴ワーキングプアたちの群れ [編]廉思 

蟻族―高学歴ワーキングプアたちの群れ [編]廉思 

■苦境下の中国の若者たちの実態    蟻族とは言い得て妙である。蟻は昆虫の中では並外れた知能をもち、そして群棲(ぐんせい)動物に属するというが、それをもじったこの語は正式には「大卒低所得群居集団」と言い、編者の廉思が名………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2010年11月14日
[ジャンル]経済 社会 ノンフィクション・評伝

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る