鷲田清一(大谷大学教授・哲学)の書評

写真:鷲田清一さん

鷲田清一 (大谷大学教授・哲学)
1949年京都市生まれ。大阪大総長をへて大谷大教授。現象学・身体論の視点から、医療や介護、教育の現場などに哲学の思考をつなぐ「臨床哲学」にも取り組む。著書に『モードの迷宮』(サントリー学芸賞)『「聴く」ことの力』(桑原武夫学芸賞)『「ぐずぐず」の理由』(読売文学賞)『メルロ=ポンティ可逆性』など。

カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活 [著]増谷和子

カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活 [著]増谷和子

■生きることは楽しい、信頼の根  生涯、鳥取県・境港で家族や地元の人をモデルに撮りつづけた植田正治の思い出を、残された作品の別バージョンや家族の撮った写真などを添えて、長女・和子が語り下ろす。ファンにはたまらない一冊だ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年04月14日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

書簡で読むアフリカのランボー [著]鈴村和成

書簡で読むアフリカのランボー [著]鈴村和成

■詩作放棄した後半生の意味問う  一人の男が生きた二つの人生。二十歳まで詩人として駈(か)けぬけた数年と、五年間の放浪のあと、アフリカでコーヒー交易商人、武器商人、僻地(へきち)の探検家として生きた十余年。きれいさっぱ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年03月10日
[ジャンル]文芸

人間とミジンコがつながる世界認識 私説ミジンコ大全 [著]坂田明

人間とミジンコがつながる世界認識 私説ミジンコ大全 [著]坂田明

■炸裂する演奏につながる生物  愛さないと見えないものがあるのかもしれない。この本のなかでさりげなく書きとめられているメダカの姿、水の流れくる方向に頭を向けて必死で止まっているメダカを愛(いと)おしむ坂田明の、その気持………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年03月03日
[ジャンル]科学・生物

放射能問題に立ち向かう哲学 [著]一ノ瀬正樹

放射能問題に立ち向かう哲学 [著]一ノ瀬正樹

■「不明なこと・偽の問題」明確に  放射線被曝(ひばく)の人体への影響という、深刻で、しかも風評が飛び交う議論に、〈不寝番〉の役を買って出る哲学研究者が、ようやっと現れた。  被災地外で子供たちを守るためになされるそれ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年02月24日
[ジャンル]社会

宗教のレトリック [著]中村圭志

宗教のレトリック [著]中村圭志

■「語り」への着目、目からうろこ  「かたり」が「語り」でもあれば「騙(かた)り」でもあるということには深い含みがある。マコトの語りとダマシの語りの差をないものにしてしまうからだ。それは「在るもの」と「作られたもの」の………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2013年02月03日
[ジャンル]人文

ヴェールの政治学 [著]ジョーン・W・スコット

ヴェールの政治学 [著]ジョーン・W・スコット

■仏共和制の矛盾、映し出した排除  2004年、フランス議会は、公立学校において宗教的帰属を「誇示」するアイテムの着用を禁じた法律を可決した。10年には、公共の場で顔を覆い隠す服装を禁止する法律を成立させた。標的とされ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年12月16日
[ジャンル]政治

アメリカの越え方―和子・俊輔・良行の抵抗と越境 [著]吉見俊哉

アメリカの越え方―和子・俊輔・良行の抵抗と越境 [著]吉見俊哉

■三人三様の道筋、立体的に対置  なぜ「アメリカを越える」ことが課題なのか? 東アジアにおいて戦前の日本の植民地主義が戦後、そっくりアメリカの覇権構造に引き継がれた点で、大日本帝国の崩壊と冷戦の激化のあいだには構造的な………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年12月09日
[ジャンル]社会 国際

団地の空間政治学 レッドアローとスターハウス [著]原武史

団地の空間政治学 レッドアローとスターハウス [著]原武史

■戦後の地下水脈、掘り起こす発見  昨年まで大阪の千里ニュータウンに暮らしていた。単身赴任ということもあって、10年暮らしても、その地域コミュニティの一員であるという感覚に浸ることはついになかった。床屋の親父(おやじ)………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年10月28日
[ジャンル]社会

プラトン―理想国の現在 [著]納富信留

プラトン―理想国の現在 [著]納富信留

■「正義なす理由」に迫る意義  「理想」という語は、明治の初頭にプラトンの「イデア」の訳として造語され、「観念」という訳語とともに爆発的に広まった。「理想」は今日では青臭い夢想か、「理想の家庭」「理想的な体重」といった………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年09月23日
[ジャンル]政治 人文

街場の文体論 [著]内田樹

街場の文体論 [著]内田樹

■学生に伝えた言葉の生成的経験  官僚による大臣の答弁原稿から企業の謝罪広告まで(ひょっとしたら学校での「自由作文」も?)、だれに宛てて書かれているのかが不明な文章が溢(あふ)れている。ネット上では、暗闇のなかから礫(………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年09月16日
[ジャンル]教育 人文

世界が土曜の夜の夢なら―ヤンキーと精神分析 [著]斎藤環

世界が土曜の夜の夢なら―ヤンキーと精神分析 [著]斎藤環

■悪趣味に潜むふるまいの原型  「なんちゅうても、まっ先に来てくれたのは金髪のにいちゃんらやった」。神戸の震災のときに地の人から聴いた言葉である。地べた座りや車の爆音に閉口していたはずなのに、このとき感じた妙な安堵(あ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年08月19日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

市場社会と人間の自由―社会哲学論選 [著]カール・ポランニー

市場社会と人間の自由―社会哲学論選 [著]カール・ポランニー

■思索の過程、うかがえる論集  「経済成長」という、政治家や企業家の意識をいまなおがんじがらめにしている強迫観念に、はっきりと「失効」を突きつけるべき時期がきていると考えるむきは少なくない。教育や医療や地域生活が市場の………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年07月22日
[ジャンル]社会

時の余白に [著]芥川喜好

時の余白に [著]芥川喜好

■骨太の主張、謙虚な語り口で  美術へのまなざしにはもっと広がりがあってよいとおもう。「芸術的価値」の高い作品を前にしてかしこまるのも結構だ。地域や施設でのワークショップという、生活意識の傍らにアートを溶かし込むという………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年07月01日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

VANから遠く離れて―評伝石津謙介 [著]佐山一郎

VANから遠く離れて―評伝石津謙介 [著]佐山一郎

■先見性を養った人脈と反骨  戦後はじめて10代男子がファッションに心も体もかきむしられた時期がある。60年代、その火をつけたのがVANの石津謙介だ。以後、消費文化がミドルティーンにまで下降し、ファッショナブルという感………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年05月20日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

貧困待ったなし!―とっちらかりの10年間 [編]自立生活サポートセンター・もやい

貧困待ったなし!―とっちらかりの10年間 [編]自立生活サポートセンター・もやい

■親密な場所と組織化の矛盾  この社会の貧困の問題に最底辺のところで対応してきた支援グループの、あまりに率直な、そして考えぬかれた地声の中間総括である。  所持金・平均500円で、何もかもが立ちゆかなくなった人びと。そ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年05月06日
[ジャンル]社会

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