保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

写真:保阪正康さん

保阪正康 (ノンフィクション作家)
ほさか・まさやす。1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

丸刈りにされた女たち―「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 [著]藤森晶子

丸刈りにされた女たち―「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 [著]藤森晶子

 第2次世界大戦下、連合軍によりフランス各地が次々と解放される。その折、対独協力者のレッテルのもと、女性たちが頭髪を切られ、丸刈りにされて復讐(ふくしゅう)やリンチを受けた。約2万人に及んだという。  著者によるとこの丸………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年11月06日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

父母の記―私的昭和の面影 [著]渡辺京二

父母の記―私的昭和の面影 [著]渡辺京二

■愛惜込め、家族の実像赤裸々に  著者は、近代日本の土着空間を見続ける文筆家だが、その土台にある自らの家族共同体の実像を赤裸々に読者に示した。生を持続させる間、その実像を語らずにはいられないとの衝動が本書を貫く芯である………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年10月23日

戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗 [著]加藤陽子

戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗 [著]加藤陽子

■この国はなぜ3回誤ったのか  太平洋戦争への道筋で世界が日本に、「貴国はどちらを選択するのか」と問うたときが3回あったと、著者は説く。リットン報告書、三国軍事同盟、日米交渉。その選択時の状況を分析することは現代政治へ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年10月02日
[ジャンル]歴史

翻訳出版編集後記 [著]常盤新平

翻訳出版編集後記 [著]常盤新平

■読者得る喜びも失敗も哀歓こめ  翻訳出版が中心の早川書房の編集者として10年、翻訳家としての10年、その体験を生かして書きあげた翻訳業界内幕の書。1960年代、70年代の翻訳事情が明かされる。  翻訳にたずさわる会社………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年09月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

国際秩序 [著]ヘンリー・キッシンジャー

国際秩序 [著]ヘンリー・キッシンジャー

■自制、力、正統性の釣り合いを  国際政治学者キッシンジャーの基本的な歴史観・世界観を凝縮した研究書である。フォード政権で国務長官も務めたのだから、その理論は現実の中で応用、援用あるいは微調整されていたことも窺(うかが………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年08月28日
[ジャンル]歴史

鉄幹と文壇照魔鏡事件―山川登美子及び「明星」異史 [著]木村勲

鉄幹と文壇照魔鏡事件―山川登美子及び「明星」異史 [著]木村勲

 1901年に『文壇照魔鏡(しょうまきょう)』という書が刊行される。与謝野鉄幹の私生活を徹底した悪罵の筆で描いている。だが著者名も版元も仮名、誰が書いたかは不明だ。鉄幹は、旧知の歌人高須芳次郎(梅渓)とにらみ、法廷に持ち………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸 人文

あゝ浅草オペラ―写真でたどる魅惑の「インチキ」歌劇 [著]小針侑起

あゝ浅草オペラ―写真でたどる魅惑の「インチキ」歌劇 [著]小針侑起

 本書のサブタイトルに「『インチキ』歌劇」とあるのだが、著者によるとこの語は昭和初期から使われていたそうだ。お高くとまった帝国劇場歌劇部に抗する意味、あるいは「ペラゴロ」と称する浅草オペラの熱狂的ファンの意地を示している………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

ヒトラー (上)1889−1936傲慢 (下)1936−1945天罰 [著]イアン・カーショー

ヒトラー (上)1889−1936傲慢 (下)1936−1945天罰 [著]イアン・カーショー

■社会がつくった特異な扇動家  著者は「ナチズム研究」では国際的に名の知られた英国の研究者である。本書は20年近く前に刊行された大部の書だが、やっと邦訳が出た。  20世紀になぜヒトラーのような指導者が生まれたのか、そ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

アイヌの遺骨はコタンの土へ―北大に対する遺骨返還請求と先住権 [編著]北大開示文書研究会

アイヌの遺骨はコタンの土へ―北大に対する遺骨返還請求と先住権 [編著]北大開示文書研究会

■帝国時代の学問の後進性を暴く  帝国主義時代の学問的研究が人権意識の定着した現代社会から厳しく糾弾されている。それに対応しえない研究空間の後進性を暴くのが本書のモチーフだ。  帝国大学医科大学(現・東大医学部)教授の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年06月26日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

沖縄戦と孤児院―戦場の子どもたち [著]浅井春夫

沖縄戦と孤児院―戦場の子どもたち [著]浅井春夫

 戦争孤児の実態について、とくに沖縄戦における内実はほとんど検証されていない。著者はその空白の領域に挑んだ。  もともと沖縄には孤児院や養老院は存在していなかった。共同体での扶助の精神があったからだろう。それが戦争によっ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年06月05日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

真実―私は「捏造記者」ではない [著]植村隆

真実―私は「捏造記者」ではない [著]植村隆

■幾重にも浮かぶこの社会の病理  従軍慰安婦問題の本質は2点ある。その1は、「軍隊と性」で、古代ローマ以来、性病によって軍隊が機能しなくなることへの懸念である。その2は、20世紀の軍隊と性は、それぞれの国の政治体制によ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]政治 社会

新聞と憲法9条―「自衛」という難題 [著]上丸洋一

新聞と憲法9条―「自衛」という難題 [著]上丸洋一

 日本国憲法施行から69年。その草創期を5年ごとの三つのステージに分けて、それぞれの時代に憲法9条がどのような辛酸をなめたのか、本書はそれを丹念に追いかけた。いわば憲法9条が激流をいかに泳いだか確かめた書だ。  三つのス………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年05月01日
[ジャンル]政治 社会

アウシュヴィッツの囚人写真家 [著]ルーカ・クリッパ、マウリツィオ・オンニス

アウシュヴィッツの囚人写真家 [著]ルーカ・クリッパ、マウリツィオ・オンニス

■消せない記録、カメラが伝える  ポーランドの写真家ヴィルヘルム・ブラッセ(2012年死去)のアウシュヴィッツ体験を、2人のイタリア人ライターがノンフィクション・ノベルとしてまとめたのが本書である。ナチスは、当初アウシ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年04月24日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

戦争を悼む人びと [著]シャーウィン裕子

戦争を悼む人びと [著]シャーウィン裕子

 戦場体験を語り継ぐには勇気と理性が必要だ。それから逃げるには「そんな史実はない」と遁辞(とんじ)を弄(ろう)することだ。本書の行間に流れるのは、そういう歴史修正主義者への怒りである。  著者は大学卒業後、米国、スイスに………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年04月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

岡村昭彦と死の思想―「いのち」を語り継ぐ場としてのホスピス [著]高草木光一

岡村昭彦と死の思想―「いのち」を語り継ぐ場としてのホスピス [著]高草木光一

■「破天荒な生」から死を考える  岡村昭彦は1960年代、「ライフ」誌を舞台にベトナム戦争報道でデビューし、70年代も報道写真家、80年代以降はバイオエシックスとホスピスの探求者として、歴史に名を残している。その死から………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

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