福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)の書評

写真:福岡伸一さん

福岡伸一 (青山学院大学教授・生物学)
1959年東京都生まれ。専門は分子細胞生物学。著書に『プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー』(講談社出版文化賞)『ロハスの思考』『生物と無生物のあいだ』(サントリー学芸賞)『動的平衡』『ルリボシカミキリの青』など。

メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故 [著]大鹿靖明

メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故 [著]大鹿靖明

■あの時何が為されなかったのか  あのとき何が起こり、何が為(な)されたのか。本書を読み、自分の不明を恥じ、ついで慄然(りつぜん)とさせられた。  地震直後、まずは安堵(あんど)があった。緊急炉心制御装置が作動し、福島………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年03月11日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

世界を騙しつづける科学者たち〈上・下〉 [著]ナオミ・オレスケス、エリック・M・コンウェイ

世界を騙しつづける科学者たち〈上・下〉 [著]ナオミ・オレスケス、エリック・M・コンウェイ

■「懐疑の売人」はなぜ消えないか  殺虫剤DDTは当初、奇跡の化学物質に見えた。即効性があって、効果も長持ちする。なのにヒトには害がない。しかし、効き目があるからこそ、生態系の平衡を崩していた。分解されにくいDDTは昆………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年03月04日
[ジャンル]科学・生物

フェア・ゲーム―アメリカ国家に裏切られた元CIA女性スパイの告白 [著]ヴァレリー・プレイム・ウィルソン

フェア・ゲーム―アメリカ国家に裏切られた元CIA女性スパイの告白 [著]ヴァレリー・プレイム・ウィルソン

■イラク戦巡る米国の暗部暴く  私がこの事件に最初に興味を持ったのは、数年前、新聞で見たヴァレリー・プレイムの姿だった。金髪をスカーフで覆い、女優のようなサングラスをしていた。小さな写真だったが硬質の存在感を放っていた………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2012年01月08日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

アラブ革命はなぜ起きたか―デモグラフィーとデモクラシー [著]エマニュエル・トッド [訳]石崎晴己

アラブ革命はなぜ起きたか―デモグラフィーとデモクラシー [著]エマニュエル・トッド [訳]石崎晴己

■普遍へ文明が接近する過渡期  大学に入学したての頃、文化人類学者、米山俊直の講義を聴いて目を見開かされた。人間のあり方は環境からの制約と、その中で発生した文化的な仕組みによって規定されている。受験勉強で乾ききった心に………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年12月11日
[ジャンル]社会

裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす [著]たくきよしみつ

裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす [著]たくきよしみつ

■平明さが伝える静かな怒り  以前からこの著者には密(ひそ)かに着目していた。PCは買ったままの設定で使うな。文章は、おせっかいなワープロソフトでなく、シンプルなエディターで書こう。mp3ファイルの音は悪くない。デジカ………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年12月04日
[ジャンル]社会

ドリトル先生の世界 [著]南條竹則

ドリトル先生の世界 [著]南條竹則

■愛にあふれる解題本の決定版  ドリトル先生の物語が子供の頃の幸福な読書体験になっている人は多いのではないだろうか。自然を愛し、動物の言葉を理解する先生は、太っちょで、いつも飄々(ひょうひょう)として、ちょっと脱力系の………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年11月13日
[ジャンル]文芸 科学・生物

日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか [著]山田奨治

日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか [著]山田奨治

■「まね」から文化は生まれるのに  『計画と無計画のあいだ』という本が出るそうな。ひょっとして拙著『生物と無生物のあいだ』のパクリではないか。しかし私はどうすることもできない。書名は、著作権で保護される著作物には当たら………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年10月30日
[ジャンル]社会

ディアスポラ [著]勝谷誠彦

ディアスポラ [著]勝谷誠彦

■予言、そして民族の意味問う書  この物語の通奏低音には、私たちの五感をたえず逆撫(な)でするものが流れている。鼻をつく排泄(はいせつ)物の臭気。薄い酸素。冷えた空気。肌を焼く紫外線。腐敗物にまみれたゴミ捨て場。そこか………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年10月23日
[ジャンル]文芸 社会

ぼくは上陸している 上・下 [著]スティーヴン・ジェイ・グールド

ぼくは上陸している 上・下 [著]スティーヴン・ジェイ・グールド

■華麗な語り問う、科学は万能かと  グールドとドーキンス、どっちが好き? 同じ1941年生まれ。科学作家としてライバルであり、実際、激しい論争を交わした。生物は利己的な遺伝子の乗り物にすぎないと、切れ味鮮やかに登場した………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年10月02日
[ジャンル]科学・生物

いまファンタジーにできること [著]アーシュラ・K・ル=グウィン

いまファンタジーにできること [著]アーシュラ・K・ル=グウィン

■真偽の見え方、美醜の基準示す  ヒトはサルの幼形成熟(ネオテニー)として進化した。そんな魅力的な仮説がある。子供時代が延長され、子供の特徴・特性を残したままゆっくり成長する。すると好奇心に満ち、探索し、道草を食う。攻………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年09月25日
[ジャンル]教育 人文 科学・生物

かけ算には順序があるのか [著]高橋誠

かけ算には順序があるのか [著]高橋誠

■思想史的な問いかけ、なのだ  今、小学校では、「6人に4個ずつミカンを配ると、ミカンは何個必要ですか」という問題に、6×4=という式を書くと、バツにされてしまうという。「教師用指導書」には、かけ算の式の順序を教えるよ………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年07月10日
[ジャンル]教育

「富士見」の謎―一番遠くから富士山が見えるのはどこか? [著]田代博

「富士見」の謎―一番遠くから富士山が見えるのはどこか? [著]田代博

■どこからどれくらい見える?  関東圏に育った私にとって富士山は身近だった。至る所から遠望できた。特別くっきり見えた日は何かいいことがありそうだった。  その後、京都の大学に行くことになり富士山が見える生活から長らく遠………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年07月03日
[ジャンル]科学・生物

もうすぐ夏至だ [著]永田和宏

もうすぐ夏至だ [著]永田和宏

■科学と短歌、通底する形式とは  幼くして英国に移住し、その後、英語で書く世界的作家となったカズオ・イシグロはこんな風に語った。創作のきっかけは、自分の中にあった大切な日本の記憶が消え去ってしまう焦燥感。なんとかそれを………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年06月19日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

ダンゴムシに心はあるのか―新しい心の科学 [著]森山徹

ダンゴムシに心はあるのか―新しい心の科学 [著]森山徹

■愉快な実験で示す斬新な定義  ダンゴムシ、見たことありますよね。ムシと呼ばれつつも、昆虫ではなくエビやカニの仲間。その証拠にゆでると赤くなる(試さないでね)。  大胆な本である。まず心とは何かずばりと定義する。そして………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年06月05日
[ジャンル]科学・生物 新書

花の国・虫の国―熊田千佳慕の理科系美術絵本 [著]熊田千佳慕

花の国・虫の国―熊田千佳慕の理科系美術絵本 [著]熊田千佳慕

■虫になりきって見た静かな世界  熊田千佳慕の絵には音がない。千佳慕の虫には影がない。千佳慕のスケッチには色がない。少なくとも私たちが知るような風の声や光の明暗や澄んだ空の青さは、そこにはない。それでも私たちは千佳慕の………[もっと読む]

[評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学)
[掲載]2011年05月29日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る