末國善己(文芸評論家)の書評

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末國善己 (文芸評論家)

壁の男 [著]貫井徳郎

壁の男 [著]貫井徳郎

■問いを投げかける“最後の一撃”  貫井徳郎の新作は、陰惨な殺人事件を追うライターが、関係者の意外な過去にたどり着く『愚行録』『微笑(ほほえ)む人』を思わせるテイストになっている。ただ今回の題材は殺人ではなく、町中の壁………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

最も危険なアメリカ映画 [著]町山智浩

最も危険なアメリカ映画 [著]町山智浩

 人種差別を煽(あお)り、白人労働者階級の心をくすぐる過激な言動で物議を醸したトランプが、アメリカ次期大統領に選ばれた。だが著者は、トランプに熱狂した不寛容で、反知性主義的なアメリカは、既に多くの映画で描かれてきたという………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

死者は語らずとも [著]フィリップ・カー

死者は語らずとも [著]フィリップ・カー

■差別や社会の闇に挑むヒーロー  ナチ嫌いのグンターが活躍するシリーズは、1936年のベルリンに始まり、第5弾は50年のアルゼンチンが舞台となっていた。  第6弾の本書は、第1弾の2年前のエピソードなので、シリーズ初見………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年12月11日
[ジャンル]政治 社会

ニッポン エロ・グロ・ナンセンス―昭和モダン歌謡の光と影 [著]毛利眞人

ニッポン エロ・グロ・ナンセンス―昭和モダン歌謡の光と影 [著]毛利眞人

 昭和初期のモダン文化の特徴は、エロ、グロ、ナンセンスだった。表現の規制を受けながらも小説、映画などで華開いた昭和モダンの中に、色恋が題材のエロ歌謡があったことは、本書を読むまで知らなかった。  著者は、モボ、モガ、カフ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]文芸 アート・ファッション・芸能

室町無頼 [著]垣根涼介

室町無頼 [著]垣根涼介

■常識を疑う力、閉塞感打ち破る  垣根涼介の2作目の歴史小説は、寛正の土一揆をクライマックスにしている。そのため、南米移民が、自分たちを切り捨てた日本政府に復讐(ふくしゅう)する著者の代表作『ワイルド・ソウル』を思わせ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年11月27日
[ジャンル]歴史 文芸

分かれ道ノストラダムス [著]深緑野分

分かれ道ノストラダムス [著]深緑野分

 『戦場のコックたち』が高く評価された著者の新作は、ノストラダムスの大予言が注目を集めていた1999年の日本を舞台にした青春ミステリーである。  高1のあさぎは、2年前に死んだ友人・基(もとき)の祖母から、日記を渡される………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年11月13日
[ジャンル]文芸

エスカルゴ兄弟 [著]津原泰水

エスカルゴ兄弟 [著]津原泰水

 幅広いジャンルで活躍している著者の新作は、料理小説。高級なエスカルゴから油揚げにチーズをはさんだ庶民派まで、おいしそうな料理が出てくるので、読めばお腹(なか)がへるだろう。  出版社をリストラされた柳楽尚登は、カメラマ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年10月30日
[ジャンル]文芸

現代ゲーム全史―文明の遊戯史観から [著]中川大地

現代ゲーム全史―文明の遊戯史観から [著]中川大地

■社会変えた歴史に迫る本格批評  今年6月に出た小山友介『日本デジタルゲーム産業史』(人文書院)など、デジタルゲームの歴史を総括する労作が増えている。本書もその一つで、黎明期(れいめいき)から「ポケモンGO」に至る日米………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年10月09日
[ジャンル]政治 社会

光炎の人(上・下) [著]木内昇

光炎の人(上・下) [著]木内昇

■時代に翻弄(ほんろう)される技術者の野心  愛媛県出身の秋山好古、真之兄弟と正岡子規を主人公にした司馬遼太郎『坂の上の雲』は、日本が下瀬火薬、三六式無線機などの新技術を開発したからこそ、日露戦争に勝てたとする技術史観………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年10月02日
[ジャンル]歴史 人文 社会

治部の礎 [著]吉川永青 天下を計る [著]岩井三四二

治部の礎 [著]吉川永青 天下を計る [著]岩井三四二

■今に通じる戦国武将たちの奮闘  大河ドラマ「真田丸」が、関ケ原の合戦に向けて盛り上がっている。タイムリーなことに、関ケ原の負け組を再評価する歴史小説が2冊続けて刊行された。  吉川永青『治部(じぶ)の礎(いしずえ)』………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年09月11日
[ジャンル]歴史 文芸

晩秋の陰画 [著]山本一力 ずんずん! [著]山本一力

晩秋の陰画 [著]山本一力 ずんずん! [著]山本一力

■成果を誇らず地道に働く美徳  近年、乙川優三郎、伊東潤ら、歴史時代小説作家の現代小説への進出が相次いでいる。人情時代小説で人気の著者も、立て続けに2冊の現代小説を刊行した。  『晩秋の陰画』は、4作を収録した短編集で………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年09月04日
[ジャンル]文芸

ビビビ・ビ・バップ [著]奥泉光

ビビビ・ビ・バップ [著]奥泉光

■AIの時代に、人とは何か問う  伝奇小説の名作を残した国枝史郎は、複雑怪奇に入り組んだ自作を即興性の高いジャズになぞらえた。主人公が、国枝を敬愛した半村良の『妖星伝』を読んでいる本書も、ジャズを題材に、SFや推理小説………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]文芸

帰郷 [著]浅田次郎

帰郷 [著]浅田次郎

■戦中と戦後つなげる想像力喚起  戦争を描くことをライフワークにしている著者の新作は、六作の戦争小説を収めた短編集である。戦争小説は最前線で戦う兵士を主人公にしがちだが、本書は戦争が巻き起こす様々な影響を掘り起こすこと………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸

半席 [著]青山文平

半席 [著]青山文平

 男女の相克を描く短編集『つまをめとらば』で直木賞を受賞した著者の受賞後第一作は、男同士の複雑な関係に迫る連作集である。  御家人の片岡直人は、役職のない小普請から幕府の監察役・徒目付(かちめつけ)に抜擢(ばってき)され………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]歴史

赤い刻印 [著]長岡弘樹

赤い刻印 [著]長岡弘樹

 巧妙な伏線の推理小説で知られる著者の新作は、持ち味が楽しめる短編集だ。  中3の菜月は、時効寸前の事件を捜査している刑事の母・啓子から、祖母が生きていると聞かされ会いに行く。「赤い刻印」は、何げない母子の日常が、予期せ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]文芸

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