斎藤美奈子(文芸評論家)の書評

写真:斎藤美奈子さん

斎藤美奈子 (文芸評論家)
1956年新潟県生まれ。文芸評論家。編集者を経て94年『妊娠小説』でデビュー。他に『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』『モダンガール論』『文章読本さん江』(小林秀雄賞)『麗しき男性誌』『物は言いよう』『それってどうなの主義』など。

近代日本学校制服図録 [著]難波知子

近代日本学校制服図録 [著]難波知子

■国の要請と生徒の望みが形に  『東京女子高制服図鑑』なる本がヒットしたのは1985年だった。ちょうど女子校の制服がチェック柄のスカートとブレザーにモデルチェンジする頃で、以後「制服萌(も)え」の本が続々出版されるに至………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年10月16日
[ジャンル]教育 アート・ファッション・芸能

鉱山のビッグバンド [著]小田豊二

鉱山のビッグバンド [著]小田豊二

 岐阜県飛騨市の山中に位置する神岡鉱山。イタイイタイ病の発生源だった時代もあったけど、現在はニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」が設置された場所として有名だ。  その神岡鉱山にかつて本格的な楽団があった。神岡マイ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年10月02日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

狩りの時代 [著]津島佑子

狩りの時代 [著]津島佑子

■差別の記憶に苦しむ二つの世代  今年2月に他界した津島佑子氏の遺作。容体が悪化して入院する直前まで書き続けていた新作が、この内容と、このテーマだったことに胸をつかれる。  物語は二つの世代の記憶を中心に展開する。  ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年09月18日
[ジャンル]社会 国際

となりのイスラム―世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代 [著]内藤正典

となりのイスラム―世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代 [著]内藤正典

■共生への知恵を示す入門書  たぶん、これまででもっともわかりやすく、実践的で、役に立つイスラムの入門書だと思う。遠くて不可解なイスラムではなく「となりのイスラム」。  世界中に15億~16億人。いまや人口の4人に1人………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年09月11日
[ジャンル]社会 国際

沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか [著]安田浩一

沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか [著]安田浩一

■基地と人権、記者は問い続ける  ジャーナリストがジャーナリストの話を聞く。取材対象は琉球新報と沖縄タイムスという沖縄の2大新聞の記者とOB約20人。  取材のキッカケは自民党「文化芸術懇話会」での作家・百田尚樹氏の発………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年09月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

三池炭鉱宮原社宅の少年 [著]農中茂徳

三池炭鉱宮原社宅の少年 [著]農中茂徳

■のどかな暮らしの先に深い意味  福岡県大牟田市宮原町二丁目。三井三池炭鉱で働く人々が住む「宮原社宅」があった場所である。  高さ2メートルほどのブロック塀に囲まれた社宅に住むのは200世帯ほど。塀の外を社宅の人々は「………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]人文 社会

コンビニ人間 [著]村田沙耶香

コンビニ人間 [著]村田沙耶香

■常識のあやしさ、「水槽」越しに  24時間営業。年中無休。コンビニエンスストアは現代日本に欠かせないインフラだ。でもね、本書の語り手・古倉恵子のコンビニ依存度は並みではない。なぜって彼女は、コンビニという環境の中でし………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年08月07日
[ジャンル]文芸

1974年のサマークリスマス―林美雄とパックインミュージックの時代 [著]柳澤健

1974年のサマークリスマス―林美雄とパックインミュージックの時代 [著]柳澤健

 1970年代、一部の若者たちに熱狂的に支持されたラジオの深夜放送番組があった。TBSのアナウンサー・林美雄がパーソナリティーを務めた「パックインミュージック」である。  当時はまったく無名だった荒井(松任谷)由実や石川………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]文芸

伯爵夫人 [著]蓮實重彦

伯爵夫人 [著]蓮實重彦

■官能の奥に戦争へのまなざし  東大元総長という肩書。三島賞の受賞会見での不機嫌な振る舞い。そんな外形的な情報に惑わされてはなりませぬ。  本書は往年の文学ファンを裏切らない華麗にして淫靡(いんび)な作品ですから。ただ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

原発プロパガンダ [著]本間龍

原発プロパガンダ [著]本間龍

■巨額の広告費、メディアも陥落  原発に反対する人は国と電力会社を批判する。権力におもねって、正確な報道をしないメディアも批判する。では両者の間をつないでいるのは誰? 広告代理店である。特に上位2社の電通と博報堂は原発………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]社会

日本料理とは何か―和食文化の源流と展開 [著]奥村彪生

日本料理とは何か―和食文化の源流と展開 [著]奥村彪生

■縄文以来の「生食」ごちそう説  見るからに大著の風格。だけど、奥村彪生『日本料理とは何か』の本当の価値は大胆な仮説をさりげなく提示しちゃっている点だ。  和食の源流は縄文文化にあり。ここまではいいとして、著者はなお続………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]人文 社会

時代の正体 vol.2―語ることをあきらめない [著]神奈川新聞「時代の正体」取材班

時代の正体 vol.2―語ることをあきらめない [著]神奈川新聞「時代の正体」取材班

 中立公正ぶっちゃって、近頃の新聞は歯がゆい。そんな不満を抱える読者に神奈川新聞の一撃は新鮮だった。「ええ、偏っていますが、何か」。同紙「時代の正体」シリーズに寄せられた偏向報道だという批判に答えての一文だった。  本書………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

天草エアラインの奇跡。 [著]鳥海高太朗

天草エアラインの奇跡。 [著]鳥海高太朗

 おお、これか! 大小のイルカがデザインされた機体を目にしたときには私も興奮した。熊本県の天草空港を拠点にした第三セクターの天草エアライン。2000年、第1便が天草空港を離陸した直後は搭乗率9割超の人気路線だった。  だ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ヒーロー! [著]白岩玄

ヒーロー! [著]白岩玄

■目を奪われる、いじめ撲滅作戦  デビュー作『野ブタ。をプロデュース』で読者をあっといわせた白岩玄。それから12年がたち作者も大人になったかな、と思ったらそうでもなかった(あ、これ褒め言葉です)。  『野ブタ。』はいじ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]文芸

村に火をつけ、白痴になれ―伊藤野枝伝 [著]栗原康

村に火をつけ、白痴になれ―伊藤野枝伝 [著]栗原康

■体当たりで描く「汚名上等」  漫画か劇画みたいな評伝である。なんたって、表題が『村に火をつけ、白痴になれ』ですからね。  評伝の人物は、あの伊藤野枝(1895~1923)。平塚らいてうの後を継ぐ『青鞜』の二代目編集長………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

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