島田雅彦(作家・法政大学教授)の書評

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島田雅彦 (作家・法政大学教授)
1961年東京都生まれ。著書に『夢遊王国のための音楽』(野間文芸新人賞)『彼岸先生』(泉鏡花文学賞)『退廃姉妹』(伊藤整文学賞)『カオスの娘』(芸術選奨文部科学大臣賞)『ニッチを探して』『悪貨』など多数。

帳簿の世界史 [著]ジェイコブ・ソール

帳簿の世界史 [著]ジェイコブ・ソール

■国家の繁栄と没落、分ける法則  教会法で金貸しが禁じられていた一四世紀のイタリアで、最後の審判を恐れる商人や金融業者が少しでもその罪を軽くするために会計の透明性を高めようとしたという歴史的事実には微笑を誘われる。粉飾………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年06月07日
[ジャンル]歴史

日本文学の大地 [著]中沢新一

日本文学の大地 [著]中沢新一

■未来の手引書としての古典  古典とは五百年後、千年後に爆発する一種の時限爆弾である。伝統とは単に先祖が作った型や技を踏襲することでなく、現代の行き詰まりを打開する秘術として用いることも含まれる。井原西鶴が「源氏物語」………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年04月19日
[ジャンル]文芸

ドクター・ハック―日本の運命を二度にぎった男 [著]中田整一

ドクター・ハック―日本の運命を二度にぎった男 [著]中田整一

■善意のスパイ? 歴史への償い  日本がアジア太平洋戦争で破滅の道を辿(たど)った最大の要因は日独伊三国同盟への参加であったというのは左右どちらの歴史観にも共通の認識に違いない。アメリカを牽制(けんせい)しようとした日………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年04月12日
[ジャンル]歴史

暴力の人類史(上・下) [著]スティーブン・ピンカー

暴力の人類史(上・下) [著]スティーブン・ピンカー

■本性の「天使」を信じられるのか  経済活動や衣食住、セックス、芸術など様々な切り口から人類史を振り返る論考は少なくないが、本書は暴力に焦点を絞り、旧約聖書の昔からモンゴル帝国の世界征服、中世の暗黒時代、そして、二十世………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年03月15日
[ジャンル]人文

知識欲の誕生—ある小さな村の講演会1895-96 [著]アラン・コルバン

知識欲の誕生—ある小さな村の講演会1895-96 [著]アラン・コルバン

■啓蒙の原点、歴史の手法で再現  『記録を残さなかった男の歴史』で十九世紀のフランスの農村に暮らしていた木靴職人の人生を蘇(よみがえ)らせたアラン・コルバンが本書で試みたのは、第三共和政下、アフリカの植民地化を進めてい………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年01月25日
[ジャンル]歴史 社会

たった独りの外交録―中国・アメリカの狭間で、日本人として生きる [著]加藤嘉一

たった独りの外交録―中国・アメリカの狭間で、日本人として生きる [著]加藤嘉一

■「一般人」、体当たりの論戦  外国で恥をかき捨てた日本人も多かったが、外目には自分たちがどう映るのかを学び、礼儀正しく、親切な日本人というイメージをある程度、定着させたのは民間外交に尽くした一般の人々であった。外交は………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年01月11日
[ジャンル]社会

理不尽な進化―遺伝子と運のあいだ [著]吉川浩満

理不尽な進化―遺伝子と運のあいだ [著]吉川浩満

■絶滅と繁栄、分かれ道の無常  「進化」は「弱肉強食」というコトバとほとんどセットになっており、社会ダーウィニズムの通俗解釈に基づいて、資本の原理や効率主義の正当化に使われたりする。どんな種も生き残りを懸けた熾烈(しれ………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2014年12月21日
[ジャンル]科学・生物

ドキュメント平成政治史 (1)崩壊する55年体制(2)小泉劇場の時代 [著]後藤謙次

ドキュメント平成政治史 (1)崩壊する55年体制(2)小泉劇場の時代 [著]後藤謙次

■権力闘争の実相、舞台裏から検証  目下の日本の政治はほとんど戦前の大政翼賛会の様相を呈してきた。過去の自民党の体質を知る人々も、保守主義の変質、リベラリズムの衰退、寛容さや多様性の欠如を指摘しているが、その原因はやは………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2014年10月19日
[ジャンル]政治 社会

老人と子供の考古学 [著]山田康弘

老人と子供の考古学 [著]山田康弘

■埋葬跡が語る太古の死生観  考古学は机上の空論を嫌う。地味な遺跡の発掘に膨大な時間を費やし、確実な根拠を積み上げようやく一つの学説に辿(たど)り着く。本書は考古学界の現場報告と学説の文脈解説にかなりのページを割きつつ………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2014年09月07日
[ジャンル]歴史 社会

音楽の進化史 [著]ハワード・グッドール

音楽の進化史 [著]ハワード・グッドール

■洗練への過程、謎解きの面白さ  古代の骨笛からボーカロイドまで、洞窟での宗教儀礼からiTunesまで、偶然の発見や複雑な体系化を経て、音楽は紆余曲折(うよきょくせつ)の進化の道筋を辿(たど)ってきた。私たちは現在、壮………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2014年07月20日
[ジャンル]歴史 人文

人類進化700万年の物語―私たちだけがなぜ生き残れたのか [著]チップ・ウォルター

人類進化700万年の物語―私たちだけがなぜ生き残れたのか [著]チップ・ウォルター

■手間をかけた教育、命運分ける  絶滅危惧種の保護と生物多様性の維持に努力するのは、地球上でもっともはびこった人類の罪滅ぼしかもしれない。しかし、当の人類はといえば、ほかの動物のように種の多様性を保つことができなかった………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2014年06月29日
[ジャンル]科学・生物

加工食品には秘密がある [著]メラニー・ウォーナー

加工食品には秘密がある [著]メラニー・ウォーナー

■意外な原料・添加物、無意識に  資本主義の原理に忠実たろうとすれば、安価に大量生産でき、保存が利き、均一の味と香りが保てる食品が最も有利である。その結果、食は自然から離れ、完全な工業製品になった。その流れを決定づけた………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2014年06月22日
[ジャンル]経済

スノーデンファイル [著]ルーク・ハーディング / 暴露 [著]グレン・グリーンウォルド

スノーデンファイル [著]ルーク・ハーディング / 暴露 [著]グレン・グリーンウォルド

■自由の国揺るがす、諜報機関の暴走  諜報(ちょうほう)機関員のイメージは中年女たらしのジェームズ・ボンドや引退間際の英国紳士スマイリーに代表されてきたが、エージェントの主な活躍舞台がIT世界になった今日は、エドワード………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2014年06月08日
[ジャンル]政治 社会

人間は料理をする―(上)火と水 (下)空気と土 [著]マイケル・ポーラン

人間は料理をする―(上)火と水 (下)空気と土 [著]マイケル・ポーラン

■人類進化の鍵握る、料理の本質を考察  本書は古代の四大元素、火、水、空気、土に絡めて、肉を焼く、煮る、パンを作る、発酵させるという料理の基本を実践的に考察している。ほかならぬファストフード発祥の地アメリカにおいて、食………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2014年04月06日
[ジャンル]政治 社会

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