蜂飼耳(詩人・作家)の書評

写真:蜂飼耳さん

蜂飼耳 (詩人・作家)
はちかい・みみ。1974年生まれ。詩集『いまにもうるおっていく陣地』(中原中也賞)、『食うものは食われる夜』(芸術選奨新人賞)、『顔をあらう水』(鮎川信夫賞)、絵本『うきわねこ』(産経児童出版文化賞ニッポン放送賞)。主な小説集に『紅水晶』、文集に『空席日誌』『おいしそうな草』など。

日本語のために―日本文学全集30 [編]池澤夏樹

日本語のために―日本文学全集30 [編]池澤夏樹

■祝詞から憲法までの言葉の姿  思考と文体は相互に影響し合う。リテラシー(読み書き能力)は時代とともに変化する。日本語はどのように変遷してきたのか。本書は、古代から現代までのさまざまな「文体のサンプル」と考察から成るア………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年10月02日
[ジャンル]文芸 人文 社会

あの夏、兵士だった私―96歳、戦争体験者からの警鐘 [著]金子兜太

あの夏、兵士だった私―96歳、戦争体験者からの警鐘 [著]金子兜太

 九七歳になる俳人の金子兜太が、戦争体験を軸に据え、これまでの人生と俳句を語る。海軍に属して南方第一線を希望し、旧南洋諸島のトラック島に配属された若い日。その戦場は「郷土の期待」「祖国のために」などのスローガンや「美学」………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年09月18日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

怪物君 [著]吉増剛造 心に刺青をするように [著]吉増剛造

怪物君 [著]吉増剛造 心に刺青をするように [著]吉増剛造

■虚実の間、捉える言葉を探る  言葉で表された詩が「わかる・わからない」という判断と対面させられる場合、それは主に、意味や文脈においてのことだ。「わからない」と感じるとき、判断の足場は、たとえば制度として習う日本語が持………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年09月04日
[ジャンル]文芸

鮎川信夫、橋上の詩学 [著]樋口良澄

鮎川信夫、橋上の詩学 [著]樋口良澄

 戦後、詩の雑誌「荒地(あれち)」の中心メンバーとなり、詩と批評の執筆に力を注ぎ、現代詩の歩みに大きな影響を与えた詩人・鮎川信夫。今年は没後三十年だ。  本書は、その詩と背景に踏みこむ労作。著者は編集者として晩年の鮎川に………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年08月28日
[ジャンル]文芸

川原慶賀の「日本」画帳―シーボルトの絵師が描く歳時記 [編]下妻みどり

川原慶賀の「日本」画帳―シーボルトの絵師が描く歳時記 [編]下妻みどり

 江戸時代、幕府の鎖国政策のもとで唯一開かれていた長崎の出島。今年没後一五〇年のオランダ商館医・シーボルトは、さまざまな情報や文物を持ち帰り、ヨーロッパにおける日本研究の基礎を作った。  長崎の絵師・川原慶賀は、シーボル………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]歴史

私の消滅 [著]中村文則

私の消滅 [著]中村文則

■悪意に操られる記憶と人格  記憶は、個人の同一性と結びつく。それなら、記憶が操作され、実際とは異なる記憶がはめこまれたら、人は別人格を生きることになるのか。本書は、悪意と暴力、記憶と人格が描出する見えない線への挑戦だ………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]人文 社会

愉しき夜―ヨーロッパ最古の昔話集 [著]ストラパローラ

愉しき夜―ヨーロッパ最古の昔話集 [著]ストラパローラ

 ヨーロッパの昔話といえばペローやグリムが思い浮かぶ。それらの成立に重要な影響を与えたのが十六世紀半ばにヴェネツィアで出版された『愉(たの)しき夜』だ。作者ストラパローラは、民間伝承の魅力と面白さに記述文学としての可能性………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

大岡信の詩と真実 [編]菅野昭正

大岡信の詩と真実 [編]菅野昭正

■歴史を意識した詩人の多面性  大岡信といえば、「折々のうた」を思い浮かべる人は多いだろう。古代から現代までの詩歌をめぐるコラム。本紙朝刊に、一九七九年から二〇〇七年まで、多少の休筆期間をおきながら連載された。その回数………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]文芸

詩のトポス 人と場所をむすぶ漢詩の力 [著]齋藤希史

詩のトポス 人と場所をむすぶ漢詩の力 [著]齋藤希史

■土地と言葉をめぐる上質な旅  現代日本語は、漢詩文を捨てることで出来てきた。齋藤希史はいくつかの著書においてそう指摘してきた。漢字・漢詩文を核として展開する言葉の世界を「漢文脈」と呼び、それを知ることは、素養や文化遺………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

大きな鳥にさらわれないよう [著]川上弘美

大きな鳥にさらわれないよう [著]川上弘美

■未来の人類、揺らぎに共鳴  滅亡の危機に直面する、未来の人類。川上弘美が長編小説『大きな鳥にさらわれないよう』で描くのは、数を減らした人類の生態とそれを取り巻くシステムだ。ネズミやイルカなど、さまざまな生き物の細胞か………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]文芸

日本文学源流史 [著]藤井貞和

日本文学源流史 [著]藤井貞和

■新たな〈発生〉うながす視点  藤井貞和は、独自の視点に立つこの文学源流史を描き出すにあたって、折口信夫の〈発生〉の考え方をこう解釈する。それは「繰り返し発生する動態」のことではないかと。源流は一つではない、という捉え………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年04月24日
[ジャンル]人文

乱舞の中世 白拍子・乱拍子・猿楽 [著]沖本幸子

乱舞の中世 白拍子・乱拍子・猿楽 [著]沖本幸子

 中世初期に流行した即興的な舞、乱舞。その中で、リズミカルな芸能として登場したのが、白拍子・乱拍子だ。これらは、いまでは滅びたが、現代に伝わる能の根源でもある〈翁(おきな)〉の成り立ちに、深く関わっているという。即興舞が………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年04月17日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

「文系学部廃止」の衝撃 [著]吉見俊哉

「文系学部廃止」の衝撃 [著]吉見俊哉

■「目的や価値の軸」創造する知  昨年六月に文部科学省が出した「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」の通知は、各メディアによって「国が文系学部を廃止しようとしている」と報じられ、大きな波紋を広げた。著者は………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年03月27日
[ジャンル]教育 社会

レモン畑の吸血鬼 [著]カレン・ラッセル

レモン畑の吸血鬼 [著]カレン・ラッセル

■生の断面鮮やか、奇想天外な物語  カレン・ラッセル『レモン畑の吸血鬼』は、一作ごとにまったく違う味わいの、八編の小説を収める。「お国のための糸繰り」は、明治期の日本、製糸場と女工の労働への関心から発想されたという。一………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年03月13日
[ジャンル]文芸

墨痕―書芸術におけるモダニズムの胎動 [著]栗本高行

墨痕―書芸術におけるモダニズムの胎動 [著]栗本高行

■文字か形象か、本質捉える挑戦  書は文字か、それとも形象だろうか。何という言葉が書かれているかを読もうとするならば、それは文学作品に通じる視点。一方、文字がどんな輪郭や線で構成されているかに着目するなら、それは視覚的………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]文芸

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