保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

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保阪正康 (ノンフィクション作家)
ほさか・まさやす。1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

毛沢東の対日戦犯裁判―中国共産党の思惑と1526名の日本人 [著]大澤武司

毛沢東の対日戦犯裁判―中国共産党の思惑と1526名の日本人 [著]大澤武司

 第2次世界大戦終結後、中国での日本人戦犯には幾つかのタイプがある。そのうちソ連から中国に移された戦犯969人(撫順組)と中国国内の「罪行重大」逮捕者の136人(太原〈たいげん〉組)をとりあげ、戦犯裁判の実態を分析した書………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]歴史

見張塔からずっと―政権とメディアの8年/放送法と権力 [著]山田健太

見張塔からずっと―政権とメディアの8年/放送法と権力 [著]山田健太

■「市民力」が支える表現の自由  この8年余のメディア状況を俯瞰(ふかん)した論集である。改めて全体の流れを確かめると「市民的自由は後退につぐ後退を余儀なくされた」と著者は説く。  『見張塔からずっと』(前書)は、琉球………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年01月22日
[ジャンル]政治 社会

ごはんの時間―井上ひさしがいた風景 [著]井上都

ごはんの時間―井上ひさしがいた風景 [著]井上都

 食事を通して、自らとふれあった人たちの思い出を綴(つづ)る。父井上ひさし、母、そして夫や肉親、知己の表情や生の瞬間が巧みな筆調で描きだされる。  怒る井上ひさしがいる。たとえば「クラブハウスサンドイッチ」では、「父と暮………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]文芸

関東大震災朝鮮人虐殺の記録―東京地区別1100の証言 [編著]西崎雅夫

関東大震災朝鮮人虐殺の記録―東京地区別1100の証言 [編著]西崎雅夫

■丹念な調査で異常な実態を解明  著者は大学生時代に「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し慰霊(現在は追悼に改称)する会」発足に参加、以来一貫してこの実態解明に力を尽くしてきた。1923(大正12)年9月1日の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年11月20日
[ジャンル]政治 社会

丸刈りにされた女たち―「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 [著]藤森晶子

丸刈りにされた女たち―「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 [著]藤森晶子

 第2次世界大戦下、連合軍によりフランス各地が次々と解放される。その折、対独協力者のレッテルのもと、女性たちが頭髪を切られ、丸刈りにされて復讐(ふくしゅう)やリンチを受けた。約2万人に及んだという。  著者によるとこの丸………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年11月06日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

父母の記―私的昭和の面影 [著]渡辺京二

父母の記―私的昭和の面影 [著]渡辺京二

■愛惜込め、家族の実像赤裸々に  著者は、近代日本の土着空間を見続ける文筆家だが、その土台にある自らの家族共同体の実像を赤裸々に読者に示した。生を持続させる間、その実像を語らずにはいられないとの衝動が本書を貫く芯である………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年10月23日

戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗 [著]加藤陽子

戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗 [著]加藤陽子

■この国はなぜ3回誤ったのか  太平洋戦争への道筋で世界が日本に、「貴国はどちらを選択するのか」と問うたときが3回あったと、著者は説く。リットン報告書、三国軍事同盟、日米交渉。その選択時の状況を分析することは現代政治へ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年10月02日
[ジャンル]歴史

翻訳出版編集後記 [著]常盤新平

翻訳出版編集後記 [著]常盤新平

■読者得る喜びも失敗も哀歓こめ  翻訳出版が中心の早川書房の編集者として10年、翻訳家としての10年、その体験を生かして書きあげた翻訳業界内幕の書。1960年代、70年代の翻訳事情が明かされる。  翻訳にたずさわる会社………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年09月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

国際秩序 [著]ヘンリー・キッシンジャー

国際秩序 [著]ヘンリー・キッシンジャー

■自制、力、正統性の釣り合いを  国際政治学者キッシンジャーの基本的な歴史観・世界観を凝縮した研究書である。フォード政権で国務長官も務めたのだから、その理論は現実の中で応用、援用あるいは微調整されていたことも窺(うかが………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年08月28日
[ジャンル]歴史

鉄幹と文壇照魔鏡事件―山川登美子及び「明星」異史 [著]木村勲

鉄幹と文壇照魔鏡事件―山川登美子及び「明星」異史 [著]木村勲

 1901年に『文壇照魔鏡(しょうまきょう)』という書が刊行される。与謝野鉄幹の私生活を徹底した悪罵の筆で描いている。だが著者名も版元も仮名、誰が書いたかは不明だ。鉄幹は、旧知の歌人高須芳次郎(梅渓)とにらみ、法廷に持ち………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸 人文

あゝ浅草オペラ―写真でたどる魅惑の「インチキ」歌劇 [著]小針侑起

あゝ浅草オペラ―写真でたどる魅惑の「インチキ」歌劇 [著]小針侑起

 本書のサブタイトルに「『インチキ』歌劇」とあるのだが、著者によるとこの語は昭和初期から使われていたそうだ。お高くとまった帝国劇場歌劇部に抗する意味、あるいは「ペラゴロ」と称する浅草オペラの熱狂的ファンの意地を示している………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

ヒトラー (上)1889−1936傲慢 (下)1936−1945天罰 [著]イアン・カーショー

ヒトラー (上)1889−1936傲慢 (下)1936−1945天罰 [著]イアン・カーショー

■社会がつくった特異な扇動家  著者は「ナチズム研究」では国際的に名の知られた英国の研究者である。本書は20年近く前に刊行された大部の書だが、やっと邦訳が出た。  20世紀になぜヒトラーのような指導者が生まれたのか、そ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

アイヌの遺骨はコタンの土へ―北大に対する遺骨返還請求と先住権 [編著]北大開示文書研究会

アイヌの遺骨はコタンの土へ―北大に対する遺骨返還請求と先住権 [編著]北大開示文書研究会

■帝国時代の学問の後進性を暴く  帝国主義時代の学問的研究が人権意識の定着した現代社会から厳しく糾弾されている。それに対応しえない研究空間の後進性を暴くのが本書のモチーフだ。  帝国大学医科大学(現・東大医学部)教授の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年06月26日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

沖縄戦と孤児院―戦場の子どもたち [著]浅井春夫

沖縄戦と孤児院―戦場の子どもたち [著]浅井春夫

 戦争孤児の実態について、とくに沖縄戦における内実はほとんど検証されていない。著者はその空白の領域に挑んだ。  もともと沖縄には孤児院や養老院は存在していなかった。共同体での扶助の精神があったからだろう。それが戦争によっ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年06月05日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

真実―私は「捏造記者」ではない [著]植村隆

真実―私は「捏造記者」ではない [著]植村隆

■幾重にも浮かぶこの社会の病理  従軍慰安婦問題の本質は2点ある。その1は、「軍隊と性」で、古代ローマ以来、性病によって軍隊が機能しなくなることへの懸念である。その2は、20世紀の軍隊と性は、それぞれの国の政治体制によ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]政治 社会

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