逢坂剛(作家)の書評

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逢坂剛 (作家)
1943年東京都生まれ。広告会社勤務のかたわら80年『暗殺者グラナダに死す』(オール読物推理小説新人賞)でデビュー。86年『カディスの赤い星』で直木賞、日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞を受賞。他に『百舌の叫ぶ夜』『暗殺者の森』など。フラメンコギター、将棋の愛好家。

トライアウト [著]藤岡陽子

トライアウト [著]藤岡陽子

■ドラマ引き立てる個性的な脇役  主人公は、新聞社に勤める未婚の母、久平(ひさひら)可南子。  かつて、社会部に在籍中スキャンダルに巻き込まれ、内勤に回されていた可南子が、9年ぶりに突然現場の運動部に、異動命令を受ける………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2012年02月12日
[ジャンル]文芸

警備員日記 [著]手塚正己

警備員日記 [著]手塚正己

■観察して鮮やかに描いた人物像  著者はもともと、映像畑の人である。1992年には、日本海軍最後の戦艦〈武蔵〉の記録映画「軍艦武蔵」を制作、監督している。  同題の活字本も出したが、思ったほど売れないため、次の作品を仕………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2012年02月05日
[ジャンル]文芸

星月夜 [著]伊集院静

星月夜 [著]伊集院静

■人間の心の奥にひそむ闇を照射  本作品は、著者初のミステリーとして、小説雑誌〈オール読物〉に昨2011年の1月号から9月号まで連載された。ただし、4月号が休載になっているのは、仙台在住の著者が大震災に遭遇したため、と………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2012年01月29日
[ジャンル]文芸

アメリカ・ハードボイルド紀行 マイ・ロスト・ハイウェイ [著]小鷹信光

アメリカ・ハードボイルド紀行 マイ・ロスト・ハイウェイ [著]小鷹信光

■微細なハメット作品考察が圧巻  著者は、高校生になった1950年代の前半から、戦後闇市時代に洗礼を受けたアメリカ文化の研究に、のめり込んでいく。  手始めは、西部劇映画の新聞広告を、細大漏らさず切り抜いて、ノートを作………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2012年01月15日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

金色の獣、彼方に向かう [著]恒川光太郎

金色の獣、彼方に向かう [著]恒川光太郎

■恐怖と憧憬、異界への入り口  本書の著者は、昨今では珍しいほど、作風に特徴のある作家、といってよい。  日本ホラー小説大賞の受賞者、というキャリアから想像されるほど、おどろおどろしくはない。かといって、ファンタジーと………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2012年01月08日
[ジャンル]文芸

司法記者 [著]由良秀之

司法記者 [著]由良秀之

■地検特捜部の知られざる内実  元検事の著者は、昨年来の地検特捜部の不祥事に触発されて、本書を書く決心をしたと推察できる。というのは、特捜部の捜査の実態を、ここまで赤裸々に書いた本は、ほとんどないからである。  ある司………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年12月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

スエズ運河を消せ [著]デヴィッド・フィッシャー/ナチを欺いた死体 [著]ベン・マッキンタイアー

スエズ運河を消せ [著]デヴィッド・フィッシャー/ナチを欺いた死体 [著]ベン・マッキンタイアー

■第2次大戦秘話、驚きの謀略作戦  第2次大戦中の、謀略作戦の秘話が、立て続けに翻訳された。  『スエズ運河を消せ』では、マジック・ギャングと称する英国のカムフラージュ部隊が、戦場で多彩な偽装作戦を展開し、ドイツ軍の目………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年11月20日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 国際

人間の尊厳と八〇〇メートル [著]深水黎一郎

人間の尊厳と八〇〇メートル [著]深水黎一郎

■行間に浮き上がらせる人間心理  作者は今年度、本書の表題作で日本推理作家協会賞の、短編部門の受賞を果たした。  受賞作は、いかにもミステリーらしい、切れ味のよい佳作である。とあるバーにはいった〈私〉が、見知らぬ男の先………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年11月13日
[ジャンル]文芸

流される [著]小林信彦

流される [著]小林信彦

■祖父への屈折した意識を淡々と  本編は『東京少年』『日本橋バビロン』に続く、自伝的長編の第三部に当たる。著者はここで、若いころ沖電気に在籍した母方の祖父、高宮信三を描こうと試みる。  思春期の一時期を、青山にある母の………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年11月06日
[ジャンル]文芸 社会

死のテレビ実験―人はそこまで服従するのか [著]C・ニック、M・エルチャニノフ

死のテレビ実験―人はそこまで服従するのか [著]C・ニック、M・エルチャニノフ

■視聴者への影響力、綿密に分析  これは、テレビの持つ危険性に警鐘を鳴らす、きわめて刺激的な本である。  現実の暴力事件に対して、しばしばテレビの暴力シーンの影響が指摘される。しかし、本書に描かれたテレビの恐ろしさは、………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年10月16日
[ジャンル]人文 社会

赤い糸の呻き [著]西澤保彦

赤い糸の呻き [著]西澤保彦

■事件を解決に導く推論の応酬  カルトなファンが多い本書の著者は、ミステリーに本来なじまないSF的な展開や、超論理的解決を持ち込んだことで、評価が分かれるかもしれない。それを新しい工夫とみるか、アンフェアな手法とみるか………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年10月09日
[ジャンル]文芸

蠅の帝国―軍医たちの黙示録 [著]帚木蓬生

蠅の帝国―軍医たちの黙示録 [著]帚木蓬生

■軍医を通じて描く戦争の悲惨  戦記ものの中でも、あまり取り上げられることのない、軍医を主人公にした連作短編集である。この本を書くために、著者は回想録や専門雑誌を丹念に渉猟し、軍医の仕事のなんたるかを、徹底的に調べたよ………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年10月02日
[ジャンル]文芸

密売人 [著]佐々木譲

密売人 [著]佐々木譲

■四つの事件がつなぐ警察の暗部  このタイトルから、読者は拳銃や覚醒剤の密売を、想起するだろう。しかし、話はそれほど単純ではない。そこに思わぬ仕掛けがある。  30年ほど前、デビューした当時の著者は、バイクをテーマにし………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年09月18日
[ジャンル]文芸

神保町 タンゴ喫茶 劇場 [著]堀ミチヨ

神保町 タンゴ喫茶 劇場 [著]堀ミチヨ

■お客の生態 克明な観察記録  古書とタンゴのファンなら誰でも知っている東京・神田神保町のある喫茶店で働いていた女性の「お客観察記録」とでもいうべき本。仕事場が近い評者もときどき行く、その筋では有名なタンゴの店だが、本………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年08月28日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

紅梅 [著]津村節子

紅梅 [著]津村節子

■闘病記を超えて、内省的告白の書  東日本大震災にからんで、吉村昭氏の旧作『三陸海岸大津波』が再び注目されているという。  それはそれでけっこうなことだが、吉村氏には長く読み継がれるべき作品が、ほかにもたくさんある。司………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年08月07日
[ジャンル]文芸

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