穂村弘(歌人)の書評

写真:穂村弘さん

穂村弘 (歌人)
1962年北海道生まれ。歌人。歌集に『シンジケート』『ドライドライアイス』『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』のほか、詩集『求愛瞳孔反射』、評論『短歌の友人』(伊藤整文学賞)、エッセー集『世界音痴』『楽しい一日』(短歌研究賞)『絶叫委員会』など。

古書の森 逍遙 明治・大正・昭和の愛しき雑書たち [著]黒岩比佐子

古書の森 逍遙 明治・大正・昭和の愛しき雑書たち [著]黒岩比佐子

■昔の本から新しい「今」を切り開く  色々な雑誌の最新号を読む度に面白く思う半面、微妙に不安な気持ちになる。それによって、自分が「今」から遅れている事実を確認させられるからだ。しかも、そんな風に外から一方的に教えられて………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2010年09月12日
[ジャンル]歴史 社会 ノンフィクション・評伝

小さいおうち [著]中島京子著 

小さいおうち [著]中島京子著 

■時のギャップが生む幻のきらめき  眠るように亡くなったおばあちゃんの帯の間から、お互い好きだったのに結ばれなかった青年の写真が出てきた、という話をきいたことがある。がーんとなってじーんとした。奇妙なことにその中には「………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2010年08月22日
[ジャンル]文芸

春日井建全歌集 [著]春日井建著 

春日井建全歌集 [著]春日井建著 

■生のただ中に降る、死の流星群のよう  二〇〇四年に亡くなった春日井建の全歌集である。第一歌集『未青年』から第九歌集『朝の水』までの作品が収められている。その序文に三島由紀夫が「われわれは一人の若い定家を持つたのである………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2010年07月25日
[ジャンル]文芸

オーディンの鴉 [著]福田和代

オーディンの鴉 [著]福田和代

■ネット監視の恐怖描くミステリー インターネット上の書店やオークションを利用していると、商品を奨(すす)められるようになる。現実世界の「いらっしゃい、いらっしゃい、旬の野菜がお買い得だよ」という不特定多数への呼び掛けと………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2010年05月16日
[ジャンル]文芸

悦楽王 [著]団鬼六

悦楽王 [著]団鬼六

■異様な個性も失敗も許す柔らかさ  SM小説の第一人者による自伝的長編である。70年代に「SMキング」誌を自ら立ち上げて廃刊となるまでの出来事が中心になっている。エログロの過激な世界をイメージして読み始めたのだが、どう………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2010年04月11日
[ジャンル]文芸

老人賭博 [著]松尾スズキ

老人賭博 [著]松尾スズキ

■読者に感動許さぬ登場人物たち  感動モノが嫌だ。本でも映画でも、感動モノじゃないだろうな、とまず疑いの目を向ける。感動が嫌いなのか、というとそうではない。むしろその逆だ。でも、感動モノで感動するのは嫌なのだ。私の感動………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2010年02月21日
[ジャンル]文芸

のぼりくだりの… [詩]まど・みちお[絵]保手濱拓

のぼりくだりの… [詩]まど・みちお[絵]保手濱拓

■100歳の生の実感「ごおーっ」  作者は童謡「ぞうさん」で知られる詩人。昨年百回目の誕生日を迎えたらしい。  「耳をすますと/また聞こえる/このま夜中に/重たーい闇がな/俺(おれ)の耳の奥の奥に/休みもせんでな/ごお………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2010年01月24日
[ジャンル]文芸

啄木-ふるさとの空遠みかも [著]三枝たか之 

啄木-ふるさとの空遠みかも [著]三枝たか之 

■小説家の夢破れ、歌で名を残す謎  「最後の望みを託した東京にもやはり居場所はなかった。居場所を求め続けて求められなかった男。それが故郷を出た後の啄木だった」  北海道に別れを告げた日から東京で死を迎えるまでの四年間、………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2009年12月06日
[ジャンル]文芸

書肆ユリイカの本 [著]田中栞 

書肆ユリイカの本 [著]田中栞 

■美の小宇宙を味わい尽くす  美しい腕時計や本が買いたくなる。どうして腕時計と本なのかというと、どちらも小宇宙を感じさせるからだ。そのなかに一つの世界が閉じ込められていることに惹(ひ)かれる。本当は世界や人生が美しくあ………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2009年10月25日
[ジャンル]歴史 人文 社会

函館水上警察 [著]高城高

函館水上警察 [著]高城高

■懐かしい言葉が生きていた世界  明治期の函館を舞台とした物語である。誇り高く生き生きとした登場人物が魅力的だ。例えば、女の身で港の回漕(かいそう)荷役問屋の支配人を務める塙藤緒(はなわふじお)。  「私に英語教えて下………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2009年09月13日
[ジャンル]文芸

幻想の重量 葛原妙子の戦後短歌 [著]川野里子

幻想の重量 葛原妙子の戦後短歌 [著]川野里子

■人間の孤独な戦いという逆説  「幻視の女王」「魔女」「黒聖母」「ミュータント」などの異名をもつ伝説の歌人葛原妙子。だが、本書においては、彼女の画期的な文体が、実は短歌の定型空間のなかで誰よりも「人間」であろうと願い、………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2009年08月02日
[ジャンル]文芸

ヤイトスエッド [著]吉村萬壱

ヤイトスエッド [著]吉村萬壱

■「変」が爆発的に加速して…  〈自動販売機で缶コーヒーを買おうとすると、余りにも種類が多いのでどれがいいのか決められなくて困ります。「缶コーヒー」という釦(ボタン)を押すと、一種類の缶コーヒーだけが出てくるというのが………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2009年07月05日
[ジャンル]文芸

鷺と雪 [著]北村薫

鷺と雪 [著]北村薫

■時代の運命に愛の言葉を重ね  宝石をみせられたとき、私たちは「綺麗(きれい)」と感じる。と同時に、「本物?」と思うのではないか。美しいもの、素晴らしいものをみせられると、反射的にその両方の気持ちが浮上するらしい。  ………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2009年06月14日
[ジャンル]文芸

キャンバスの匂い―ボクシング・コラム集 [著]藤島大

キャンバスの匂い―ボクシング・コラム集 [著]藤島大

■言葉の入れない世界に立つ「詩」    ボクシングや将棋について書かれた文章が好きだ。  ふたりの人間が戦って勝者と敗者が生まれる。結果だけなら一目瞭然(りょうぜん)。でも、そこで何が起きたのかはわからない。「結果」と………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2009年05月24日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

派遣ちゃん [著]宮崎誉子

派遣ちゃん [著]宮崎誉子

■なんて夢がなくて面白いんだろう  『派遣ちゃん』を読んだとき、なんて夢がなくて、なんて面白いんだろう、と思った。夢がなくて面白いとは、変な言い方にきこえるかもしれない。  でも、夢を持たないと現実が直視できる。それま………[もっと読む]

[評者]穂村弘(歌人)
[掲載]2009年04月05日
[ジャンル]文芸

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