杉田敦(政治学者・法政大学教授)の書評

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杉田敦 (政治学者・法政大学教授)
1959年群馬県生まれ。著書に『権力の系譜学』『デモクラシーの論じ方―論争の政治』『境界線の政治学』『政治への想像力』『政治的思考』『3・11の政治学 震災・原発事故のあぶり出したもの』、共著に『これが憲法だ!』など。

アフガン・対テロ戦争の研究 タリバンはなぜ復活したのか [著]多谷千香子

アフガン・対テロ戦争の研究 タリバンはなぜ復活したのか [著]多谷千香子

■米国が見た「大それた夢」の失敗  9・11テロへの反撃としての、アフガニスタンへのアメリカの「対テロ戦争」は、世界に何をもたらしたか。アメリカの当初の目論見(もくろみ)に反して、アフガニスタンは安定化せず、隣国パキス………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝 国際

大山猫の物語 [著]クロード・レヴィ=ストロース

大山猫の物語 [著]クロード・レヴィ=ストロース

 オオヤマネコとコヨーテは双子で、元々はよく似ていた。しかし、「彼らは、互いに分化する道を選んだ。つまりオオヤマネコはコヨーテの鼻面と足を引き伸ばし、コヨーテはオオヤマネコの鼻面と尾を縮めたのである」。南北アメリカ・イン………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2016年05月15日
[ジャンル]人文

漂流怪人・きだみのる [著]嵐山光三郎

漂流怪人・きだみのる [著]嵐山光三郎

■日本社会の構造のしぶとさ探究  きだみのるは、フランスで人類学・社会学を学び、岩波文庫『ファーブル昆虫記』の翻訳(山田吉彦名)なども残しているが、戦後すぐに『気違い部落周游紀行』など、一連の「気違い部落」シリーズで一………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

解放のパラドックス―世俗革命と宗教的反革命 [著]マイケル・ウォルツァー

解放のパラドックス―世俗革命と宗教的反革命 [著]マイケル・ウォルツァー

■伝統をふまえた変革の可能性  帝国主義的な植民地支配からの民族の解放は、たいてい、世俗的な政治勢力、すなわち宗教に批判的で、国民の一体性としてのナショナリズムを強調する勢力によってなされた。ところが、実際には解放者た………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2016年04月10日
[ジャンル]歴史

刑法と戦争—戦時治安法制のつくり方 [著]内田博文

刑法と戦争—戦時治安法制のつくり方 [著]内田博文

■今も続く閉鎖的社会への危機感  侵略や災害などの緊急事態の際に、首相に権力を集中するため、憲法に条項を設けるべきだとの議論が出ている。ここで思い起こされるべきは、死刑導入を含む治安維持法の厳罰化(昭和3年)が、明治憲………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2016年02月21日
[ジャンル]歴史 社会

グアンタナモ収容所 地獄からの手記 [著]モハメドゥ・ウルド・スラヒ

グアンタナモ収容所 地獄からの手記 [著]モハメドゥ・ウルド・スラヒ

■冤罪・虐待 米国の矛盾が集約  めくっても、めくっても続く、一面黒く塗りつぶされた頁(ページ)。それが本書の成り立ちと、著者の苦境とを何より雄弁に物語る。ドイツで働くエンジニアであった著者は、母国モーリタニアで捕まり………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]文芸

ハイデガー哲学は反ユダヤ主義か [編]ペーター・トラヴニー、中田光雄、齋藤元紀

ハイデガー哲学は反ユダヤ主義か [編]ペーター・トラヴニー、中田光雄、齋藤元紀

■「近代性」への徹底批判だった?  20世紀最大の哲学者の一人ハイデガーは、「黒ノート」と呼ばれる一連の冊子を遺(のこ)し、全集の最後に刊行するように指示していた。  それらのノートには、一見して反ユダヤ主義的な記述が………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年11月29日
[ジャンル]人文

事件!―哲学とは何か [著]スラヴォイ・ジジェク

事件!―哲学とは何か [著]スラヴォイ・ジジェク

■恋も革命も気づく前に起きる  「すべての安定した図式を覆すような新しい何かが突然に出現すること」、それがここでいう「事件」である。事件によって「われわれが世界を知覚し、世界に関わるときの枠組みそのものが変わる」。事件………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年11月22日
[ジャンル]社会

中欧の詩学―歴史の困難 [著]ヨゼフ・クロウトヴォル

中欧の詩学―歴史の困難 [著]ヨゼフ・クロウトヴォル

■弱さ自覚して精神の自由保つ  ドイツとロシアにはさまれた、オーストリア・チェコなどの地域は、しばしば自らを中欧と定義する。大国によって翻弄(ほんろう)され続けたこの地域では、独特の文化が育まれた。チェコの評論家クロウ………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年10月11日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

クロニクル 日本の原子力時代 一九四五〜二〇一五年 [著]常石敬一

クロニクル 日本の原子力時代 一九四五〜二〇一五年 [著]常石敬一

■事故後も引き返せぬ社会の背景  年表は無味乾燥に見えて、多くを語る。ある出来事があったから、次の出来事があったのだということが明瞭になる。そして、同時期の二つの事象は、無関係のようでいて、しばしばつながっているのであ………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年09月27日
[ジャンル]歴史 科学・生物

権力の終焉 [著]モイセス・ナイム

権力の終焉 [著]モイセス・ナイム

■三つの「革命」で変容した社会  国家権力による安全保障の強化や経済への介入が声高に語られるいま、われわれは、権力はより集中し、強まっていると考えがちだ。しかし、著者ナイムによれば、この認識は誤りで、権力はあらゆるとこ………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年09月06日
[ジャンル]社会

ヴェール論争―リベラリズムの試練 [著]クリスチャン・ヨプケ

ヴェール論争―リベラリズムの試練 [著]クリスチャン・ヨプケ

■自由か抑圧か、欧州のジレンマ  イスラム女性が身に着けるヴェールをめぐって、ヨーロッパ各地で法的・政治的な紛争が起きた。特にヨーロッパで論争が激しいのはなぜか。ヨプケによれば、そこで世俗化が進み、自律性を重視するリベ………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年08月16日
[ジャンル]政治 社会

正義のゲーム理論的基礎 [著]ケン・ビンモア

正義のゲーム理論的基礎 [著]ケン・ビンモア

■最適な選択重ね、公平に達する  人びとが共存するには、限られた資源をどう分け合うかを決める必要がある。分け方のルールは、公平と見なされなければ長続きしない。人びとは、公平と思えるルールにいかにして到達するのか。  カ………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年07月26日
[ジャンル]社会

ニュルンベルク裁判 [著]芝健介

ニュルンベルク裁判 [著]芝健介

■「勝者の裁き」と平和への意義  今夏、問い直される日本の責任。しかし、しばしば比較されるドイツの歩みを、われわれはどれだけ知っているのか。ナチス裁判に加え、協力者への裁判も詳述した研究書と、ドイツの学者による入門書が………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年06月28日
[ジャンル]歴史 国際

ヘイト・スピーチという危害 [著]ジェレミー・ウォルドロン

ヘイト・スピーチという危害 [著]ジェレミー・ウォルドロン

■抑圧にならぬ規制は可能か  特定の人種・民族・宗教集団を差別し排撃するヘイト・スピーチは、近年、日本社会でも見られ、問題となっている。ヘイト・スピーチ規制はカナダ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、イギリスなどに………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年05月31日
[ジャンル]政治 社会

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