水無田気流(詩人・社会学者)の書評

写真:水無田気流さん

水無田気流 (詩人・社会学者)
1970年神奈川県生まれ。立教大学社会学部兼任講師。2003年に現代詩手帖賞受賞。詩集に『音速平和』(中原中也賞)『Z境』(晩翠賞)。評論に『無頼化する女たち』、本名の田中理恵子名義で『平成幸福論ノート 変容する社会と「安定志向の罠」』など。

感情労働としての介護労働―介護サービス労働者の感情コントロール技術と精神的支援の方法 [著]吉田輝美

感情労働としての介護労働―介護サービス労働者の感情コントロール技術と精神的支援の方法 [著]吉田輝美

■介護職への無理解の解消を  「超」高齢化の進行する日本で、介護職の担い手確保は焦眉(しょうび)の急である。その一方、介護職の離職率は2割程度と他の職業と比較して非常に高い。理由としては、低賃金や社会的地位の低さなどが………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年11月02日
[ジャンル]医学・福祉 社会

宙・有 その音 [著]那珂太郎

宙・有 その音 [著]那珂太郎

■音の磁力に導かれた詩の言葉  今年6月に亡くなった詩人・那珂太郎の遺作。最後の本になるだろうとつけられた題名の「宙」とは自分の周りの無限を思わせる空間、「有」とはその空間に存在するであろう、多数の多様な物たち。それら………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年10月26日
[ジャンル]文芸

少子化時代の「良妻賢母」―変容する現代日本の女性と家族 [著]スーザン・D・ハロウェイ

少子化時代の「良妻賢母」―変容する現代日本の女性と家族 [著]スーザン・D・ハロウェイ

■日本の「母」の基準は高すぎる  「良妻賢母」とは、一般に慎み深く勤勉で、母性あふれる伝統的な日本の母の理想像とされる。だが、この語は明治維新後の近代化の中で、人工的に作られたイデオロギーであり、今なお形を変えながらも………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年10月12日
[ジャンル]人文

結婚 [著]橋本治

結婚 [著]橋本治

■人生の大問題、矛盾した感慨  すぐそこに締め切りが迫っていることは分かっているが、具体的に何から始めていいのか分からない。今の社会で、未婚女性たちが漠然と抱えている「結婚」への期待と、それを上回る巨大な不安。言葉にす………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年10月05日
[ジャンル]文芸

荒神 [著]宮部みゆき

荒神 [著]宮部みゆき

■貪欲が怪物と化し、人の思いを食らう  徳川綱吉治政の江戸時代。東北地方南部の小平良山(おたらやま)を挟んで隣接する永津野(ながつの)藩と香山(こうやま)藩は、かつては主従の関係にあった。関ケ原の合戦の際、西軍についた………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年09月28日
[ジャンル]文芸

春の庭 [著]柴崎友香

春の庭 [著]柴崎友香

■言葉の物質性を極限まで磨く  「生活」と「暮らし」の間には、見えない壁が聳(そび)えているらしい。現実と虚構の落差、といいかえても良いが、壁の強固さに反し、現在その境界線はひどくあいまいだ。何より、私たちは日々メディ………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年09月14日
[ジャンル]文芸

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 [著]ジェーン・スー

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 [著]ジェーン・スー

■汝の内なる少女性と和解せよ  「女子」の単語がメディアを賑(にぎ)わすようになって久しい。この現象、男性からは冷ややかな視線を送られ、当の女性の間では賛否両論。若さや可愛らしさに固執する女は見苦しいと断罪する同性も多………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年09月07日
[ジャンル]人文

マリー・アントワネット―ファッションで世界を変えた女 [著]石井美樹子

マリー・アントワネット―ファッションで世界を変えた女 [著]石井美樹子

■時代を作った象徴的な身体  歴史上の著名人とは、煌々(こうこう)とまばゆい闇である。ましてや、滅び去った側の者は歪曲(わいきょく)がまかり通る。文芸作品、映画、そして日本では漫画や宝塚でもお馴染(なじ)みの、フランス………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年08月31日
[ジャンル]歴史

「インクルーシブデザイン」という発想——排除しないプロセスのデザイン [著]ジュリア・カセム

「インクルーシブデザイン」という発想——排除しないプロセスのデザイン [著]ジュリア・カセム

■多様なものを包み込む挑戦  包摂を意味する「インクルーシブ」。この語がデザインに冠される背景には、普通のデザインが無意識のうちにはらむ排除の問題がある。著者は日本留学経験をきっかけに、この国に氾濫(はんらん)する不可………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年08月17日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

養護教諭の社会学 学校文化・ジェンダー・同化 [著]すぎむらなおみ

養護教諭の社会学 学校文化・ジェンダー・同化 [著]すぎむらなおみ

■「保健の先生」が直面する学校の闇  「保健の先生」として知られる養護教諭。誰もが学校でお世話になる身近な存在だが、その職務は複雑な課題を抱えている。もともとは20世紀初頭、感染症予防など児童生徒の健康面を支えるため、………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年08月10日
[ジャンル]教育 社会

ファストファッション クローゼットの中の憂鬱 [著]エリザベス・L・クライン

ファストファッション クローゼットの中の憂鬱 [著]エリザベス・L・クライン

■現代社会の消費文化の縮図  今や私たちの日常生活を覆い尽くしている、「ファスト」な消費文化。規模の拡大と、時間やコストの削減を至上命令として、その伸展は留(とど)まることを知らない。とりわけ目を引くのは、H&MやFo………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年07月20日
[ジャンル]社会

皮膚——文学史・身体イメージ・境界のディスクール [著]クラウディア・ベンティーン

皮膚——文学史・身体イメージ・境界のディスクール [著]クラウディア・ベンティーン

■近代的人間観への変容を映す  自己と世界との境界線を象徴する、皮膚。それは表面でありつつ内面を映す鏡であり、同時に他者との接触面でもある。本書は18世紀以降の文学、芸術、科学等さまざまな領域を横断しつつ、皮膚のもつ文………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年07月13日
[ジャンル]医学・福祉 社会

黒猫のひたい [著]井坂洋子

黒猫のひたい [著]井坂洋子

■日常の先を丹念に見つめる  妙に言葉の座りが悪い日がある。正確に書いたつもりなのだが、その正しさがいけない。事物が上手(うま)く捕まえられない。そんな時、染み入る言葉を持つ人である。普段見えない空隙(くうげき)を縫い………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年06月29日
[ジャンル]文芸

アメリカの家庭と住宅の文化史——家事アドバイザーの誕生 [著]サラ・A・レヴィット

アメリカの家庭と住宅の文化史——家事アドバイザーの誕生 [著]サラ・A・レヴィット

■「家庭を作る」行為を掘り下げる  メディアでお馴染(なじ)みの、暮らしを美しく演出する「家事アドバイザー」。この職業には、アメリカ生活文化史との深い関わりがあったのだ。本書は、1850年から1950年にかけてアメリカ………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年06月15日
[ジャンル]歴史 社会

おいしそうな草 [著]蜂飼耳

おいしそうな草 [著]蜂飼耳

■言葉に内在する力を見つめる  言葉は文字通り言の葉。豊かで目に鮮やかな表象が、「葉」の字を当てさせたのだろうか。だが、筆者はあえて「草」を選ぶ。その低い視線は、通常視界に入らないものを、丹念にとらえて見せてくれる。引………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2014年06月08日
[ジャンル]人文

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