楊逸(作家)の書評

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楊逸 (作家)
1964年中国ハルピン生まれ。87年に来日。2007年『ワンちゃん』(文學界新人賞)で作家デビュー。08年『時が滲む朝』で芥川賞受賞。他に『金魚生活』『すき・やき』『陽だまり幻想曲』、エッセー集に『おいしい中国』など。

望遠ニッポン見聞録 [著]ヤマザキマリ

望遠ニッポン見聞録 [著]ヤマザキマリ

■世界で感じた「おしん」な私  我慢強く、感情を滅多(めった)に露(あら)わにせず、一億人が総「おしん」、というのは外国人が思う日本人(=おしん)像である。17歳の時イタリア留学したことをきっかけに、以来海外で暮らす著………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年04月29日
[ジャンル]社会

紅茶スパイ 英国人プラントハンター 中国をゆく [著]サラ・ローズ

紅茶スパイ 英国人プラントハンター 中国をゆく [著]サラ・ローズ

■変装し危険冒して、最高の木と製法を  いつも緑茶とお煎餅(せんべい)で埋めているおやつの時間を、たまに焼きあがったばかりのスコーンと一緒に薫り高いダージリンティーを飲んで過ごすと、不思議に優雅な気分になる。紅茶を飲ん………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年02月19日
[ジャンル]歴史 国際

執事とメイドの裏表―イギリス文化における使用人のイメージ [著]新井潤美

執事とメイドの裏表―イギリス文化における使用人のイメージ [著]新井潤美

■文芸作品に探る階級社会の文化  昨年、「家政婦のミタ」というドラマが大ヒットしたようだ。見ていなかったのが残念だが、宣伝ポスターに写った主人公の無表情な顔を眺めると、古いイギリス映画によく見る「厳しくて威厳がある」「………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年01月22日
[ジャンル]歴史 社会

旅人は死なない [著]リシャール・コラス

旅人は死なない [著]リシャール・コラス

■孤独求め、クールな語り口19編  「広い世界をひとりでさまようのは、さみしくないのかい?」  「ええ、もちろん。さみしいからこそ、ひとりで旅するんです……」  本書の表題作になった物語の中の会話である。著者の地声が耳………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2012年01月15日
[ジャンル]文芸

ジェントルマン [著]山田詠美

ジェントルマン [著]山田詠美

■様々な性と愛の形、凄絶な結末  抜群の容姿、優しくて立ち居振る舞いも優雅、その上勉強が出来、スポーツも堪能。自分の居場所を一番でなく、常に二番に据えておく加減の良いセンス。——そんなジェントルマンの高校生、もはや天性………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年12月18日
[ジャンル]文芸

鷹匠の技とこころ―鷹狩文化と諏訪流放鷹術 [著]大塚紀子

鷹匠の技とこころ―鷹狩文化と諏訪流放鷹術 [著]大塚紀子

■数千年も生き残った伝統猟法  凜々(りり)しい姿の鷹(たか)を拳に据えた凜々しい女性鷹匠(著者)。冒頭の写真に「一目ぼれ」して一気に読み終わった。  神話の時代から猛禽(もうきん)は強さや幸運の象徴だった。神武天皇の………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年11月20日
[ジャンル]科学・生物

旅行く孫悟空―東アジアの西遊記 [著]磯部彰

旅行く孫悟空―東アジアの西遊記 [著]磯部彰

■日本ではカッパになった沙悟浄  中国の五大古典小説とされている『三国志演義』『西遊記』『水滸伝』『金瓶梅』『紅楼夢』。そのいずれも古くから日本に伝わった。翻訳本のほか、日本人好みの再創作、いわゆる翻案小説が今も出版さ………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年11月06日
[ジャンル]人文

チャイナドレスの文化史 [著]謝黎

チャイナドレスの文化史 [著]謝黎

■懐旧ブームで復活遂げるまで  チャイナドレスは中国語で「旗袍(チーパオ)」という。外国では中国の伝統服とされてきたが、「旗」は八旗の意で、それに「長い服」を表す「袍」と合わせ、清王朝の支配階級(漢民族にとっては、外来………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年10月23日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子 [著]酒井伸雄

文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子 [著]酒井伸雄

■身近な物たちの偉大な「素顔」  「文明を変えた植物たち」とあって、開けば、ジャガイモから、ゴム、チョコレート、トウガラシ、タバコ、トウモロコシの6章に解説の終章をプラスした編成になっている。どれもあまりに身に「馴染(………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年09月25日
[ジャンル]科学・生物 新書

厳復(げんふく)―富国強兵に挑んだ清末思想家 [著]永田圭介

厳復(げんふく)―富国強兵に挑んだ清末思想家 [著]永田圭介

■中国で生きなかった近代思想  厳復――その偉大さを日本人にわかりやすく伝えるためか、本書の帯に「中国の福沢諭吉」の文字が躍る。トマス・ハクスリーの『進化と倫理』をはじめ、ハーバート・スペンサーの『社会学研究』やアダム………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年09月11日
[ジャンル]歴史

ふたつの故宮博物院 [著]野嶋剛

ふたつの故宮博物院 [著]野嶋剛

■中国史を反映する分裂した文物  中国には、故宮博物院が二つある。一つは北京、一つは台北に。私はその両方とも九〇年代に訪れたことがある。  台北で清明上河図と翠玉(すいぎょく)白菜を見て大いに興奮した。展示品の多くは通………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年08月21日
[ジャンル]歴史 人文

チーズの歴史―5000年の味わい豊かな物語 [著]アンドリュー・ドルビー

チーズの歴史―5000年の味わい豊かな物語 [著]アンドリュー・ドルビー

■ヨーロッパ文化を凝縮した味  良いチーズとは、〈アルゴスでなくヘレネでなくマグダラのマリアでなく、ラザロとマルティヌスが教皇に口答えをする〉という「六つの特質」を備えていなければならない。これは「(トロイの)ヘレネの………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年08月07日
[ジャンル]歴史 人文

犯罪 [著]フェルディナント・フォン・シーラッハ

犯罪 [著]フェルディナント・フォン・シーラッハ

■罪を犯した者の悲しみ際だつ  犯罪——このストレートなタイトルからは、つい反射的に推理小説や警察小説を連想してしまう。しかし本書は、トリックを解いたり犯人捜しをしたり、あるいは警察や権力の裏に隠された闇を暴くといった………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年07月24日
[ジャンル]文芸

紫式部の欲望 [著]酒井順子

紫式部の欲望 [著]酒井順子

■「したい」の塊、才女の素顔に迫る  『源氏物語』——日本文学史上最高傑作である。読まなければと焦るものの、古典の持つ近寄り難いイメージや、54帖(じょう)・100万字というとてつもない長さなどの壁にぶち当たり、なかな………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年06月26日
[ジャンル]文芸

字幕の名工―秘田余四郎とフランス映画 [著]高三啓輔

字幕の名工―秘田余四郎とフランス映画 [著]高三啓輔

■原語の真髄伝える創作的妙  ハクスリーの『進化と倫理』を「天演論」と名付けて初めて中国に紹介した厳復は、翻訳について「信達雅」という三字ポリシーを持っていた。信は原作に忠実であること。達は原作の真髄(しんずい)まで伝………[もっと読む]

[評者]楊逸(作家)
[掲載]2011年06月12日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

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