本郷和人(東京大学教授・日本中世史)の書評

写真:本郷和人さん

本郷和人 (東京大学教授・日本中世史)
1960年東京都生まれ。日本中世政治史、中世古文書学、中世寺院史を専門とする一方、「AKB史」にも明るい。著書に『中世朝廷訴訟の研究』『武士から王へ お上の物語』『天皇はなぜ生き残ったか』『謎とき平清盛』『武士とはなにか 中世の王権を読み解く』など。

砂の街路図 [著]佐々木譲

砂の街路図 [著]佐々木譲

■時間が止まり、静寂な街に靴音が  主人公は32歳、東京の高校の国語教師。2カ月前に母が亡くなり、遺品には亡き父に関するものがあった。横浜生まれの父は北海道の郡府(ぐんぷ)の大学に学んだ。卒業後は東京で堅実に働き、良き………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年09月27日
[ジャンル]文芸

たすけて、おとうさん [著]大岡玲

たすけて、おとうさん [著]大岡玲

■得体の知れぬ 重く深いこわさ  著者が『ピノッキオの冒険』など誰もが知る名作を読み、その解釈を下敷きにして新しい物語を紡ぐ12の短篇(たんぺん)集。  やわらかな語り口とひらがなの多い文章は童話風で、内容は自己とは何………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年09月20日
[ジャンル]文芸

劉邦(上・中・下) [著]宮城谷昌光

劉邦(上・中・下) [著]宮城谷昌光

■果敢に動き決断、辛労分かち成長  人は置かれた環境から多大な影響を受ける。同じく「百金を盗んだ」二人がいても、環境の違いにより一人は死刑になり、一人は無罪になる。生き生きとした歴史小説の叙述に、時代への深い洞察が必須………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年09月06日
[ジャンル]文芸

歴史の仕事場 [著]フランソワ・フュレ

歴史の仕事場 [著]フランソワ・フュレ

■現代との対話で育む問題意識  1970年代、アナール学派の第3世代と呼ばれる歴史学者が台頭してくる。本書の著者であるフランソワ・フュレはその主要な一人である。  歴史研究の作業には三つがある、と本書は説く。第一に手稿………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年08月30日
[ジャンル]歴史

戦場カメラマン—沢田教一の眼 [撮影]沢田教一 [編集]斉藤光政 [協力]沢田サタ

戦場カメラマン—沢田教一の眼 [撮影]沢田教一 [編集]斉藤光政 [協力]沢田サタ

■「戦争とは」「生とは」を凝視  私は「写真を見る」作法を知らない。だが、ずぶの素人である私が見ても、この本に収められた写真の名状しがたい「すごさ」は分かる気がする。そこには、ぎりぎりまで研ぎ澄まされた「生のすがた」が………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年08月09日
[ジャンル]人文 社会

芥川賞の謎を解く—全選評完全読破 [著]鵜飼哲夫

芥川賞の謎を解く—全選評完全読破 [著]鵜飼哲夫

■真剣勝負の選考が文学を豊かに  又吉直樹さんが芥川賞を得て世間が沸いている。私もこそこそと『火花』を一冊買ってきた。そんなお父さんがたくさんいるに違いないが、彼らは芸人・又吉を知るまい。賞を取ったからこそ、どれどれと………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年07月26日
[ジャンル]文芸

寺院消滅―失われる「地方」と「宗教」』 [著]鵜飼秀徳

寺院消滅―失われる「地方」と「宗教」』 [著]鵜飼秀徳

■25年後に35%減!? 実情率直に  若年女性の減少や、都市への人口流出を理由として2040年までに消滅する可能性のある都市(市区町村)のことを消滅可能性都市といい、その数は896になる。  都道府県(福島県をのぞく………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年07月12日
[ジャンル]政治 人文 社会

新宿ベル・エポック―芸術と食を生んだ中村屋サロン [著]石川拓治

新宿ベル・エポック―芸術と食を生んだ中村屋サロン [著]石川拓治

■異文化接合点で濃密な人間模様  母の勤務地が新宿だったので、子どもの時分、たまに中村屋のカレーを食べに連れて行ってもらった。うちは貧しかったから、それはたいへんなご馳走(ちそう)だった。本書はその中村屋の物語。創業者………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年06月28日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

一流の人は本気で怒る [著]小宮一慶

一流の人は本気で怒る [著]小宮一慶

■自己を磨き、正しく、思いっきり  喜怒哀楽とくくるけれど、「怒り」はちょっと別物に思える。その場だけでは完結せず、必ずあとから後悔の念が襲ってくるからだ。あんなに怒鳴(どな)らなければ良かった、とか。自分の器の小ささ………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年06月21日
[ジャンル]社会

琉球史を問い直す―古琉球時代論 [著]吉成直樹・高梨修・池田榮史

琉球史を問い直す―古琉球時代論 [著]吉成直樹・高梨修・池田榮史

■周辺諸国との交渉から読み解く  沖縄の歴史を論じる時に二つの態度があり得る。(1)他国(日本を含む)との関係に配慮するが、沖縄の内発的な発展を重視する。(2)東アジア諸国、とくに日本との交渉を重視する。本書は(1)を………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年06月07日
[ジャンル]歴史

広告を着た野球選手―史上最弱ライオン軍の最強宣伝作戦 [著]山際康之

広告を着た野球選手―史上最弱ライオン軍の最強宣伝作戦 [著]山際康之

■知恵しぼって野球史を切り拓く  プロ野球はまずはプレイヤーのものであり、ついでファンのものである。野球が好きなんだか商売に熱心なんだか分からぬ「えらいさん」(特定の個人をイメージしているわけではない)はお願い! 引っ………[もっと読む]

[評者]スポーツ
[掲載]2015年05月31日

草木成仏の思想 安然と日本人の自然観 [著] 末木文美士

草木成仏の思想 安然と日本人の自然観 [著] 末木文美士

■人間の傲慢がもたらす自然の怒り  ひところ「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」という言葉がよく使われた。成仏とは仏になること。また心の働きをもつ「有情」に対し、心の働きのない植物などを「無情」と………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年05月17日
[ジャンル]人文

ラ・ミッション―軍事顧問ブリュネ [著]佐藤賢一

ラ・ミッション―軍事顧問ブリュネ [著]佐藤賢一

■時代の本質つかんだ物語構築  歴史小説を書く作家は、表面的な事象を学ぶのに十分に忙しく、時代の特徴を見極めるところまではなかなか手が回らない。だからたとえば国の興亡を描く物語であれば、等しく日本の戦国時代的なテイスト………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年05月10日
[ジャンル]歴史

日本発掘!—ここまでわかった日本の歴史 [編]文化庁

日本発掘!—ここまでわかった日本の歴史 [編]文化庁

■考古学の最前線を最新情報で  考古学は人文科学の中で一風変わった学問である。本の山に埋もれるより、身体を用いての作業が重視される。現場をしっかり掌握し、土中の遺物と対話を重ねて学びを深化させる。テストで良い点を取るだ………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年04月26日

戦国の日本語—五百年前の読む・書く・話す [著]今野真二

戦国の日本語—五百年前の読む・書く・話す [著]今野真二

■繊細に変わる「ことば」を探求  平安時代、ことばを自在に操ることができたのは、貴族と上級の宗教者に限られていた。鎌倉時代になると教養を獲得した武士が自己を主張するようになり、室町時代には多くの庶民もぎこちなくかな文字………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年04月19日
[ジャンル]歴史 社会

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