保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

写真:保阪正康さん

保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

ヒトラー (上)1889−1936傲慢 (下)1936−1945天罰 [著]イアン・カーショー

ヒトラー (上)1889−1936傲慢 (下)1936−1945天罰 [著]イアン・カーショー

■社会がつくった特異な扇動家  著者は「ナチズム研究」では国際的に名の知られた英国の研究者である。本書は20年近く前に刊行された大部の書だが、やっと邦訳が出た。  20世紀になぜヒトラーのような指導者が生まれたのか、そ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

アイヌの遺骨はコタンの土へ―北大に対する遺骨返還請求と先住権 [編著]北大開示文書研究会

アイヌの遺骨はコタンの土へ―北大に対する遺骨返還請求と先住権 [編著]北大開示文書研究会

■帝国時代の学問の後進性を暴く  帝国主義時代の学問的研究が人権意識の定着した現代社会から厳しく糾弾されている。それに対応しえない研究空間の後進性を暴くのが本書のモチーフだ。  帝国大学医科大学(現・東大医学部)教授の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年06月26日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

沖縄戦と孤児院―戦場の子どもたち [著]浅井春夫

沖縄戦と孤児院―戦場の子どもたち [著]浅井春夫

 戦争孤児の実態について、とくに沖縄戦における内実はほとんど検証されていない。著者はその空白の領域に挑んだ。  もともと沖縄には孤児院や養老院は存在していなかった。共同体での扶助の精神があったからだろう。それが戦争によっ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年06月05日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

真実―私は「捏造記者」ではない [著]植村隆

真実―私は「捏造記者」ではない [著]植村隆

■幾重にも浮かぶこの社会の病理  従軍慰安婦問題の本質は2点ある。その1は、「軍隊と性」で、古代ローマ以来、性病によって軍隊が機能しなくなることへの懸念である。その2は、20世紀の軍隊と性は、それぞれの国の政治体制によ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]政治 社会

新聞と憲法9条―「自衛」という難題 [著]上丸洋一

新聞と憲法9条―「自衛」という難題 [著]上丸洋一

 日本国憲法施行から69年。その草創期を5年ごとの三つのステージに分けて、それぞれの時代に憲法9条がどのような辛酸をなめたのか、本書はそれを丹念に追いかけた。いわば憲法9条が激流をいかに泳いだか確かめた書だ。  三つのス………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年05月01日
[ジャンル]政治 社会

アウシュヴィッツの囚人写真家 [著]ルーカ・クリッパ、マウリツィオ・オンニス

アウシュヴィッツの囚人写真家 [著]ルーカ・クリッパ、マウリツィオ・オンニス

■消せない記録、カメラが伝える  ポーランドの写真家ヴィルヘルム・ブラッセ(2012年死去)のアウシュヴィッツ体験を、2人のイタリア人ライターがノンフィクション・ノベルとしてまとめたのが本書である。ナチスは、当初アウシ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年04月24日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

戦争を悼む人びと [著]シャーウィン裕子

戦争を悼む人びと [著]シャーウィン裕子

 戦場体験を語り継ぐには勇気と理性が必要だ。それから逃げるには「そんな史実はない」と遁辞(とんじ)を弄(ろう)することだ。本書の行間に流れるのは、そういう歴史修正主義者への怒りである。  著者は大学卒業後、米国、スイスに………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年04月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

岡村昭彦と死の思想―「いのち」を語り継ぐ場としてのホスピス [著]高草木光一

岡村昭彦と死の思想―「いのち」を語り継ぐ場としてのホスピス [著]高草木光一

■「破天荒な生」から死を考える  岡村昭彦は1960年代、「ライフ」誌を舞台にベトナム戦争報道でデビューし、70年代も報道写真家、80年代以降はバイオエシックスとホスピスの探求者として、歴史に名を残している。その死から………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

戦場の性―独ソ戦下のドイツ兵と女性たち [著]レギーナ・ミュールホイザー

戦場の性―独ソ戦下のドイツ兵と女性たち [著]レギーナ・ミュールホイザー

■戦時の性暴力を赤裸々に調査  著者は1971年生まれの歴史学や近代ドイツ文学の女性研究者、第2次世界大戦は史料でしか知らない。  それゆえにということだろうが、41年6月の独ソ開戦とともにドイツ軍が制圧した旧ソ連の国………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年02月28日
[ジャンル]歴史

「思想の科学」私史 まなざし [著]鶴見俊輔

「思想の科学」私史 まなざし [著]鶴見俊輔

■日本語の思想性、次代に問い続け  60年安保時、岸内閣の強行採決に「国家公務員でいるのが恥ずかしい」と鶴見俊輔は東京工業大学を辞職した。61年9月、京都の同志社大学教授に転じた。  その最初の授業で、私は前方の席に座………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]人文

洛陽堂 河本亀之助小伝―損をしてでも良書を出す・ある出版人の生涯 [著]田中英夫

洛陽堂 河本亀之助小伝―損をしてでも良書を出す・ある出版人の生涯 [著]田中英夫

■裏方に徹し才能ある人物を世に    明治42年に出版社洛陽堂を興した河本亀之助の人物像とその業績を克明に辿(たど)った書。  河本は故郷・広島県で小学校の助教を務め、キリスト教への関心を深めたあと数え25歳で上京、印………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年01月31日
[ジャンル]政治 人文 社会

愛国的無関心―「見えない他者」と物語の暴力 [著]内藤千珠子

愛国的無関心―「見えない他者」と物語の暴力 [著]内藤千珠子

■「伏字的死角」に宿る歴史分析  本書には二つのキーワードがある。一つは「愛国的無関心」。「現在の愛国的空気が、近代日本の帝国主義に基づく無関心に起因」と定義づけられる。二つは「伏字(ふせじ)的死角」。近代日本では○や………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年01月17日
[ジャンル]政治 社会

中国と日本―批判の刃を己に [著]張承志

中国と日本―批判の刃を己に [著]張承志

■熱狂的な民族主義は「毒薬」  中国語圏で広く読まれている日本人論。著者は北京に住む著名な作家で、かつては日本に滞在し、研究生活も体験している。  日本への関心の深さとその分析が、正鵠(せいこく)を射ていて、日本人も自………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年12月20日
[ジャンル]社会

動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか [著]ニック・タース

動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか [著]ニック・タース

■病んでいた時代の実像を暴く  ベトナム戦争での米軍の作戦は「索敵殲滅(さくてきせんめつ)作戦」と称された。米兵の任務は「革命軍兵士を見つけ出して殺害する」であった。が、実際は本書のタイトルのような作戦が日々、ベトナム………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年12月13日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

北京・山本照像館―西太后写真と日本人写真師 [著]日向康三郎

北京・山本照像館―西太后写真と日本人写真師 [著]日向康三郎

■中国でも活躍した男の写真人生  近代日本の草創期、一人の写真師がいかに生きたかの書である。安政2年に現在の岡山県に生まれた山本讃七郎が、13歳で写真技術(湿板写真)を知る。16歳で上京、その技術を学んだあとに28歳で………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年11月29日
[ジャンル]歴史

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