中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)の書評

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中村和恵 (詩人・明治大学教授・比較文学)
1966年新潟市生まれ。小説、詩、翻訳などで活躍。主な著書に、『地上の飯 皿めぐり航海記』『日本語に生まれて 世界の本屋さんで考えたこと』『ドレス・アフター・ドレス クローゼットから始まる冒険』『世界中のアフリカへ行こう』(共著)など。

老生 [著]賈平凹

老生 [著]賈平凹

■無名の人々が紡ぐ現代の中国史  食べる、働く、病む、性交する、排泄(はいせつ)する。迎合しとり残され、利を得てまた失う。加害者にも被害者にもなり、とにかくその地で生きつづけ死につづける。  秦嶺山脈の奥、神話と呪術が………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]文芸

ロマンティックあげない [著]松田青子

ロマンティックあげない [著]松田青子

 小気味いいテンポのお喋(しゃべ)りに、新鮮な批判精神が感じられるエッセイ集。話題はツイッターやネットニュース、アメリカのTVドラマや音楽、そして日々見聞きする、なぜか気になる小さなこと。映画館の座席配分、食堂やクリーニ………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年07月03日
[ジャンル]文芸

ラガ―見えない大陸への接近 [著]ル・クレジオ

ラガ―見えない大陸への接近 [著]ル・クレジオ

■海に生きる民への憧憬語る旅  オセアニアという「見えない大陸」、すなわち海に生きる民の土なき領地であり、その営みを見ようとしない人々が地図上の空白と見なしてきた場所を、ル・クレジオが語る。それは太古の物語を現実に生き………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

屋根裏の仏さま [著]ジュリー・オオツカ

屋根裏の仏さま [著]ジュリー・オオツカ

■「写真花嫁」の声紡ぎ、合唱曲に  一度に複数の声を、それもたくさんの声を、書き綴(つづ)ることはできるだろうか。集団としての「かれら」を記述するのではなく、それぞれが異なる経験を持ち、家族を持ち、異なる生活と労働の日………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]文芸

インド独立の志士「朝子」 [著]笠井亮平

インド独立の志士「朝子」 [著]笠井亮平

■二つの故郷、手放さず生きる  「涼しい風がそよそよと吹く頃となりました。其(そ)の後如何(いかが)で御座いますか」「ときどきはどうしてこんな見知らぬ(自分の国ながら)所へ来たかと思って淋(さび)しく思い、また思い直し………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年05月15日
[ジャンル]歴史 社会

ルポ 同性カップルの子どもたち―アメリカ「ゲイビーブーム」を追う [著]杉山麻里子

ルポ 同性カップルの子どもたち―アメリカ「ゲイビーブーム」を追う [著]杉山麻里子

■幸福な家族へ権利獲得の道のり  大都市から先住民居留地まで、国内外でいくつかの土地に滞在し、確信したことがある。同性愛者は世界中にいる。どんな社会・時代にもいる。つまり、それが人間ってものなのよ。  といってもやっぱ………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年04月24日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

評伝レヴィナス—生と痕跡 [著]サロモン・マルカ

評伝レヴィナス—生と痕跡 [著]サロモン・マルカ

 友人や同僚、捕虜収容所の同室者、教え子や師、家族の証言——本人の言葉も引用されるが、むしろ他者が語り、他者から辿(たど)られるレヴィナスの人生と思想。多大な影響を与えた哲学者をこれほどわかりやすく、面白く読めるとは。 ………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年04月03日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

資本の専制、奴隷の叛逆 [編著]廣瀬純

資本の専制、奴隷の叛逆 [編著]廣瀬純

■欧州が直面する危機を分析  南欧の思想家8人へのインタビューと、彼らが最近発表した論考を交互に配し、ヨーロッパがいま直面する危機を分析する。議論の核は、広場での自発的抗議運動から反ネオリベラリズム政党が台頭したギリシ………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年03月13日
[ジャンル]社会 国際

移民からみるアメリカ外交史 [著]ダナ・R・ガバッチア

移民からみるアメリカ外交史 [著]ダナ・R・ガバッチア

■建国神話の裏に出身地との絆  「今日、アメリカ合衆国の政策議論において、移民は主に国内の問題であると見なされており、(中略)本書が提案するのは、移民政策を国内のみの視点からではなく、グローバルな視点から議論すべきだと………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年02月28日
[ジャンル]歴史

世界文学論集 [著]J・M・クッツェー

世界文学論集 [著]J・M・クッツェー

■古典も率直に検証、南ア出身者の透徹  かつて「世界文学」とは、まず西ヨーロッパとイギリス及びロシアの巨匠、北米・中南米の著名作家、最後にその他が若干、といったものだった。いまや「その他」こそが世界文学の活発な拠点だ。………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]文芸

片手の郵便配達人 [著]グードルン・パウゼヴァング

片手の郵便配達人 [著]グードルン・パウゼヴァング

■ナチス時代、17歳が直視した群像    森に囲まれたドイツ中部の七つの村を回り、ヨハンは郵便を配達する。1944年、17歳で入隊した彼は、すぐ前線に送られ、左手を失い、故郷に戻った。郵便鞄(かばん)を提げて彼が歩く道………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年01月31日
[ジャンル]文芸

インディオの気まぐれな魂 [著]エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ

インディオの気まぐれな魂 [著]エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ

■「野蛮人学」からの大転回を牽引  16、17世紀、ブラジル沿岸部の民族トゥピナンバの「気まぐれ(インコンスタンシア)」に、宣教師たちは悩まされた。気軽にキリスト教徒になり、すぐまた「悪習」に戻る。とくに戦争、捕虜の殺………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]人文

心の平安 [著]アフメト・ハムディ・タンプナル [訳]和久井路子

心の平安 [著]アフメト・ハムディ・タンプナル [訳]和久井路子

■東西の接点(イスタンブール)で苦悩する青年たち  舞台は1939年のイスタンブール。独立戦争後の混乱で父母を失い、従兄(いとこ)イヒサンを師と仰いで育った文学青年ミュムタズは、二つ年上の美しい女性ヌーランに恋をしてい………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2015年11月29日
[ジャンル]文芸

涙の通り路 [著]アブドゥラマン・アリ・ワベリ

涙の通り路 [著]アブドゥラマン・アリ・ワベリ

■兄を狙う弟、近代化の傷を問う  かつてのフランス領ソマリランド、現ジブチ共和国の独立年に生まれた双子の兄弟。十数年間国外で暮らし多国籍企業に雇われた兄は、ウラン鉱脈の存在をにらんだ現状視察のため、故郷に戻る。過激派に………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2015年11月22日
[ジャンル]文芸

ルポ風営法改正—踊れる国のつくりかた [著]神庭亮介

ルポ風営法改正—踊れる国のつくりかた [著]神庭亮介

■ダンスはけっして滅びない  長年ダンス営業を規制してきた風俗営業法は戦後、売春や賭博など「風紀の乱れ」を正すためにできた。その改正法が今年6月に参院本会議で可決成立、条文から「ダンス」という文言が削除された。  それ………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2015年11月15日
[ジャンル]社会

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