宮沢章夫(劇作家・演出家)の書評

写真:宮沢章夫さん

宮沢章夫 (劇作家・演出家)
1956年静岡県生まれ。戯曲「ヒネミ」で岸田國士戯曲賞を受賞。主な著書に『牛への道』『サーチエンジン・システム クラッシュ』『茫然とする技術』『彼岸からの言葉」『東京大学【80年代地下文化論】講義』『時間のかかる読書』(伊藤整文学賞)、『「資本論」も読む』『考えない人』『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集』『NHKニッポン戦後サブカルチャー史』など。

服従 [著]ミシェル・ウエルベック

服従 [著]ミシェル・ウエルベック

■変化を受け入れる、人々と社会の怖さ  途方もない冗談だ。  けれど、気むずかしげな表情で語るユーモアを笑うのは難しい。ウエルベックはそんなふうに小説を書くが、また一方で、これはぞっとするほど怖い話である。というのも、………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年11月08日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス [著]滝口悠生

ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス [著]滝口悠生

■「遠景」感じつつ「最低」を生きる  二〇〇二年に作られた、ある映画を観(み)たのはごく最近だが、印象に残ったのは遠景に原子力発電所の姿が見えることだった。それはなにかのメッセージか、けれどあの三月のあとで観ることにな………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年11月01日
[ジャンル]文芸

スタニスラフスキーとヨーガ [著]セルゲイ・チェルカッスキー

スタニスラフスキーとヨーガ [著]セルゲイ・チェルカッスキー

■深く人間を追求した演出家  少しとっつきにくい面もあるし、演劇の知識も要求されるが、これはとんでもなく面白い本だ。  言うまでもなく、書名にあるスタニスラフスキーは旧ソ連邦の演出家である。本書で著者は繰り返し、この類………[もっと読む]

[評者]エンタメ
[掲載]2015年10月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ニッポン大音頭時代―「東京音頭」から始まる流行音楽のかたち [著]大石始

ニッポン大音頭時代―「東京音頭」から始まる流行音楽のかたち [著]大石始

■時代に求められた陽気なダンス音楽  民謡として歌い継がれた「伝承音頭」と、その後生まれた「新作音頭」のあいだに線を引き、まず著者は、「新作音頭」を象徴する作曲家、中山晋平に焦点をあてる。  中山の代表曲は、誰もがよく………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年09月27日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

竹内敏晴 [著]今野哲男

竹内敏晴 [著]今野哲男

■要約を拒否した「新しい人」の姿  六〇年代演劇の、そのひとつ前の世代として、「代々木小劇場=演劇集団・変身」の創作活動ののち、「竹内演劇教室」という場で、「からだ」への思考を深め、特別なレッスン空間を中心に、それを演………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年08月30日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

〈サーカス学〉誕生—曲芸・クラウン・動物芸の文化誌 [著]大島幹雄

〈サーカス学〉誕生—曲芸・クラウン・動物芸の文化誌 [著]大島幹雄

■特別な技芸の進化を多面的に  本書によれば、昭和八年に「ハーゲンベック・サーカス」がドイツから来日するまで、日本のサーカス団は「曲馬団」と呼ばれていたという。こうして「曲馬団」と書くと、どこか妖しげな匂いが漂うし、そ………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年08月09日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 社会

喜劇映画論—チャップリンから北野武まで・映画で日本を考える [著]佐藤忠男

喜劇映画論—チャップリンから北野武まで・映画で日本を考える [著]佐藤忠男

■森繁登場の鮮やかさ、小津演出への賞讃  まず『喜劇映画論』が主に触れるのは「喜劇人」だ。小津安二郎のいくつかの作品にみる、「ギャグの三段返し」や、斎藤寅次郎の技法も書かれるが、喜劇人への言及が大半を占める。エノケン(………[もっと読む]

[評者]エンタメ
[掲載]2015年07月26日
[ジャンル]社会

世阿弥の世界 [著] 増田正造

世阿弥の世界 [著] 増田正造

■「極北の演劇」が今、示すヒント  能に興味を持ったのは、二十年ほど前だが、様々な演劇論を読む仕事のなかで、『風姿花伝』の面白さ、世阿弥という人物の魅力に出会って驚かされた。  本書はその興味をより広げてくれる。  能………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年07月12日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 新書

マイ・フレンド―高田渡青春日記 1966—1969 [著]高田渡

マイ・フレンド―高田渡青春日記 1966—1969 [著]高田渡

■信じるものへと向かう瑞々しさ  本書を一言で表現しようとすれば、たとえば、「フォークシンガー高田渡の青春記」とか、「フォークソングがいかに日本で受容されたかという貴重な証言」といったものになるだろう。けれど、私は次の………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年06月28日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

ロッパ日記代わり—手当り次第 [著]古川緑波

ロッパ日記代わり—手当り次第 [著]古川緑波

■喜劇人の柔らかく鋭い批評眼  表紙のカバーを取ると、そこに古川緑波(ロッパ)が書いたのだろう生原稿が印刷されている。四百字詰めの原稿用紙だ。筆者はディレッタントであることを誇らしげに書く。ディレッタントは、「好事家」………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年06月21日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

幻燈スライドの博物誌―プロジェクション・メディアの考古学 [編]早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

幻燈スライドの博物誌―プロジェクション・メディアの考古学 [編]早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

■見ているだけで楽しい怪しさ  映画館のスクリーンや、家庭用の液晶モニターと比べ、「幻燈(げんとう)」という言葉を目にして感じるのは、また異なった映像メディアについて語られる印象だ。といっても本書があつかうのは、「幻燈………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年05月31日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

大瀧詠一 Writing & Talking [著] 大瀧詠一

大瀧詠一 Writing & Talking [著] 大瀧詠一

■世界的視野でポップス分析  アルバム「ロング・バケイション」をはじめ、多くのヒット作を残し、二〇一三年に惜しまれて亡くなられた、音楽家の大瀧詠一による、さまざまな種類の言葉が網羅された大著だ。  日本のポピュラー音楽………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年05月17日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

重力との対話—記憶の海辺から山海塾の舞踏へ [著]天児牛大

重力との対話—記憶の海辺から山海塾の舞踏へ [著]天児牛大

■自らと向かい合い言語化された身体  私はけっして、舞踏カンパニー山海塾のいい観客とは言えないが、舞踏、あるいはダンスと、そして私が主に関わっている演劇と、領域のちがいはあっても、身体表現をする者として、天児牛大が本書………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年05月03日
[ジャンル]人文

火花 [著]又吉直樹

火花 [著]又吉直樹

■苦しむ漫才師が苦悩を相対化  これは、若いミュージシャンの話であってもまったく違和感がない。美術家でもいい。小劇場の俳優でもいい。  それでもなお、漫才師の話でなければならなかったのは、そうでなければ小説にならないか………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2015年04月05日
[ジャンル]文芸

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