平松洋子(エッセイスト)の書評

写真:平松洋子さん

平松洋子 (エッセイスト)
1958年岡山県生まれ。エッセイスト、フードジャーナリスト。著書に『わたしの沖縄食紀行』『ベトナムとタイ 毎日のごはん』『買えない味』(ドゥマゴ文学賞)『夜中にジャムを煮る』『平松洋子の台所』『食べる旅 国むかしの味』など。

いまも、君を想う 川本三郎著

いまも、君を想う 川本三郎著

■妻への追慕、端然とせつせつと  慎みぶかい追想記である。  追慕の情とともに、ひそやかであること、ささやかなることをみずからの筆致に求める気配がある。そこにわたしは先立たれた身としての慎みのありようを感じ、せつせつと………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年06月27日
[ジャンル]文芸

献上博多織の技と心 [著]小川規三郎 

献上博多織の技と心 [著]小川規三郎 

■伝統に向き合う使命感と危機感  「だれも後継者はおりません」  伝統工芸に携わる職人さんから、日本各地で何度も耳にしてきた。そのたび言葉の重さにうなだれながら、傍観するほかない歯がゆさを痛感してきた。でも、こうして希………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年06月13日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

パスタマシーンの幽霊 [著]川上弘美 

パスタマシーンの幽霊 [著]川上弘美 

■ほのかに明るくて切ない恋愛短編  汁をこしらえるので、いりこをざっくりとほぐす。裂くというより、粗くほぐす感じ。鈍く光る銀色の「く」の字のなかに肉や小骨がみしっと詰まって、とてもいいだしがでる。七尾めに手をかけたとき………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年06月06日
[ジャンル]文芸

祭りの季節 [著]池内紀 

祭りの季節 [著]池内紀 

■ひたひたと近づく郷愁の足音  ドイツ文学者、池内紀の十数年におよぶ長い旅、祭りめぐりの足跡がここにある。  北海道木古内の「寒中みそぎ」から長崎玉之浦の「大宝砂打ち」まで、なつかしい三十六の祭礼。北に、南に、こんな祭………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年05月23日
[ジャンル]文芸 社会

天国旅行 [著]三浦しをん 

天国旅行 [著]三浦しをん 

■生への希望、ほのかに「心中」の影  読みはじめてすぐ、一枚のCDみたいな短編集だなと思った。ジャケットはフィンランド随一のイラストレーター、ハーパニエミの幻想的で毒のある作品。タイトル「天国旅行」は2004年に解散し………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年05月09日
[ジャンル]文芸

天国は水割りの味がする 東京スナック魅酒乱 [著]都築響一

天国は水割りの味がする 東京スナック魅酒乱 [著]都築響一

■飲み歩いて聞き出す人生万華鏡  住んでいる町の駅裏に白い木の扉のスナック「LOVE」がある。もう三十年以上通りかかっているのに、いまだに気圧(けお)される。扉の向こうにめくるめく人生劇場が展開していそうで。  どうっ………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年04月25日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

治りませんようにーべてるの家のいま [著]斉藤道雄

治りませんようにーべてるの家のいま [著]斉藤道雄

■生の意味求める崖っぷちの真情  虚を突かれた。  「治りませんように」  奇妙なタイトルにぽかんとして、しだいに混乱する。病気が治らないよう願う者など、いるはずがないではないか?  これは十年の取材にもとづく記録と思………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年04月11日
[ジャンル]医学・福祉 社会 ノンフィクション・評伝

誇り高き老女たちの食卓 [著]本間千枝子 

誇り高き老女たちの食卓 [著]本間千枝子 

食材から紡がれる多元的な物語  本間千枝子さんのデビュー作『アメリカの食卓』をわたしが手にとったのは一九八二年、大学を卒業した二年後だった。  当時主婦だった本間さんは、七年の滞在中に出合ったアメリカの料理を手だてに、………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年02月21日
[ジャンル]文芸

見とれていたい―わたしのアイドルたち [著]柴崎友香

見とれていたい―わたしのアイドルたち [著]柴崎友香

■世の宝を賛美する目線芸  二十五年くらい前、都心のビルでエレベーターを待っていると、開いた扉のむこうがきらきら輝いていた。そこに立っている松坂慶子さんには後光が射(さ)していました。いまでも、松坂慶子さんが目を輝かせ………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年02月07日
[ジャンル]文芸 アート・ファッション・芸能

自転車ぎこぎこ [著]伊藤礼

自転車ぎこぎこ [著]伊藤礼

■走ってつづる70代の悠揚たる日常  「おもしろいことの大家」イトウ先生御年七十六歳、ますます快調です。  古稀(こき)直前に昂(こう)じたのが自転車熱。エッセイ『こぐこぐ自転車』につづく第二弾『自転車ぎこぎこ』には、………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年01月31日
[ジャンル]文芸

うちのご飯の60年―祖母・母・娘の食卓 [著]阿古真理

うちのご飯の60年―祖母・母・娘の食卓 [著]阿古真理

■「母の味」の変遷で描く日本の変化  ことし創刊六十周年を迎えた雑誌「芸術新潮」の特集は「わたしが選ぶ日本遺産」だ。わたしが選んだのは「伊勢神宮」「水田」「居酒屋」の三つ。正月にページをめくりながら、ふと思った。ひとつ………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2010年01月10日
[ジャンル]社会

キムチの文化史-朝鮮半島のキムチ・日本のキムチ [著]佐々木道雄

キムチの文化史-朝鮮半島のキムチ・日本のキムチ [著]佐々木道雄

■愛憎からむ、日本人との濃い関係  値段の高い本です。税別六千円もする。この不景気にもうしわけない気がします。  ぐっと膝(ひざ)を乗り出すのは、後半の第3章「日本のキムチ」。最初にキムチが紹介されたのは、早くも明治期………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2009年12月06日
[ジャンル]歴史 人文 ノンフィクション・評伝

サイゴンのコニャックソーダ-酒こそわが人生/私が見た戦争 [著]石川文洋

サイゴンのコニャックソーダ-酒こそわが人生/私が見た戦争 [著]石川文洋

■酒の味わいもまた生きてこそ  氷を入れたグラスにコニャックをどぼどぼ注ぐ。ソーダで割ってかき回し、泡立たせてコニャックの香りに威勢をつける——ベトナム戦争に従軍するジャーナリストたちが愛した、コニャックソーダのつくり………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2009年11月15日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

日本の空をみつめて-気象予報と人生 [著]倉嶋厚

日本の空をみつめて-気象予報と人生 [著]倉嶋厚

■空と心のうつろい豊かにつづる  季節の気配は空のなかにある。きょうは空いちめん、絹糸のようなすじ雲が広がっていた。  空は刻々とうつろう。ひとのこころもまたおなじ。そのふたつのありさまに気象の専門家として自身を映し、………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2009年10月25日
[ジャンル]文芸

牛を屠る [著]佐川光晴 

牛を屠る [著]佐川光晴 

■「働くよろこび」語る克明な記述  モンゴルの草原で移動式住宅のゲルに泊まっていたとき、家長のじいさんが小動物の獲物を一匹ぶら下げて帰ってきた。  見ていると、腰に下げたナイフを操ってつるりと皮を剥(む)き、ぶつ切りに………[もっと読む]

[評者]平松洋子(エッセイスト)
[掲載]2009年10月04日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

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