大竹昭子(作家)の書評

写真:大竹昭子さん

大竹昭子 (作家)
1950年東京都生まれ。ノンフィクション、エッセー、小説、写真評論など幅広い分野で執筆。主な著書に『図鑑少年』『日和下駄とスニーカー』『ニューヨーク1980』『彼らが写真を手にした切実さを』『読むとだれかに語りたくなる―わたしの乱読手帖』など。朗読イベント<カタリココ>を主宰。http://katarikoko.blog40.fc2.com

煉瓦を運ぶ [著]アレクサンダー・マクラウド

煉瓦を運ぶ [著]アレクサンダー・マクラウド

 カナダ出身のアリステア・マクラウドは優れた短編作家だが、同じく作家の息子が父と同レベルという保証はない、とやや斜に構えて本書を開いたが、二、三編読んで姿勢を正した。父に引けを取らない濃密で確かな文章を書く人である。  ………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸 人文

須賀敦子の手紙―1975—1997年 友人への55通 [著]須賀敦子

須賀敦子の手紙―1975—1997年 友人への55通 [著]須賀敦子

■「語り」聞こえるまろやかな直筆  最初の著作が出たのが六十一歳、八年後に他界し、生前の著書はわずか五冊。にもかかわらず、没後に書簡と日記と詳細な年譜を含む全集八巻が刊行。須賀敦子の人生は驚きに満ちているが、最近、全集………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年08月07日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

魔法の夜 [著]ティーヴン・ミルハウザー

魔法の夜 [著]ティーヴン・ミルハウザー

■昼間の自分を解き放つ月の光  ミルハウザーは月光の作家だ。陽光ではなく。夜中に屋根を散歩する『三つの小さな王国』のワンシーンは好例だが、人々のストレンジな行動が断章的に綴(つづ)られる本書も、同じように月光の一夜が舞………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]文芸

太陽の肖像―文集 [著]奈良原一高

太陽の肖像―文集 [著]奈良原一高

 写真家になる予定はなかったのに、最初の写真展(1956)が彼の運命を決定した。緑なき人工島・軍艦島と、桜島噴火で埋没した黒神村を撮影、「人間の土地」という題で二部構成で展示。単純なドキュメントを超えて、自然と社会機構と………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年07月03日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

ジャックはここで飲んでいる/と、彼女は言った [著]片岡義男

ジャックはここで飲んでいる/と、彼女は言った [著]片岡義男

■人生は、自分の外側にある  片岡義男の活躍がめざましい。小説・エッセイを含めて年に三、四冊は出ている。七十代後半にして、バッターボックスで飛んでくる球を次々とかっ飛ばすような書きっぷり。呻吟(しんぎん)する小説家のイ………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年06月26日
[ジャンル]文芸

センチメンタルな旅 [著]荒木経惟

センチメンタルな旅 [著]荒木経惟

■「嘘」なく心の震え留めた  いつもはアジアの古美術展が多いパリのギメ東洋美術館で、荒木経惟の写真展が9月5日まで開催中だ。熱烈なファンであるキュレーターの企画らしい。  世界が注目する現代日本の小説家が村上春樹なら、………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

模範郷 [著]リービ英雄

模範郷 [著]リービ英雄

■恐れ超え、記憶の場に踏み込む  リービ英雄の最初の小説「星条旗の聞こえない部屋」が発表されたのは一九八七年。英語で生まれ育ったアメリカ人が日本語で書いた小説として話題をよんだが、それ以来、彼は日本語で書かなければなら………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年05月15日
[ジャンル]歴史 文芸

グローバライズ [著]木下古栗

グローバライズ [著]木下古栗

 この十二本の短編を読むことは、映画を十二本撮るのに似ている。  行為や情景のみが描写され、その意味は明かされない。かと言って、何も起きないわけではなく、思いもかけない突飛(とっぴ)な結末に迎えられるが、そこに至るまでの………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]文芸

光の子ども (1)・(2) [著]小林エリカ

光の子ども (1)・(2) [著]小林エリカ

■放射能発見の歓喜と現代の恐怖  科学の研究にはのちにとんでもない結果を招くものが少なくないが、その最たるものは放射能だろう。不幸を生み出す規模がちがう。あんな研究をしてくれなければこんなことにならなかったのに、と現代………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年04月24日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

その姿の消し方 [著]堀江敏幸

その姿の消し方 [著]堀江敏幸

■古い絵はがきの詩、片恋に似て  南仏の古物市で「私」は古い絵はがきを見つける。通信欄に私信はなく、抽象的な詩だけが書かれている。しかも送り主は男性で、名宛人(なあてにん)は女性。好奇心をかきたてられないわけがない。渡………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年04月17日
[ジャンル]文芸

かなわない [著]植本一子

かなわない [著]植本一子

■不器用な生き方、凝視する勇気  著者はフリーのカメラマンで、ラッパーECDの妻で、二人の娘の母親。育児の辛(つら)さ、家計の苦しさを家計簿付きで綴(つづ)った『働けECD』に続く、二〇一一年から一四年の日記だ。大地震………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

死んでいない者 [著]滝口悠生

死んでいない者 [著]滝口悠生

■通夜の場の気配を束ねる文学  第154回芥川賞受賞作。まずタイトルで首をひねった。頭に「もう」をつけたらここに居ない死者に、「まだ」ならばこの世に留(とど)まっている生者になる。どちらともとれるが、この両義的なタイト………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年03月13日
[ジャンル]文芸

きみを夢みて [著]スティーヴ・エリクソン

きみを夢みて [著]スティーヴ・エリクソン

■アメリカの熱狂と失望の歴史  スティーヴ・エリクソンの長編小説が邦訳され、文庫版で出た。LAの一家がオバマの大統領当選に湧くシーンではじまる。白人夫婦とその息子、エチオピアから養子に迎えた黒人少女シバの四人家族。少女………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年02月21日
[ジャンル]文芸

未成年 [著]イアン・マキューアン

未成年 [著]イアン・マキューアン

■「意思」と「生命」、尊重すべきは  イギリスを代表する小説家イアン・マキューアンは、次はどんなテーマで来るかと毎度固唾(かたず)を飲ませる人である。彼のものなら内容の如何(いかん)にかかわらず手にとるという読者は多い………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]文芸 社会

集合住宅30講 [著]植田実

集合住宅30講 [著]植田実

■見て、感じて、考える歓び  集合住宅は世界中どれも似たり寄ったりだ。住戸の寄せ集めで中心がなく、象徴的な表情に欠ける。ならそれを逆手にとって集合住宅の共通項である窓、バルコニー、玄関、屋上などで横に切ってみようという………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

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