斎藤環(精神科医)の書評

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斎藤環 (精神科医)
1961年岩手県生まれ。精神科医。著書に『社会的ひきこもり―終わらない思春期』『戦闘美少女の精神分析』『家族の痕跡―いちばん最後に残るもの』『母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか』『「文学」の精神分析』『キャラクター精神分析』など。

ミュージッキング 音楽は〈行為〉である [著]クリストファー・スモール

ミュージッキング 音楽は〈行為〉である [著]クリストファー・スモール

■存在を祝福し、肯定する音楽  “音楽というモノ”は存在しない。著者は断言する。あるのはミュージッキングなのだと。それは作曲家や演奏家の専有物ではない。リスナーも、ダンサーも、ローディーも、チケットのもぎりも、およそ音………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年10月30日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い [著]ジョナサン・サフラン・フォア

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い [著]ジョナサン・サフラン・フォア

■“自分の言葉”を取り戻す冒険  キングとホーキング。二人のスティーヴンの間に現実(リアル)はある。なんぞ? つまり「空想」と「科学」の間、ということだ。  ニューヨークに母と暮らす九歳の少年・オスカーは、9・11のテ………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年10月23日
[ジャンル]文芸

延命医療と臨床現場―人工呼吸器と胃ろうの医療倫理学 [著]会田薫子

延命医療と臨床現場―人工呼吸器と胃ろうの医療倫理学 [著]会田薫子

■患者の幸せと家族の想い  「胃ろう」をご存じだろうか。自力では食事がとれない患者の腹部に、胃に通ずる穴を開け、そこからチューブで水分や栄養を流し込む処置である。患者の苦痛が少なく管理しやすいため、わが国の高齢者医療の………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年10月09日
[ジャンル]医学・福祉

どのような教育が「よい」教育か [著]苫野一徳/無知な教師 [著]ジャック・ランシエール

どのような教育が「よい」教育か [著]苫野一徳/無知な教師 [著]ジャック・ランシエール

■普遍的問いにゆきつく教育論  教育論は難しい。原理的に語ろうとするほど「人間」や「倫理」をめぐる普遍的な問いにゆきつくからだ。取り上げる二冊は、いずれもそうした普遍的領域に踏み込もうとする野心的著作である。  苫野は………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年10月02日
[ジャンル]教育

ツナミの小形而上学 [著]ジャン・ピエール・デュピュイ

ツナミの小形而上学 [著]ジャン・ピエール・デュピュイ

■技術とシステムがもたらす災禍  本書の著者デュピュイによれば、戦後広島と長崎を訪れた哲学者ギュンター・アンダースは、爆撃生存者の証言に驚いたという。彼らは原爆を投下した相手を恨まず「災禍を自然災害のように、まるでツナ………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年09月25日
[ジャンル]社会

これが見納め―絶滅危惧の生きものたち、最後の光景 [著]ダグラス・アダムス、マーク・カーワディン

これが見納め―絶滅危惧の生きものたち、最後の光景 [著]ダグラス・アダムス、マーク・カーワディン

■絶滅危惧種をめぐる珍道中記  本書は、絶滅危惧種をめぐる珍道中記である。  スラプスティックSFの一大傑作『銀河ヒッチハイク・ガイド』の著者であるダグラス・アダムスが、動物学者マーク・カーワディンとともに世界中の絶滅………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年09月11日
[ジャンル]科学・生物

安心ひきこもりライフ [著]勝山実

安心ひきこもりライフ [著]勝山実

■けしからんが必読なのだ  実にけしからん本だ。  ひきこもりの第一人者(笑)たる評者の著書を「可もなく不可もない」と一刀両断。政府のひきこもり対策事業を「ひきこもり関ケ原」などと巧みに茶化(ちゃか)す(うっかりニヤニ………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年09月04日
[ジャンル]社会

リトル・ピープルの時代 [著]宇野常寛

リトル・ピープルの時代 [著]宇野常寛

■小さな物語に依存「拡張現実の時代」  本書は『ゼロ年代の想像力』で華々しいデビューを飾った若手批評家の三年ぶりの書き下ろし評論集である。テーマは再び「想像力」だ。議論の構えは大きい。震災後の現状をふまえ、宇野はまず村………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年08月28日
[ジャンル]社会

慈しみの女神たち(上・下) [著]ジョナサン・リテル

慈しみの女神たち(上・下) [著]ジョナサン・リテル

■凡庸な虐殺者へ問いかけ  恐るべき小説だ。二段組上下巻計一〇〇〇頁近いその浩瀚(こうかん)さもさることながら、執筆時三十八歳という作者の年齢、ハイパーリアルな筆致で描き込まれた細部の膨大さ、ゴンクール賞とアカデミー・………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年07月24日
[ジャンル]文芸

間違いだらけの子育て [著]P・ブロンソン、A・メリーマン

間違いだらけの子育て [著]P・ブロンソン、A・メリーマン

■対照的な教育論に共通するもの  しつけや教育の問題は複雑だ。一撃必殺の“銀の弾丸”はない。マクロとミクロ、環境と個人、脳と心、思想とスキル、それぞれの視点から試行錯誤を重ねる必要がある。  『学校を変える力』の著者デ………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年06月26日
[ジャンル]教育 人文

時代が締め出すこころ―精神科外来から見えること [著]青木省三

時代が締め出すこころ―精神科外来から見えること [著]青木省三

■流動的な「適応」のモノサシ  近年、発達障害の増加がしきりに言われる。特に日本では「成人の発達障害」への関心が突出して高いという。  その背景には「空気を読む」ことをはじめ、過度にコミュニケーション能力を重視しすぎる………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年06月12日
[ジャンル]医学・福祉

ウェブ×ソーシャル×アメリカ―〈全球時代〉の構想力 [著]池田純一

ウェブ×ソーシャル×アメリカ―〈全球時代〉の構想力 [著]池田純一

■ウェブ思想の根底なす問いとは  ウェブは透明で中立な媒体だ。そう信じている人が本書を読めば、ネット上の景色は一変するだろう。ウェブは中立どころではない。Google、Apple、Facebook、Twitter……、………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年06月05日
[ジャンル]IT・コンピューター 新書

死んでも何も残さない―中原昌也自伝 [著]中原昌也

死んでも何も残さない―中原昌也自伝 [著]中原昌也

■純粋な無意味さを作り出す天才  本人が嫌がることを承知で言えば、私は十年来の中原昌也のファンだ。彼は純粋な無意味さを小説において実践し続けた作家として、日本では稀有(けう)な存在である。その小説を読んでつい笑ってしま………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年05月15日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

英語は女を救うのか [著]北村文

英語は女を救うのか [著]北村文

■欲望がそのまま抑圧の装置に  英語が得意になりたいという願いは、むろん女性だけのものではない。にもかかわらず、英会話教室の雑誌広告には、はっきりとジェンダー格差がある。この指摘にははっとさせられた。ビジネスのための実………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年05月08日
[ジャンル]人文 社会

エイズを弄ぶ人々―疑似科学と陰謀説が招いた人類の悲劇 [著]セス・C・カリッチマン

エイズを弄ぶ人々―疑似科学と陰謀説が招いた人類の悲劇 [著]セス・C・カリッチマン

■放射能情報巡り混乱する前に  疑似科学を信ずる人々はいつの時代にもいる。「進化論はデタラメ」「アポロは月に行ってない」などなど。笑えるネタが大半だが、ホメオパシーのように命にかかわってくるとそうもいかない。  しかし………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年04月17日
[ジャンル]人文 医学・福祉

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