佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)の書評

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佐々木敦 (批評家・早稲田大学教授)
1964年名古屋市生まれ。映画、音楽、小説やサブカルチャーの評論を手がける。雑誌「エクス・ポ」「ヒアホン」編集人。著書に『「批評」とは何か? 批評家養成ギブス』『即興の解体/懐胎 演奏と演劇のアポリア』『小説家の饒舌』『批評時空間』など。音楽レーベル「HEADZ」代表。

コールド・スナップ [著]トム・ジョーンズ

コールド・スナップ [著]トム・ジョーンズ

■生々しい「声」で綴る魂の物語  舞城王太郎が登場した時、何よりもまず、その文体に、いや、その声=ヴォイスに衝撃を受けたものだった。それ以前に読んできた、いかなる小説とも全く異なった、畳み掛けるようなリズムと、切羽詰ま………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年10月19日
[ジャンル]社会

曽根中生自伝―人は名のみの罪の深さよ [著]曽根中生

曽根中生自伝―人は名のみの罪の深さよ [著]曽根中生

■映画のような人生、多角的に描く  曽根中生は1937年生まれ。東北大学を卒業後、日活に入社、助監督や脚本家を経て、日活がロマンポルノ路線に転じた71年に『色暦女浮世絵師』で監督デビュー、以来数々の傑作を発表。70年代………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年10月12日

エヴリシング・フロウズ [著]津村記久子

エヴリシング・フロウズ [著]津村記久子

■勇気ある正義描いた「中三小説」  ヒロシは中学三年生。平均より小柄で、離婚した母親と二人暮らし。絵を描くのが好きだが、自分よりも上手(うま)いのではと思う女子、増田の存在にややめげている。クラスでは地味な方だが、ソフ………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年09月28日
[ジャンル]文芸

男一代之改革 [著]青木淳悟

男一代之改革 [著]青木淳悟

■これは小説か 「変」な作家の企み  青木淳悟は変な作家である。しかもその「変」さは、ちょっとやそっとではない。彼の小説はどれもこれも、他の作家たちの書くものとは、まったく違っている。極端に言えば、彼の作品が「小説」な………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年09月14日
[ジャンル]文芸

サマータイム、青年時代、少年時代―辺境からの三つの〈自伝〉 [著]J・M・クッツェー

サマータイム、青年時代、少年時代―辺境からの三つの〈自伝〉 [著]J・M・クッツェー

■作家の孤独浮かぶ自伝的小説  南アフリカ共和国出身(現在はオーストラリア在住)のノーベル賞作家による自伝的フィクション三部作。自伝的フィクションという意味は読み進むうちにわかってくる。  少年ジョン(クッツェーのファ………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年08月24日
[ジャンル]文芸

透明な迷宮 [著]平野啓一郎

透明な迷宮 [著]平野啓一郎

■「現実」をあぶり出す虚構の物語  6つの中短編を収めた小説集。いずれも平野啓一郎の作家としての際立った個性が光る、ユニークな作品揃(ぞろ)いだ。  完璧な筆跡模倣能力を持った田舎の郵便配達夫の物語「消えた蜜蜂」。悪夢………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年08月17日
[ジャンル]文芸

やや暴力的に [著]石原慎太郎

やや暴力的に [著]石原慎太郎

■生への執念で描く不可解な死  富士山沿いの樹海で、年に一度の自殺者の捜索団を仕切らされる男が、ふとしたことから既に死んでいた男、つまり亡霊と行き交い、男の自殺に隠された物語を探り当ててゆく十年越しの中編「青木ケ原」を………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年08月03日
[ジャンル]文芸

短編を七つ、書いた順/ミッキーは谷中で六時三十分 [著]片岡義男

短編を七つ、書いた順/ミッキーは谷中で六時三十分 [著]片岡義男

■人生の一場面、鮮やかに切り取る  片岡義男の筆にかかると、東京は、まるで外国の都市みたいに見えてくる。登場人物は皆、几帳面(きちょうめん)に姓と名を持たされており、女性の多くは下の呼び名がカタカナで、男たちは作家か編………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年07月20日
[ジャンル]文芸

連邦区マドリード [著]J.J.アルマス・マルセロ [訳]大西亮

連邦区マドリード [著]J.J.アルマス・マルセロ [訳]大西亮

■虚実ないまぜの語りに導かれ…  フアン・ヘスス・アルマス・マルセロはアフリカ大陸の北西に位置するスペイン領グランカナリア島出身で、現在はマドリード在住。本書が初の長編小説の翻訳である。  「私」は冒頭から畳み掛けるよ………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年07月06日
[ジャンル]文芸

スクリプターはストリッパーではありません [著]白鳥あかね

スクリプターはストリッパーではありません [著]白鳥あかね

■映画愛に溢れた記録係の一代記  スクリプターという職業をご存知(ぞんじ)だろうか? 語感が似ていてもストリッパーとは全く違う。映画の撮影現場で監督につきっきりとなり、ワンカットごとの記録を採るのが仕事である。だが実際………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年06月22日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

初音ミクはなぜ世界を変えたのか? [著]柴那典

初音ミクはなぜ世界を変えたのか? [著]柴那典

■「音楽」再生のための新たな革命  音声合成ソフトウエア「ボーカロイド」の一種として生まれながら、ネット上の不特定多数のユーザー(ボカロPと呼ばれる)に育まれることで、姿かたちを与えられ、幾つもの名曲を歌い、やがてネッ………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年05月25日
[ジャンル]IT・コンピューター 社会

哲学入門 [著]戸田山和久

哲学入門 [著]戸田山和久

■「文学」に背向け「科学」と歩む  何のヒネリもない直球の題名に思えるが、読み始めてすぐ、この「哲学」と「入門」の二語の合体には、きわめて野心的かつ挑発的な意味が込められていることを知らされる。  著者は本書には「歴史………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年05月11日
[ジャンル]人文

最後の恋人 [著]残雪

最後の恋人 [著]残雪

■夢や幻が交錯する言葉の奔流  残雪と書いてツァン・シュエと読む。彼女は現代中国文学を代表する作家であり、日本にも熱烈なファンがいる。私もその一人。少し前にも短編集『かつて描かれたことのない境地』が出たが、本書は十五年………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年04月20日
[ジャンル]文芸

ピース [著]ジーン・ウルフ

ピース [著]ジーン・ウルフ

■なんと魅惑的な曖昧と不安定  ジーン・ウルフは、まったくもって一筋縄でいかない作家である。日本でもマニアックな人気を誇る彼は、あえてジャンル分けをするならSF/ファンタジーの小説家ということになるのだろうが、フィクシ………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年03月23日
[ジャンル]文芸

デレク・ベイリー インプロヴィゼーションの物語 [著]ベン・ワトソン

デレク・ベイリー インプロヴィゼーションの物語 [著]ベン・ワトソン

■世界に向きあう自由のレッスン  デレク・ベイリーは英国のギタリスト。1930年に生まれ、2005年に没した。彼はフリー・インプロヴィゼーションと呼ばれる特異な音楽の創始者のひとりとされている。著者ワトソンは、ベイリー………[もっと読む]

[評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)
[掲載]2014年03月09日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

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