田中貴子(甲南大学教授)の書評

写真:田中貴子さん

田中貴子 (甲南大学教授)
1960年京都府生まれ。甲南大学教授。専門は国文学(中世文学)。著書に『〈悪女〉論(『悪女伝説の秘密』に改題)』『あやかし考―不思議の中世へ』(サントリー学芸賞)『日本ファザコン文学史』『安倍晴明の一千年』『百鬼夜行の見える都市』『検定絶対不合格教科書古文』など。

阿蘭陀が通る―人間交流の江戸美術史 [著]タイモン・スクリーチ

阿蘭陀が通る―人間交流の江戸美術史 [著]タイモン・スクリーチ

■異国人と日本人の交流鮮やかに  島田荘司が写楽の正体解明に小説のかたちで挑んだ『写楽 閉じた国の幻』(新潮社)を読んだとき、その「正体」には疑念を覚えたものの、別の話題にすこぶる興味をひかれたことがある。18世紀のオ………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年10月02日
[ジャンル]歴史

猫の本棚 [著]木村衣有子 

猫の本棚 [著]木村衣有子 

■「猫」文学を通して見る人間たち  たとえば、猫の前で小さなねずみのおもちゃを振ってみせる。猫は目を輝かせてじゃれついてくる。でも、と思う。生まれてから一度も本物のねずみを見たことのない彼は、果たしてこれを「ねずみ」と………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年09月11日
[ジャンル]文芸

本棚探偵の生還 [著]喜国雅彦

本棚探偵の生還 [著]喜国雅彦

■収集欲をそそる美麗な造本  1、古書店が夢に出て来る。2、本棚の配列には一家言ある。3、本は見て、触って楽しむ。4、とくにミステリーが好み。以上の条件を満たす方に強くお勧めするのが本書である。その理由は、実際に手にと………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年09月04日
[ジャンル]文芸 アート・ファッション・芸能

天の方舟 [著]服部真澄

天の方舟 [著]服部真澄

■金で変わる女性描く「悪女物」  金は低きに流れない。金は金のある方へと流れるのである。ODA(政府開発援助)にも、その法則は当てはまる。途上国援助の名の下で、億単位の贈収賄というブラックマネーが動くのだ。そうした金の………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年08月21日
[ジャンル]文芸

おもしろ図像で楽しむ―近代日本の小学教科書 [著]樹下龍児

おもしろ図像で楽しむ―近代日本の小学教科書 [著]樹下龍児

■新奇な知識、いかに受け入れたか  どんな人にも、小学校時代はある。時代によって尋常小学校、国民学校などと名称は変わるが、明治5年の学制発布以来、日本人がはじめて経験する公の教育機関は「小学校」だからだ。江戸時代の寺子………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年08月07日
[ジャンル]教育

梁塵秘抄 [編纂]後白河法皇 [訳]川村湊

梁塵秘抄 [編纂]後白河法皇 [訳]川村湊

 ちょっとこの歌に耳をお貸しください。  ピチピチギャルは 十に プラスの四、五、六  レディの盛りは 二十三、四まで  三十四、五にもなったなら きいろい紅葉の 枯れ落葉  いかにも「昭和」な感じのする場末の酒場で、化………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年07月31日
[ジャンル]文芸

ミドリさんとカラクリ屋敷 [著]鈴木遥 

ミドリさんとカラクリ屋敷 [著]鈴木遥 

■97歳、奇妙な家と開拓民の歴史  そのいっぷう変わった家は、湘南ののどかな一角に立っている。豊かな木々が生い茂る庭に囲まれた重厚な日本家屋をよく見ると、あちらこちらに意匠を凝らした飾りが施されていることがわかる。そし………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年07月10日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

飲めば都 [著]北村薫

飲めば都 [著]北村薫

■お酒と恋、働く女子の成長物語  いつもの酒場で好みの酒をまず一口。ほっとした顔の「女子」が二人、本を前に何やら話しております。 「今度の北村さんの小説って、あたしたちみたいに酒飲み本好きの編集者が主人公だね」「そやそ………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年06月12日
[ジャンル]文芸

資生堂という文化装置 1872—1945 [著]和田博文

資生堂という文化装置 1872—1945 [著]和田博文

■衣も食も、資料でたどる女性文化  今ほどファッション雑誌がなかった10代の頃、資生堂のPR誌「花椿」は私にとって憧れに満ちた存在だった。斬新な写真やテクストによって語られる最新の流行は、まだ口紅も知らぬ中高生にとって………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年06月05日
[ジャンル]歴史 経済

ニッポンの書評― [著]豊崎由美

ニッポンの書評― [著]豊崎由美

■書きたい人も読みたい人も  本への愛だけじゃだめ。書評には、書くテクニックと書き手の知見が必要だ。書評はあくまで「評」である。単なる感想文とは一線を画すものなのだ。  では、どんな書評が「いい書評」なのか? 知りたい………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年05月22日
[ジャンル]文芸 新書

ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商 [著]朽木ゆり子

ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商 [著]朽木ゆり子

■美術品の散逸・破壊回避の一面も  なぜ、これが、アメリカに? ニューヨークで、ボストンで、一級品の日本美術を目にしてこうつぶやく人は多いかもしれない。しかし、日本びいきの外国人が買ったのね、と納得してはいけない。その………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年05月01日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 国際

縦横無尽の文章レッスン [著]村田喜代子

縦横無尽の文章レッスン [著]村田喜代子

■よい文、読んで味わい書いてみる  私は毎年、新入生にリポートの書き方や調べ物の仕方を教える授業を持っている。ところが、一通りのことを講義して、さあ、自分で文章を書いてみましょう、と告げるとき、たいていの学生の顔にうん………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年04月17日
[ジャンル]教育

「絵のある」岩波文庫への招待 [著]坂崎重盛

「絵のある」岩波文庫への招待 [著]坂崎重盛

■すました顔の奥「お宝」眠ってた  こりゃあ楽しい本だ。でも、ちょっと悔しい。岩波文庫には挿絵が入っているものが意外と多いことに、実は私も注目していたのである。私は専門の関係で「黄帯」、つまり日本の古典文学の文庫を中心………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年04月10日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

日本語の古典 [著]山口仲美

日本語の古典 [著]山口仲美

■原文読んで初めて分かる魅力  古典文学はお好きですか?と聞いてみると、だいたい二通りの答えが返ってくるものだ。一つは、「難しいし、生活に必要ないから読まない」というもの。もう一つは、「古典くらい知ってる。日本人の精神………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年02月20日
[ジャンル]文芸 新書

短篇で読むシチリア [著]レオナルド・シャーシャほか

短篇で読むシチリア [著]レオナルド・シャーシャほか

■近代史垣間見る、不思議な匂い  「長靴」の先っちょの島、シチリアは、数多くの作家を生み出した土地である。3千年の長きにわたってさまざまな異民族の支配を受け、独特の文化を育んできたことが、シチリア人気質というべきものを………[もっと読む]

[評者]田中貴子(甲南大学教授)
[掲載]2011年02月06日
[ジャンル]文芸

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