後藤正治(ノンフィクション作家)の書評

写真:後藤正治さん

後藤正治 (ノンフィクション作家)
1946年京都府生まれ。神戸夙川学院大学学長、教授。著書に『空白の軌跡―心臓移植に賭けた男たち』(潮ノンフィクション賞)『遠いリング』(講談社ノンフィクション賞)『リターンマッチ』(大宅賞)『清冽―詩人茨木のり子の肖像』(桑原武夫学芸賞)など。

がん放置療法のすすめ―患者150人の証言 [著]近藤誠

がん放置療法のすすめ―患者150人の証言 [著]近藤誠

■どのように生きていきたいか  慶応大学医学部放射線科講師の近藤誠が乳がんでの温存療法を提唱したとき、日本の医学界では異端視されたが、やがて一般的な療法となった。「がんと闘うな」「抗がん剤は効かない」も刺激的言葉であっ………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年06月24日
[ジャンル]医学・福祉

月の少年 [作]沢木耕太郎 [絵]浅野隆広/わるいことがしたい! [作]沢木耕太郎 [絵]ミスミヨシコ

月の少年 [作]沢木耕太郎 [絵]浅野隆広/わるいことがしたい! [作]沢木耕太郎 [絵]ミスミヨシコ

■静謐で澄んだ色調の絵本  沢木耕太郎氏が絵本の原作を書いたと耳にし、手に取った。『月の少年』。冬(とう)馬(ま)は両親を海の事故で失い、彫刻家のおじいさんと湖の辺(ほとり)の家で暮らしている。学校には行かなくなった。………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年06月03日
[ジャンル]教育 文芸

昭―田中角栄と生きた女 [著]佐藤あつ子

昭―田中角栄と生きた女 [著]佐藤あつ子

■「昭和の父母」を問い直す娘  その権勢において、金力において、上昇と下降の劇的さにおいて、田中角栄は戦後最大の政治家だった。公私にわたって寄り添ったのが「淋(さび)しき越山会の女王」こと佐藤昭であったが、彼女も鬼籍に………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年04月29日
[ジャンル]政治

「安南王国」の夢―ベトナム独立を支援した日本人 [著]牧久

「安南王国」の夢―ベトナム独立を支援した日本人 [著]牧久

■アジア主義の志、波乱の生涯  仏領インドシナ、日本軍の進駐、対仏独立戦争、内戦、米軍の北爆、ゲリラ戦、サイゴン陥落……ベトナムの近現代史は苛烈(かれつ)極まりない。クオン・デと松下光廣。ベトナム独立の夢を追い続けた2………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年04月15日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

プロメテウスの罠―明かされなかった福島原発事故の真実 [著]朝日新聞特別報道部

プロメテウスの罠―明かされなかった福島原発事故の真実 [著]朝日新聞特別報道部

■腹立たしい官公庁の愚民観  3・11を検証する「プロメテウスの罠(わな)」は本紙連載中であるが、第6部までが本となった。福島県浪江町で放射能汚染に遭遇した避難民たち、研究者たちの奮闘、官邸の混乱、チェルノブイリで起き………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年03月18日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

日中百年の群像 革命いまだ成らず 上・下 [著]譚ロ美

日中百年の群像 革命いまだ成らず 上・下 [著]譚ロ美

■大動乱の主役たち、己の人生を投じる  日清戦争に敗れ、老大国・清は末期へと向かった。広州で武装蜂起を企てた若き革命家が孫文である。失敗を重ねつつ、辛亥革命から中華民国成立にこぎ着ける。本書は、明治中期から大正期にかけ………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年02月26日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

伝説のCM作家 杉山登志―30秒に燃えつきた生涯 [著]川村蘭太

伝説のCM作家 杉山登志―30秒に燃えつきた生涯 [著]川村蘭太

■爆発的な才能の発露から自裁へ  リッチでないのに リッチな世界などわかりません ハッピーでないのに ハッピーな世界などえがけません 「夢」がないのに 「夢」をうることなどは……とても 嘘(うそ)をついてもばれるもので………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年02月12日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

箱根駅伝に賭けた夢―「消えたオリンピック走者」金栗四三がおこした奇跡 [著]佐山和夫

箱根駅伝に賭けた夢―「消えたオリンピック走者」金栗四三がおこした奇跡 [著]佐山和夫

■素朴な五輪が生み残した物語  100年前のストックホルム五輪は、日本が初参加したオリンピックである。マラソンを走ったのが東京高等師範学校(現筑波大学)の学生、金栗四三(かなくりしそう)。途中棄権に終わったが、「マラソ………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年01月22日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

さよなら! 僕らのソニー [著]立石泰則

さよなら! 僕らのソニー [著]立石泰則

■琴線に触れるモノ作りは片隅へ  本書を読了して、仕事場に置いてある電気製品のメーカー名を見直してみると、ラジオ、ステレオコンポ、ICレコーダーなどがソニー製であった。ラジオは随分と古いが、これ以前も含め、ソニー以外使………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年01月08日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ドキュメント アメリカ先住民―あらたな歴史をきざむ民 [著]鎌田遵

ドキュメント アメリカ先住民―あらたな歴史をきざむ民 [著]鎌田遵

■居留地に育つ新しい希望の芽  アメリカ中西部を旅していた日のこと。砂漠地帯を走るフリーウエーの側(そば)に、突如「カジノ」の看板とギンギラ模様の建物が現れた。なんでこんなところに……と思ったものだ。本書を読んで謎が解………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年12月11日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

河北新報のいちばん長い日―震災下の地元紙 [著]河北新報社

河北新報のいちばん長い日―震災下の地元紙 [著]河北新報社

■解のない自問自答、新聞の役割の原点  東日本大震災にさいして、東北の地元紙・河北新報がいかに対応し、何をどう伝えたか。そのドキュメントである。報道部、支局、写真部の第一線はもとより、印刷、販売、さらに裏方の「おにぎり………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年11月27日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

女子学生、渡辺京二に会いに行く [著]渡辺京二、津田塾大学 三砂ちづるゼミ

女子学生、渡辺京二に会いに行く [著]渡辺京二、津田塾大学 三砂ちづるゼミ

■なすべきは自身を「磨く」こと  〈日本近代〉との格闘者、渡辺京二。おそろしい批評者がまだいるというのが評者の渡辺観であるが、津田塾大学のゼミ学生とのトークがまとめられた。アンバランスな組み合わせであるが、そこが狙い目………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年11月20日
[ジャンル]人文

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか [著]増田俊也

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか [著]増田俊也

■格闘技の興亡史、盛者必衰の輪廻  上下2段組み、700ページという大部の書である。主人公は柔道家の木村政彦。戦前、「鬼の木村」とうたわれ、戦後はプロレスラーに転身するが、力道山との「昭和の巌流島」に敗れる。真剣勝負な………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年10月30日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

春を恨んだりはしない―震災をめぐって考えたこと  [著]池澤夏樹

春を恨んだりはしない―震災をめぐって考えたこと  [著]池澤夏樹

■全身で受け止めた被災の全体像  震災をめぐる思索の書である。作家は女川、大船渡、陸前高田などに足を運ぶ。被災者を診た医師、夫を亡くした理髪店の母子などに会い、耳を傾ける。大勢の遺体が打ち上がった海岸に足を運び、光景を………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年10月23日
[ジャンル]社会

戦場のエロイカ・シンフォニー 私が体験した日米戦 [著]ドナルド・キーン、小池政行

戦場のエロイカ・シンフォニー 私が体験した日米戦 [著]ドナルド・キーン、小池政行

■巨大な悲劇の中の一滴の救い  日本文化と文学の世界への伝達という功績により、ドナルド・キーンに文化勲章が贈られたのは3年前である。先頃は日本国籍の取得および日本永住も話題となった。本書は、キーンへのインタビューをもと………[もっと読む]

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年10月09日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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