中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)の書評

写真:中島岳志さん

中島岳志 (北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
1975年大阪府生まれ。著書に『中村屋のボース―インド独立運動と近代日本のアジア主義』(大佛次郎論壇賞)『ヒンドゥー・ナショナリズム―印パ緊張の背景』『パール判事―東京裁判批判と絶対平和主義』など。

笑う親鸞―楽しい念仏、歌う説教 [著]伊東乾

笑う親鸞―楽しい念仏、歌う説教 [著]伊東乾

■意味超えて心に届く声、響き  自力の限界を説き、直接、民衆に語りかけた親鸞。彼は自らを「愚禿(ぐとく)」と称し、人々と同じ目線に立った。  「愚かなハゲ」と自分のことを言える親鸞は、きっと面白い話し方をしたに違いない………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年08月12日
[ジャンル]人文

評伝ナンシー関 「心に一人のナンシーを」 [著]横田増生

評伝ナンシー関 「心に一人のナンシーを」 [著]横田増生

■「角度」を武器に普遍を切り取る  時折、「ナンシー関が生きていたら」と思うことがある。テレビを見ながら、言語化できないモヤモヤ感が残る時、あの消しゴム版画が思い浮かぶのだ。  ナンシー関が亡くなって10年。本書は、ナ………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年07月15日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

商店街はなぜ滅びるのか―社会・政治・経済史から探る再生の道 [著]新雅史

商店街はなぜ滅びるのか―社会・政治・経済史から探る再生の道 [著]新雅史

■排他的経営脱し、公共空間再生を  商店街と聞くと、我々は日本の伝統的存在だと考えがちだが、本書はその常識を崩していく。  時は大正期。当時の日本は第1次世界大戦の終結と共に、深刻な不況に陥った。各地の農村は苦しみ、離………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年06月24日
[ジャンル]経済

三つの旗のもとに アナーキズムと反植民地主義的想像力 [著]ベネディクト・アンダーソン

三つの旗のもとに アナーキズムと反植民地主義的想像力 [著]ベネディクト・アンダーソン

■ナショナリズムの生成たどる  東京・日比谷公園に見慣れない胸像がある。ホセ・リサール。フィリピン独立運動の父として知られる小説家だ。  本書の主人公はリサール。『想像の共同体』の著者アンダーソンが、その続編的位置づけ………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年06月03日
[ジャンル]政治

近代仏教という視座―戦争・アジア・社会主義 [著]大谷栄一

近代仏教という視座―戦争・アジア・社会主義 [著]大谷栄一

■様々な潮流と合流した歩み  古代以来、日本人の精神に大きな影響を与えてきた仏教。しかし、「仏教」という概念が定着したのは、近代に入ってからである。西洋によって「宗教」(レリジョン)という概念が持ち込まれ、宗派を超えた………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年05月27日
[ジャンル]歴史 人文 ノンフィクション・評伝

ネットと愛国―在特会の「闇」を追いかけて [著]安田浩一

ネットと愛国―在特会の「闇」を追いかけて [著]安田浩一

■過激さの背後にある承認欲求  在日コリアンに差別的なスローガンを浴びせかけ、過激な行動を繰り返す在特会(在日特権を許さない市民の会)。彼らがデモで叫ぶ罵声は、侮蔑の言葉で満ちている。安田はメンバーへの取材を繰り返し、………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年05月13日
[ジャンル]IT・コンピューター ノンフィクション・評伝

ナショナリズムの力―多文化共生世界の構想 [著]白川俊介

ナショナリズムの力―多文化共生世界の構想 [著]白川俊介

■熟議実現のため、棲み分け型提起  90年代以降、ヨーロッパでは「リベラル・ナショナリズム」に注目が集まっている。新自由主義が拡大し、再配分政策が機能不全に陥る中、国民の帰属意識に基づく共感から、再配分の動機付けを調達………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年04月15日
[ジャンル]政治

反原発の思想史―冷戦からフクシマへ [著]すが秀実

反原発の思想史―冷戦からフクシマへ [著]すが秀実

■近代にとどまり超克できるのか  戦後日本の反原発論は多様な展開を見せてきた。著者はかつてと同じ隘路(あいろ)に陥らないために、反原発の歴史をたどる必要性を説く。  著者が強調するのは「1968年」の重要性である。以前………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年03月11日
[ジャンル]人文 社会

俺に似たひと [著]平川克美

俺に似たひと [著]平川克美

■介護から見いだす「本当の大人」  東京の下町で町工場を営み、町内会を取り仕切ってきた父親が徐々に衰弱し、死に至る。約1年半の静謐(せいひつ)な介護生活を綴(つづ)った本書は、Webマガジン連載時から大きな話題となって………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年03月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

トクヴィルの憂鬱 フランス・ロマン主義と〈世代〉の誕生 [著]高山裕二

トクヴィルの憂鬱 フランス・ロマン主義と〈世代〉の誕生 [著]高山裕二

■平衡を踏みにじる群衆の暴政  革命とナポレオン専制を経た19世紀前半のフランス。身分制から解放された「新しい社会」には、自分が何者でもないという不安に苛(さいな)まれる「新しい世代」が誕生した。社会的拘束から自由にな………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年02月26日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

60年代のリアル [著]佐藤信

60年代のリアル [著]佐藤信

■連帯呼ぶ「肉体感覚」の手ごたえ  著者は1988年生まれの大学院生。60年安保闘争や全共闘運動の話を聞いても「全く実感はわいてこない」。  著者は50年前の若者を見つめながら「同年代の者として、共感できるのか、できな………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年02月05日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

隔離の文学―ハンセン病療養所の自己表現史 [著]荒井裕樹

隔離の文学―ハンセン病療養所の自己表現史 [著]荒井裕樹

■文学への衝動生んだ葛藤  かつてハンセン病は一等国には相応(ふさわ)しくない「国辱病」とされ、後進性の象徴として隔離・撲滅が図られた。その中で綴(つづ)られた患者たちの「自己表現としての文学」に著者は注目する。  ハ………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年01月29日
[ジャンル]人文

福田恆存 思想の〈かたち〉―イロニー・演戯・言葉 [著]浜崎洋介

福田恆存 思想の〈かたち〉―イロニー・演戯・言葉 [著]浜崎洋介

■思想を生きた単独者の歩き方  これほど見事な福田恆存論を、私は知らない。ここには福田が表現しようとした論理の本質が、明確かつ繊細に描かれている。戦後言論界において、常に単独者として歩んだ福田の〈かたち〉が、本書によっ………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2012年01月22日
[ジャンル]政治 人文

「僕のお父さんは東電の社員です」―小中学生たちの白熱議論! 3・11と働くことの意味 [編]毎日小学生新聞 [著]森達也

「僕のお父さんは東電の社員です」―小中学生たちの白熱議論! 3・11と働くことの意味 [編]毎日小学生新聞 [著]森達也

■根源を掘り起こす小学生の問いかけ  「突然ですが、僕のお父さんは東電の社員です。」  そんな書き出しの手紙が、毎日小学生新聞の編集部に届いた。送り主は小学6年生のゆうだい君。彼は、元毎日新聞論説委員の北村龍行が書いた………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2011年12月18日
[ジャンル]人文

日本代表・李忠成、北朝鮮代表・鄭大世―それでも、この道を選んだ [著]古田清悟,姜成明

日本代表・李忠成、北朝鮮代表・鄭大世―それでも、この道を選んだ [著]古田清悟,姜成明

■「在日」エース2人の宿命と覚悟  9月2日、埼玉スタジアムで行われたサッカー日本代表×北朝鮮代表戦。そのピッチには、ともに日本の朝鮮学校を出た2人のストライカーが立っていた。しかし、着ているユニホームは別だった。日本………[もっと読む]

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)
[掲載]2011年12月11日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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