五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)の書評

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五十嵐太郎 (建築批評家・東北大学教授)
1967年パリ生まれ。「あいちトリエンナーレ2013」(芸術監督)で、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。主な著書に『新宗教と巨大建築』 『美しい都市・醜い都市』『現代建築に関する16章』『被災地を歩きながら考えたこと』『ヤンキー文化論序説』(編著)ほか。

黄昏の調べ―現代音楽の行方 [著]大久保賢

黄昏の調べ―現代音楽の行方 [著]大久保賢

 新しさを求めて、クラシックから進化した現代音楽の歴史をコンパクトにまとめている。20世紀初頭の調性からの離脱や民俗音楽の採取に始まり、様々な技法や響きを開発した戦後の黄金期、70年代以降のポストモダン(単純回帰)とレイ………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

人工地獄―現代アートと観客の政治学 [著]クレア・ビショップ

人工地獄―現代アートと観客の政治学 [著]クレア・ビショップ

■衝突、不和、政治性、みなアート  絵や彫刻などモノの制作を目的化しない参加型アートは、日本では芸術祭の興隆とともに注目されているが、世界的な傾向でもある。ただし、社会体制によって地域ごとに事情は異なり、また歴史をたど………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

ブラジルの光、家族の風景―大原治雄写真集 [著]大原治雄

ブラジルの光、家族の風景―大原治雄写真集 [著]大原治雄

■移民生活、正統なモダニズムで  仕事柄、旅先ではなるべく美術館に足を運ぶ。建築を見るためだ。高知県立美術館を訪れたとき、なんの予備知識もなく、ある写真家の作品と出会った。大原治雄は高知で生まれ育ち、1927年、17歳………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年07月03日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

ニセモノの妻 [著]三崎亜記

ニセモノの妻 [著]三崎亜記

 日常の風景がかすかにズレたとき、世界のあり方がおそろしく変容する夫婦の物語を4編収録している。  例えば、引っ越ししたばかりの高層マンションを夜にふと見上げたとき、自分の部屋だけが明るく、ほかは真っ暗だったという「終(………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

コンサートという文化装置―交響曲とオペラのヨーロッパ近代 [著]宮本直美

コンサートという文化装置―交響曲とオペラのヨーロッパ近代 [著]宮本直美

■神聖化と固定化、背景をたどる  正直、小中学校のとき音楽の授業は苦痛だった。楽聖たちの肖像画が掲げられた教室で、教養として詰め込まれる知識、沈黙して鑑賞させられる名曲は楽しくなかった。現在、クラシックコンサートの主役………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年06月05日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 社会

地域アート―美学/制度/日本 [編著]藤田直哉

地域アート―美学/制度/日本 [編著]藤田直哉

■「前衛のゾンビたち」の功罪問う  現在、日本では地域名を冠した芸術祭が増え、かつての地方博ブームのように乱立している。本書はそうした現状を批判的に考察する。  まず藤田直哉は巻頭の論考で、現代アートが地域活性化や経済………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

偶有性操縦法―何が新国立競技場問題を迷走させたのか [著]磯崎新

偶有性操縦法―何が新国立競技場問題を迷走させたのか [著]磯崎新

■筋の通らぬ国に怒りと提言  ザハ・ハディドの急死を受けて、磯崎新は「〈建築〉が暗殺された。……悲報を聞いて、私は憤っている。……あらたに戦争を準備しているこの国の政府は、ザハ・ハディドのイメージを五輪誘致の切り札に利………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]社会

解読 ジェフリー・バワの建築―スリランカの「アニミズム・モダン」 [著]岩本弘光

解読 ジェフリー・バワの建築―スリランカの「アニミズム・モダン」 [著]岩本弘光

 だいぶ前から気になっていたアジアの重要な建築家だが、初めて日本語でまとまって読むことができる大著が刊行された。西洋の情報は簡単に入ってくるが、国会議事堂を手がけた巨匠のことでも、スリランカはどうしても死角になってしまう………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年04月24日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

戦争の物理学 [著]バリー・パーカー

戦争の物理学 [著]バリー・パーカー

■兵器の進化、時代背景から学ぶ  数年前のケータイやパソコンが時代遅れになってしまうように、テクノロジーは進化を続け、一般的に最新のものが常にベストで、すぐに過去は忘却される。だが、戦争と物理学の関係を振り返る本書は、………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年04月17日
[ジャンル]歴史 科学・生物

危機と劇場 [著]内田洋一

危機と劇場 [著]内田洋一

 演劇は人間の身体がライブで表現を行う、もっとも瞬間的な強度をもつ芸術のジャンルだ。が、美術のようにモノが残らず、複製芸術でもないから、経験は消え去っていく。その時に現場で立ち会わないと共有しにくい。本書は、東日本大震災………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年04月03日

あの日 [著]小保方晴子

あの日 [著]小保方晴子

■ポエムと推理、キメラ的複合  いささか書評しにくい本である。検証実験で科学的には決着した事件だが、今度は手記が発表された。自伝的な文書は、真実を告白する形式をとって正当性を主張する。が、本書は主観的な記述に終始し、具………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年03月13日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

キャラの思考法―現代文化論のアップグレード [著]さやわか

キャラの思考法―現代文化論のアップグレード [著]さやわか

■時とともに移ろう属性・価値  現在、漫画やアニメ、ゲームなどのオタク文化を論じる人文書はすでに珍しくなくなったが、本書の特徴は、キャラの概念を更新しながら論の枠組みを広げ、小説、音楽、映画、演劇、芸能などの分野も横断………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年02月28日
[ジャンル]社会

帝国日本の生活空間 [著]ジョルダン・サンド

帝国日本の生活空間 [著]ジョルダン・サンド

■ささやかな日常で描く世界地図  人とモノが激しく移動し、文化が混交・変容していく、ダイナミックな世界地図が浮かびあがるような研究だ。が、グローバリズムの現代を分析したものではない。これは20世紀前半の大日本帝国に関す………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]歴史 社会

圏外編集者 [語り]都築響一

圏外編集者 [語り]都築響一

■必要に迫られた表現の力  モノだらけゆえに超個性的な若者の部屋を紹介した写真集『TOKYO STYLE』など、ユニークな本の企画・執筆・撮影で知られる都築響一が、その半生を語る。  本書に役立つマニュアルを期待しては………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]社会

パクリ経済―コピーはイノベーションを刺激する [著]K・ラウスティアラ、C・スプリグマン

パクリ経済―コピーはイノベーションを刺激する [著]K・ラウスティアラ、C・スプリグマン

■複製は悪か、利益と創造の源か  本書が一貫して主張するのは、コピーは必ずしも創造性を萎縮させるのではなく、むしろイノベーションを刺激するケースが存在することだ。1970年代にビデオデッキが登場したとき、映画産業がこれ………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年01月17日
[ジャンル]経済 社会

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