渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)の書評

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渡辺靖 (慶応大学教授・文化人類学)
1967年北海道生まれ。専門はアメリカ研究。著書に『アフター・アメリカ』(サントリー学芸賞)『アメリカン・センター』『アメリカン・コミュニティー』『アメリカン・デモクラシーの逆説』『文化と外交」、共著に『オバマ大統領』など。

協力がつくる社会 ペンギンとリヴァイアサン [著]ヨハイ・ベンクラー

協力がつくる社会 ペンギンとリヴァイアサン [著]ヨハイ・ベンクラー

■共感や協調を引き出す工夫  人を動かす常套(じょうとう)手段といえばアメと鞭(むち)。どちらも人間が私利私欲に満ちた存在だとする性悪説に根ざしている。人間とは「リヴァイアサン」(旧約聖書に出てくる巨大な海の魔獣)とい………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2013年05月05日
[ジャンル]人文

卒業式の歴史学 [著]有本真紀

卒業式の歴史学 [著]有本真紀

■日本に特有の「涙」はいつから  3月の風物詩といえば卒業式。ふと思い浮かべる曲は何だろう。〈仰げば尊し〉〈贈る言葉〉〈旅立ちの日に〉……。ハレの日にもかかわらず、そこにはうら悲しさが漂う。級友や恩師との別れに涙した人………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2013年04月21日
[ジャンル]歴史

プレジデント・クラブ―元大統領だけの秘密組織 [著]ナンシー・ギブス、マイケル・ダフィー

プレジデント・クラブ―元大統領だけの秘密組織 [著]ナンシー・ギブス、マイケル・ダフィー

■権力者の駆け引きや嫉妬活写  どんな組織や役職であれ前任者との距離の取り方は悩ましい。頼りになることもあれば、疎ましいこともある。こと米大統領という権力者間の関係となればなおさらだ。  本書はタイム誌のベテラン記者が………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2013年03月31日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

階級「断絶」社会アメリカ 新上流と新下流の出現 [著]チャールズ・マレー

階級「断絶」社会アメリカ 新上流と新下流の出現 [著]チャールズ・マレー

■「真のエリートとは」を問う  実に挑発的な米国論だ。  貧困や格差に関する本なら山ほどある。しかし、過去50年間に及ぶ豊富なデータを駆使して著者が描き出すのは、もはや同じ米国人としての行動様式や価値をほとんど共有しな………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2013年03月24日
[ジャンル]社会 国際

中国の強国構想 日清戦争後から現代まで [著]劉傑

中国の強国構想 日清戦争後から現代まで [著]劉傑

■論争から自己認識の変容活写  北京で生まれ、東大に学び、現在、早大で教鞭(きょうべん)を取る著者は、冷静かつ公平な日中関係史の研究で定評がある。  第一次安倍内閣で「日中友好」から「戦略的互恵関係」へと再定義された日………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2013年03月17日
[ジャンル]国際

コモンウェルス 上・下 [著]アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート

コモンウェルス 上・下 [著]アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート

■「所有」への呪縛、乗り越える概念  冷戦終結後の世界秩序の本質を〈帝国〉という概念で表し、世界的に注目される2人の最新作。  〈帝国〉といっても帝国主義の「帝国」とはまったく違う。グローバル資本主義による新たな支配の………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2013年02月24日
[ジャンル]社会 国際

政治的思考 [著]杉田敦

政治的思考 [著]杉田敦

■平易な文体、炯眼に満ちた言葉  巷(ちまた)に溢(あふ)れる政治の時局解説とは百八十度趣を異にする一冊。具体的な政党や人名は一切登場しない。目先の政策提言ともまるで無縁だ。あくまで〈政治〉の原点に私たちを誘い直すこと………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2013年02月17日
[ジャンル]政治

クライシス・キャラバン―紛争地における人道援助の真実 [著]リンダ・ポルマン

クライシス・キャラバン―紛争地における人道援助の真実 [著]リンダ・ポルマン

■善意めぐり、思惑と現実が交錯  〈人道援助〉には金科玉条の響きがある。この言葉をかざして正義の代理人を気取るのは容易(たやす)い。しかし、オランダ人の女性ジャーナリストが本書で告発する紛争地の現実はそんな思い上がりを………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2013年02月03日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

トクヴィルが見たアメリカ―現代デモクラシーの誕生 [著]レオ・ダムロッシュ

トクヴィルが見たアメリカ―現代デモクラシーの誕生 [著]レオ・ダムロッシュ

■旅と思索の軌跡、リアルに追体験  1831年春、仏貴族出身の判事修習生トクヴィルは友人ボモンと共に9カ月間の米国旅行に出発した。弱冠25歳。刑務所視察というのはあくまで口実。市民が大国を統治するという、人類初の試みか………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2013年01月13日
[ジャンル]歴史

訣別 ゴールドマン・サックス [著]グレッグ・スミス

訣別 ゴールドマン・サックス [著]グレッグ・スミス

■ウォール街の内実、臨場感で  1990年代以降、米金融業界では規制緩和が進み、銀行や証券の垣根を越えた合従連衡が加速した。今日では六つの巨大総合金融が強大な影響力を行使しており、その一つが老舗ゴールドマン・サックス社………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2012年12月09日
[ジャンル]経済

かつての超大国アメリカ [著]トーマス・フリードマン、マイケル・マンデルバウム

かつての超大国アメリカ [著]トーマス・フリードマン、マイケル・マンデルバウム

■リスク厭わぬ意志こそが希望  ピュリツァー賞を3度受賞した著名ジャーナリストと国際関係論の泰斗が診断する今日の米国社会。  それが本書の直接的なテーマだが、その先に照射されているのはより大きな、先進国全体の近未来とい………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2012年11月11日
[ジャンル]経済

拉致と決断 [著]蓮池薫

拉致と決断 [著]蓮池薫

■極限の24年間、圧巻の心情描写  何度も胸が締めつけられた。著者の境遇に自分を置こうと想像しても、あまりに過酷な現実を前に、つい本能的に思考回路を遮断してしまう。それでも読み続けた。  本書は北朝鮮に関する稀有(けう………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2012年11月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

メインストリーム 文化とメディアの世界戦争 [著]フレデリック・マルテル

メインストリーム 文化とメディアの世界戦争 [著]フレデリック・マルテル

■文化の向かう先、巨視的な視点で  低迷を続ける政治や経済を横目に、マンガ・アニメからファッション、料理まで、日本文化はこの10年で影響力を飛躍させた。  しかし、市場の細分化と国際競争が進むなか、10年後には日本を取………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2012年10月14日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 社会

その日東京駅五時二十五分発 [著]西川美和

その日東京駅五時二十五分発 [著]西川美和

■静謐感が醸す「戦争のリアル」  「終戦当日、ぼくは故郷広島に向かった。この国が負けたことなんて、とっくに知っていた」という帯文に惹(ひ)かれつつ、本書を手に取ることを少しためらった。巷(ちまた)での「あの戦争」の語ら………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2012年09月09日
[ジャンル]歴史 文芸

文明―西洋が覇権をとれた6つの真因 [著]ニーアル・ファーガソン

文明―西洋が覇権をとれた6つの真因 [著]ニーアル・ファーガソン

■博識満ちた語り、複眼的な視点で  かつて東洋の後塵(こうじん)を拝していた西洋は、なぜ1500年ごろから形勢を逆転できたのか。  「近代化に成功したから」「帝国主義を進めたから」といったお決まりの答えがすぐに返ってき………[もっと読む]

[評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)
[掲載]2012年08月19日
[ジャンル]歴史 人文

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