市田隆(本社編集委員)の書評

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市田隆 (本社編集委員)
いちだ・たかし。朝日新聞社編集委員。1964年生まれ。読売新聞社を経て2003年入社。11年から特別報道センターで調査報道を担当する編集委員。これまで主に政官業の癒着や金融業界の不祥事をテーマにした取材を担当。

国家と石綿―ルポ・アスベスト被害者「息ほしき人々」の闘い [著]永尾俊彦

国家と石綿―ルポ・アスベスト被害者「息ほしき人々」の闘い [著]永尾俊彦

■危険から抜け出せなかった構造  断熱材などに用いられ、近代工業を支えた石綿製品。国は戦前から大阪・泉南地域の石綿工場で深刻な健康被害が発生していることを把握しながら有効な対策をとらなかったという。その被害者は「貧しく………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月26日
[ジャンル]歴史 社会

竜は動かず―奥羽越列藩同盟顛末(上・下) [著]上田秀人

竜は動かず―奥羽越列藩同盟顛末(上・下) [著]上田秀人

 人気時代小説家が、幕末の動乱の中で非業の死を遂げた仙台藩士玉虫左太夫に光を当てた。坂本龍馬ら幕末のスターたちに比べて知名度は低いが、この人物が後の世まで生きていたら日本はどうなっていたかと夢想させる歴史小説だ。  下級………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]歴史 文芸

いつかの夏―名古屋闇サイト殺人事件 [著]大崎善生

いつかの夏―名古屋闇サイト殺人事件 [著]大崎善生

■被害者の「生」の重みを問い直す  「名古屋闇サイト殺人事件」が発生したのは2007年8月のこと。闇サイトの犯行を誘う書き込みがきっかけで集まった男3人が、無関係な名古屋市の会社員磯谷利恵さん(当時31歳)を路上で拉致………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月05日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

犯罪小説集 [著]吉田修一

犯罪小説集 [著]吉田修一

■人生の不可解な「真実」に迫る  犯罪に絡む不幸な人々が織り成す五つの物語。本の帯文に「犯罪によって炙(あぶ)り出される人間の真実」とあるが、それはわかりやすいものではない。それぞれの物語に強く引き込まれて一気読みして………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年12月11日
[ジャンル]社会

住友銀行秘史 [著]國重惇史

住友銀行秘史 [著]國重惇史

■企業内部の病巣、徹底的に解剖  「戦後最大の経済事件と呼ばれたイトマン事件」と言われても、事件摘発から20年以上たった今ではピンと来ない人も多いだろう。しかし、それを知らずに本書を読んだとしても、大阪の中堅商社旧イト………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

熊と踊れ(上・下) [著]A・ルースルンド、S・トゥンベリ

熊と踊れ(上・下) [著]A・ルースルンド、S・トゥンベリ

■暴力の絆、強盗犯の実相を描く  スウェーデンで実際にあった連続強盗事件に基づくこの犯罪小説は、ミステリーのだいご味を堪能できるだけでなく、犯罪者たちの真の姿を際立たせることに成功した作品だ。  綿密な計画と統率のとれ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年11月06日
[ジャンル]文芸 人文 ノンフィクション・評伝

漂流 [著]角幡唯介

漂流 [著]角幡唯介

■海に消えた漁師の影をたどって  著者は、チベットの大峡谷に分け入り、北極圏を踏破した探検をノンフィクション作品にしてきた。本書は、海の「冒険者」たる遠洋漁業の漁師たちの生き様を追いかけた記録。自身の探検を主体とした過………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年10月30日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ウルトラQの精神史 [著]小野俊太郎

ウルトラQの精神史 [著]小野俊太郎

■怪獣番組が映した社会の矛盾  円谷プロの空想特撮シリーズの第1弾として1966年にテレビ放映された伝説的ドラマ「ウルトラQ」。本書はその全28話を分析し、その意味を問い直す作品論だ。子供向け怪獣番組の枠にとどまらず、………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年10月02日
[ジャンル]社会

テロ [著]フェルディナント・フォン・シーラッハ

テロ [著]フェルディナント・フォン・シーラッハ

■少数を犠牲にした少佐は有罪か  法廷に立った被告人は、ドイツ連邦空軍のラース・コッホ少佐。戦闘機パイロットの彼は、ドイツ上空でテロリストにハイジャックされた旅客機を撃墜し、乗客164人を死なせた罪に問われた。だが、テ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年09月18日
[ジャンル]社会 国際

希望荘 [著]宮部みゆき

希望荘 [著]宮部みゆき

 心優しく、控えめながら、事件に隠された人の内面を地道な調査で解き明かしていく杉村三郎は、著者が創出した現代の探偵像だ。これまで事件に巻き込まれる会社員の役回りだったが、シリーズ4作目の本書では、前作で離婚し、会社も辞め………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年09月11日
[ジャンル]文芸 人文

陸王 [著]池井戸潤

陸王 [著]池井戸潤

■保証なき道進む中小企業の不安  ベストセラーとなった『下町ロケット』シリーズと同じく、新技術による商品開発を目指す中小企業の物語。今回の池井戸作品でも熱い人間ドラマに心を揺さぶられた。一つ一つの企業小説がマンネリに陥………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年08月28日
[ジャンル]文芸

すばらしい黄金の暗闇世界 [著]椎名誠

すばらしい黄金の暗闇世界 [著]椎名誠

■地下住居、空飛ぶ蛇、食肉ナマズ  著者は、するする読めて深い味わいを残すエッセー集を数多く書いてきた。最新刊の本書では、その名人芸が、自然界の森羅万象やそこに関わる人間の生活を題材として十二分に味わえる。  「暗闇世………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]文芸

金日成と亡命パイロット [著]ブレイン・ハーデン

金日成と亡命パイロット [著]ブレイン・ハーデン

■共産主義者演じ生き残った兵士  朝鮮戦争が休戦した直後の1953年9月21日。北朝鮮軍パイロット盧今錫(ノクムソク)が、ミグ15ジェット戦闘機で北緯38度線を越えて韓国の金浦基地に着陸、米国への亡命を求めた。米国人ジ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]歴史 社会

自衛隊の闇 [著]大島千佳・NNNドキュメント取材班

自衛隊の闇 [著]大島千佳・NNNドキュメント取材班

 海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」の乗組員がいじめを受けて自殺した事件で、遺族が自衛隊などに賠償を求めた裁判は8年間に及んだ。本書は、そのドキュメンタリーを制作したテレビディレクターの取材記録。丹念な取材から自衛隊組織の病………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]政治 社会

尻尾と心臓 [著]伊井直行

尻尾と心臓 [著]伊井直行

■会社員それぞれの生き方に共感  「企業小説」とも「経済小説」とも違う「会社員小説」だ。仕事での試行錯誤を通じて変容していく会社員の内面にじっと目をこらす本書を読んでいると、「平凡なサラリーマン」ではない姿が浮かび上が………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

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