柄谷行人(哲学者)の書評

写真:柄谷行人さん

柄谷行人 (哲学者)
1941年兵庫県生まれ。著書に『漱石詩論』(群像新人文学賞)『マルクスその可能性の中心』(亀井勝一郎賞)『坂口安吾と中上健次』(伊藤整文学賞)『日本近代文学の起源』『隠喩としての建築』『トランスクリティーク』『ネーションと美学』『歴史と反復』『世界史の構造』など。

現代アジアの宗教—社会主義を経た地域を読む [編]藤本透子

現代アジアの宗教—社会主義を経た地域を読む [編]藤本透子

■伝統の切断、力関係の逆転  本書は、「社会主義を経たアジア地域の宗教」に関する、地域横断的な共同研究である。この地域の宗教は、イスラム、ボン教、上座仏教、シャーマニズムなど、様々であり、共通するのは、社会主義体制を経………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2015年07月19日
[ジャンル]社会

世論調査とは何だろうか [著]岩本裕

世論調査とは何だろうか [著]岩本裕

■戦後GHQが導入、質問の仕方で違い  本書は、世論調査の起源から、現在にいたるまでの歴史を示すとともに、今後の可能性を見ようとするものだ。古来どんな国家体制もそれなりに「民意」にもとづいている。しかし、「世論」(パブ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2015年07月05日
[ジャンル]社会

江戸日本の転換点―水田の激増は何をもたらしたか [著] 武井弘一

江戸日本の転換点―水田の激増は何をもたらしたか [著] 武井弘一

■列島改造!! 成長の限界に直面  明治以後、江戸時代の社会は、概して否定的に見られてきた。それが参照すべきものとして見られるようになったのは、むしろ近年である。それは、戦後日本で、「日本列島改造」と呼ばれた経済の高度………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2015年05月24日
[ジャンル]歴史 経済 科学・生物

紙の砦—自衛隊文学論 [著]川村湊

紙の砦—自衛隊文学論 [著]川村湊

■文学でこそ表せる「戦力でない軍隊」  本書は、自衛隊を題材にした小説や映画、つまり「自衛隊文学」の読解を通して、自衛隊を考察するものである。もちろん、本書には自衛隊に関する政治的・法的な議論があるし、その部分も重要で………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2015年03月08日
[ジャンル]人文 社会

社会主義―その成長と帰結 [著]ウィリアム・モリス、E・B・バックス

社会主義―その成長と帰結 [著]ウィリアム・モリス、E・B・バックス

■ロシア革命後、黙殺された思想  ウィリアム・モリスは現在の日本では、特に室内装飾のデザインで知られている。私は大阪のデパートで展示を見たことがある。彼はまた、「ユートピアだより」を書いた、空想的社会主義者として知られ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2015年02月22日
[ジャンル]政治

哲学を回避するアメリカ知識人—プラグマティズムの系譜 [著]コーネル・ウェスト

哲学を回避するアメリカ知識人—プラグマティズムの系譜 [著]コーネル・ウェスト

■エマソンを源流に創造的民主主義へ  著者ウェストは、ハーバード大学、プリンストン大学などで哲学・文学を教え、教会牧師であるとともに、政治的活動家であり、ラップも行う、黒人の「有機的知識人」である。本書の表題は、やや誤………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2014年11月16日
[ジャンル]社会

琉球独立論―琉球民族のマニフェスト [著]松島泰勝

琉球独立論―琉球民族のマニフェスト [著]松島泰勝

■緊張の東アジアへ、今こそ普遍的意義  本書は「琉球独立」を提唱するものである。たとえば、スコットランドがイギリスからの独立を求めて住民投票を行ったことに驚いた日本人が多かっただろう。なぜスコットランドが独立を望むのか………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2014年09月21日
[ジャンル]政治 社会

カフカらしくないカフカ [著]明星聖子

カフカらしくないカフカ [著]明星聖子

■「裏切り」でなく「暗黙の契約」  カフカは友人マックス・ブロートに、遺稿は「のこらず、読まずに焼いてくれ」というメモを残したが、友人はあえてそれを出版した。その結果、カフカは20世紀を代表する作家となった。この有名な………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2014年08月24日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

民主政治はなぜ「大統領制化」するのか―現代民主主義国家の比較研究 [著]T・ポグントケ [編]P・ウェブ

民主政治はなぜ「大統領制化」するのか―現代民主主義国家の比較研究 [著]T・ポグントケ [編]P・ウェブ

■政党よりリーダー、個人的人気に傾く  本書の編著者らは、現行の議会制民主主義では「大統領制化」という現象が生じると主張する。簡単にいうと、それは、行政府の長(首相ないし大統領)が、議会(立法府)による制約から自立する………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2014年06月29日
[ジャンル]政治

いま読むペロー「昔話」 [訳・解説]工藤庸子

いま読むペロー「昔話」 [訳・解説]工藤庸子

■グリムと異なり大人に向けて  グリムの童話「赤頭巾」では、少女がお婆(ばあ)さんに化けた狼(おおかみ)に食われたあと、猟師が狼を撃って腹から少女を助け出すことになっている。しかし、ペローの昔話では、少女はたんに食われ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2014年01月12日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ゾミア 脱国家の世界史 [著]ジェームズ・C・スコット

ゾミア 脱国家の世界史 [著]ジェームズ・C・スコット

■支配逃れ「遊動」、山地民の「歴史」  表題の「ゾミア」とは、東南アジア大陸部(ベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー)および中国南部の丘陵地帯を指す新名称である。そこには、まだ国民国家に統合されていない人々が………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2013年11月24日
[ジャンル]社会 国際

忘却のしかた、記憶のしかた―日本、アメリカ、戦争 [著]ジョン・W・ダワー

忘却のしかた、記憶のしかた―日本、アメリカ、戦争 [著]ジョン・W・ダワー

■日本学者として日、米、世界見直す  本書は、著者の主要な仕事のエッセンスを、自身による解題を付して、年代順に配列したものである。「ダワー入門」と呼んでもよい本だ。内容的にいえば、マッカーシズムの時期に自殺に追い込まれ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2013年09月29日
[ジャンル]歴史 社会 国際

褐色の世界史―第三世界とはなにか [著]ヴィジャイ・プラシャド

褐色の世界史―第三世界とはなにか [著]ヴィジャイ・プラシャド

■プロジェクトの出現と崩壊追う  「第三世界」という言葉は今も使われるが、ほとんど途上国や経済的後進国という意味でしかない。本書の序文冒頭に、次のことばがある。《第三世界は場所ではない。プロジェクトである》。このプロジ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2013年06月02日
[ジャンル]歴史

妖怪学の祖 井上圓了 [著]菊地章太

妖怪学の祖 井上圓了 [著]菊地章太

■妖怪で哲学を説いた啓蒙主義者  近年、井上圓了といえば、妖怪の研究者で、漫画家水木しげるの大先輩のような人だと考えられている。が、彼は明治初期、井上哲次郎と並ぶ哲学者であった。そして、彼が「妖怪学」という講座を開いた………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2013年03月10日
[ジャンル]人文

マックス・ウェーバーの日本 [著]ヴォルフガング・シュヴェントカー

マックス・ウェーバーの日本 [著]ヴォルフガング・シュヴェントカー

■ドイツ以上になぜ読まれたのか  本書は、日本のウェーバー研究の内容を、大正時代から現在にいたるまで詳細に検討するものである。実は、ウェーバーは日本で、ドイツで以上によく読まれてきた。にもかかわらず、日本人のウェーバー………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2013年02月24日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

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