荒俣宏(作家)の書評

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荒俣宏 (作家)
1947年東京都生まれ。博物学者、翻訳家。著書に『帝都物語』(日本SF大賞)『世界大博物図鑑』(第2巻「魚類」サントリー学芸賞)『日本妖怪巡礼団』『白樺記』『セクシーガールの起源』『アラマタ図像館』『江戸の醍醐味』、訳書にラヴクラフト『ク・リトル・リトル神話集』など。

〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 [著]石橋正孝

〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 [著]石橋正孝

■ヴェルヌ対版元、タフな闘争  ジュール・ヴェルヌの豪華挿絵入り冒険物語は〈驚異の旅〉と総称され、日本を含む全地球、いや宇宙までも舞台とした科学的幻想小説大系である。が、その舞台に、肝心のフランスが出てこない。書いても………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年06月09日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

プロイセン東アジア遠征と幕末外交 [著]福岡万里子

プロイセン東アジア遠征と幕末外交 [著]福岡万里子

■困難多かった「開国」への道  オイレンブルク伯爵が率いるドイツ初の日本訪問使節団は、自然から民俗習慣におよぶ幕末日本の貴重な調査資料を残した。ただし、一行は物見遊山に来たのではなく、露仏英蘭米の五カ国と同じ修好通商条………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年05月05日
[ジャンル]歴史

日本の動物観 [著]石田おさむ・濱野佐代子・花園誠・瀬戸口明久

日本の動物観 [著]石田おさむ・濱野佐代子・花園誠・瀬戸口明久

■江戸時代も続いていた内臓食  日本の動物観というと仏教の殺生禁忌やら徳川綱吉の「生類憐みの令」を思い浮かべるが、どうもほんとうは動物を殺し食べた日本史こそ探究すべきだったようだ。  本書は勇敢にも、雨乞いの儀式に捧げ………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年04月28日
[ジャンル]人文

鉄条網の歴史―自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 [著]石弘之、石紀美子

鉄条網の歴史―自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 [著]石弘之、石紀美子

■家畜用から新たな環境の囲いへ  鉄条網は西部劇を終わらせた。その発明者グリッデンが後妻に「花壇が家畜に荒らされるので、何とかして」と頼まれたことから誕生したこの家畜フェンスは、家畜を制御するカウボーイを失職させた。辺………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年04月14日
[ジャンル]歴史

森鴎外―日本はまだ普請中だ [著]小堀桂一郎

森鴎外―日本はまだ普請中だ [著]小堀桂一郎

■破格の人間語る、700ページの「史伝」  取り扱われた森鴎外の事績が膨大に過ぎたのか、それとも著者の側で書くべき材料が溢(あふ)れ返ったのか。たぶん両方が切り結んで700ページに及ぶ大評伝となったのだろう。鴎外の一生………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年03月31日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

吉田神道の四百年 神と葵の近世史 [著]井上智勝

吉田神道の四百年 神と葵の近世史 [著]井上智勝

■神使いの「仁義なき戦い」  まさに吉田神道を主軸に据えた神道各派の「仁義なき戦い」である。  きっかけは、応仁の乱にともなう社会の混乱を利して、日本中の神を統率する「神使いの覇者」を目指した吉田兼倶(かねとも)の野望………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年03月10日
[ジャンル]歴史

ニュートンと贋金づくり [著]トマス・レヴェンソン

ニュートンと贋金づくり [著]トマス・レヴェンソン

■「怖い官僚」になった大科学者  あの大科学者ニュートンは「金」に縁がある。長年ひそかに研究したのは錬金術だったし、当時の錬金術は「贋金づくり」と同義語に考えられた危ない探究だった。また晩年、彼は大バブル事件として有名………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年02月17日
[ジャンル]歴史

一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット

一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット

■教会も受容した死を超える快楽  イタリア・ルネサンスの大物が活躍する半世紀ほど前の15世紀初頭、教皇秘書として古典写本の蒐集(しゅうしゅう)翻訳に携わったポッジョ・ブラッチョリーニが、立場を逸脱してまで救済した一冊の………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年02月10日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

昭和天皇のゴルフ [著]田代靖尚

昭和天皇のゴルフ [著]田代靖尚

■意外な切り口の昭和史再検証  最近は明治大正の新聞や雑誌がデジタル化され、些末(さまつ)な出来事も自由に掘り返すことが可能になった。こうなると、世の定説の正確度をチェックしてやろうかという気にもなるが、その手本みたい………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年01月27日
[ジャンル]社会

古事記はいかに読まれてきたか [著]斎藤英喜

古事記はいかに読まれてきたか [著]斎藤英喜

■〈神話〉の変貌  『日本書紀』が宮中で講義され、正史としてよく読まれてきたのに対し、『古事記』は原本が伝わらず、少ない写本もほとんど読む人がいなかった。いや、読みたい人がいても、伊勢神宮では神道系の古書の閲覧を禁じ、………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2013年01月20日
[ジャンル]歴史

大阪アースダイバー [著]中沢新一

大阪アースダイバー [著]中沢新一

■笑いの底にある死者との交流  縄文人が住んでいた海進期の日本は、現在の地形と全く異なり、大都市の多くは海の下にあった。そんな時期に育まれた「野生の日本」の痕跡を歩き回れば、その呪縛がどれほど強く現在の都市社会の成り立………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2012年12月02日
[ジャンル]歴史 社会

西欧古代神話図像大鑑 全訳『古人たちの神々の姿について』 [著]ヴィンチェンツォ・カルターリ

西欧古代神話図像大鑑 全訳『古人たちの神々の姿について』 [著]ヴィンチェンツォ・カルターリ

■信仰と欲望、明快に示した古典  古代文化が復興したルネサンス期は、キリスト教の側から見ても古代神話の豊かな寓意(ぐうい)や物語を借りて宗教教義に魅惑的な「イメージ」を与える改革期であった。そこで必要になるのは、神々の………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2012年11月11日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

人と芸術とアンドロイド―私はなぜロボットを作るのか [著]石黒浩

人と芸術とアンドロイド―私はなぜロボットを作るのか [著]石黒浩

■分身から知る「自分らしさ」  外出することが危険になった未来社会、本人に代わって外で働くロボットが「惨殺」されると、本人までもが死んでしまうという事件が起きるのは、映画「サロゲート」である。  ところが今、自分そっく………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2012年10月21日
[ジャンル]文芸 科学・生物

「異端」の伝道者 酒井勝軍 [著]久米晶文

「異端」の伝道者 酒井勝軍 [著]久米晶文

■貧困を哲学に高めた快男児  酒井勝軍(さかいかつとき)と聞いて、「日本のピラミッド」を発見した人物だとピンとくる奇書マニアでなく、そういう方面にまるで関心のない一般読者に読ませたい大冊である。  明治期、東北で開始さ………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2012年10月07日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

トマス・グラバーの生涯 大英帝国の周縁にて [著]マイケル・ガーデナ [訳]村里好俊・杉浦裕子

トマス・グラバーの生涯 大英帝国の周縁にて [著]マイケル・ガーデナ [訳]村里好俊・杉浦裕子

■「外人」であり続けた近代商人  幕末・明治に武器商人から企業家そして外交官の役割まで果たしたグラバーだが、英国では権威ある日本史書に一切言及されていないという。  しかし彼は、故郷スコットランドのアバディーンで日本向………[もっと読む]

[評者]荒俣宏(作家)
[掲載]2012年09月02日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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